第七話
さて、どうしましょう。断罪ルートを逃れるためにはどうすれば良いのかしら。
……斬首刑だけはマジで嫌!!
あら、失礼。つい私としたことが。前世の言葉が混ざってしまったわ。俗に言う「若者言葉」という物を使ってしまったわね。
いや、でもどうしよう。このままじゃ本当に斬首刑だ。
私は思わず頭を抱えてしまう。
「アリーヤ様……大丈夫でしょうか?」
後ろに控えていたセリーヌが心配そうに聞いてくる。私は貴族らしい笑みを張り付けて振り返る。
「えぇ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう。」
そう言うとセリーヌは心底安心したという顔をした。
……今度からセリーヌに心配掛けないようにしよう。
私はその決意を胸に、厄介事に挑む事に決意したのだ。
◇◇◇◇◇
「いーやー!! 絶対に嫌よ! 行きたくなーい!」
「ほら、我が儘を言わないで下さい!エドマンド様が迎えに来ましたよ。」
学園になんて行きたく無い! そう思って抵抗してみるが全て無駄に終わる。気が付いたら、エドマンド様の馬車の前にいた。そして、ポンっと中に入れられた。
「アリーヤ、そなた諦めが悪いぞ。ほら、つべこべ言わず学園に行くぞ。」
エドマンド様にも叱られてしまった。
……うぅ、だって、だって。引きこもりの私には学園に通うのって辛いことなのよ? それに、このままだと断罪どころか斬首刑よ!
落ち着こう、取り敢えず落ち着こう。
……でも本当にどうすれば良いのだろう。あぁ! もう! 全てが嫌になるわ!
ハッ! また、気持ちが荒ぶってしまったわ。落ち着こう、落ち着こう。まずは深呼吸。
スゥハァスゥハァ
よし、大丈夫。
そうこうしている内に学園へついてしまった。私の気持ちは一気に沈む。
前回と同じようにエドマンド様にエスコートして貰う。
そして、はい。いつものざわめきー。……はぁ。疲れるよぉ……。
そう思いながらでもやっぱり私は公爵令嬢。微笑みを張り付けて歩き出す。
……はぁ。教室行きたくないよぉ……。
教室に入るといつも通りざわざわ。はい、分かっています。
だが私はいつもと違う意味でざわついていることには気付かなかった。
私は自分の席に付き、いつも通り魔法書を開いた。いつも通りって言っても十四歳になって学園に通ったのはこれで五回目だけど。ガタリ、と音がして、横を見ると男の子が私の隣に腰掛けた。私の隣に座ったのは……………隠れキャラのハルだった。
……ん? 何、どういうことか説明してくれって? 分かりました。説明します。
彼の名前はハル。平民だ。魔力が高い為、十歳では無いが特例で十五歳で学園に入った。瞳はマンダリンガーネットオレンジで、髪の毛の色はカナリートルマリングリーンイエローだ。
そして、私が前世でプレイしていた乙女ゲームの……隠れキャラだ。
私が見ていたのに気が付いたのか、ハルはこちらを向いた。
「あっ……」
「僕はハル。今日からここで学ぶんだ。よろしくね!」
ハルはそう言いながら、にこりと笑って手を差し出してきた。私はその手をそっと握る。そして、貴族らしく微笑んで言った。
「えぇ、よろしくお願い致しますわ。ハル。」
でも私はこの時、ハルと出逢ったことで、私の運命が変わるなんて思いもしなかった。
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