第2話「あ、どうも勇者です」

少女「この方が伝説の…勇者様?」


セリア「そうです。この方こそが、我々、ハルストの民を救ってくださる、伝説の勇者様です。」


(勇者様は、本当に来てくれたんだ…!)


勇者(うわー、ホントに来ちゃったよ…。そんで、俺はこの世界で勇者になるのか…、マジでファンタジーじゃん。)


「あの、勇者様。」


「あ、はい」


「はるばる遠くから、我らがハルスト王国にお越しいただき、誠にありがとうございます。」


「あ、ありがとうございますっ!」


「あ、いえいえ…(まぁ、無理やりなんだけどね)」


「早速で申し訳ございませんが、これからお城の方へ向かいます。」


「あ、わかりました」


「ミナ、勇者様をご案内しますよ。」


「は、はい!」


「では、行きましょう。」


~道中~


(それにしても…、ホントに異世界なんだなぁ…ドラゴン飛んでるし!)


「あのー」


「はい、なんでしょう?」


「この世界の人たちは魔法なんか使えたりするんですか?」


「えぇ。魔法は、私たちが生活する上で必要不可欠なのです。今の文明があるのも魔法があるからなのです。」


「そうなんですか…(マジであるのか魔法!俺も使ってみてぇ。)」


「ふふっ、勇者様も魔法を使ってみたいのですか?」


「え、あ、はい(えっ、俺今、心を読まれた?!)」


「そう顔に出ておりますので。」


「あ、そうですか…(ビックリしたぁ…)」


「魔法を使えるようになりたいのなら、この娘に教えもらうと良いでしょう。」


「えっ、セリアおばさんっ!?」


「この娘はこう見えて、魔術はトップレベルなのですよ。」


「そうなんですか、すごいね」


「いえっ、そんな、私なんか…」


(あ、赤くなった…って、なにこの娘、めっちゃ可愛いんだけど!)


キモい


「もう少し誇りに思っても良いのですよ?皆が貴方のように魔法を使える訳ではないのですから。」


「でも…」


「そんなにすごいんだったら、教えてもらう僕は、とても助かるよ。」


「そうですか…?」


「うん(頬を赤くしながらそんな事言わないでよー。トキメいちゃうじゃん!)」


この勇者がキモくなってるうちに城に到着。


~城内~


(うわー…すげぇ)


「勇者様、これから国王陛下と女王陛下に面会兼国民への紹介というような式典を行います。」


「は、はい。(流石に緊張するなぁ)」


「あまり緊張なさらなくても大丈夫ですよ。両陛下ともとてもお優しいお方ですし、国民の皆様も歓迎してくれるでしょう。」


「そうですか…」


「その前に、勇者様には着替えてもらいます。こちらへどうぞ。」


「はい」


~着替え中~


「終わりましたー」


「うわー、とてもお似合いです!」


「そ、そう?(うへー、嬉しいなぁ)」


やはりキモい


「ええ、本当にお似合いですよ」


「そうですか」


「では、そろそろ行きますよ。」


「あ、はい…!」


兵士「…あ、勇者様ですね。ちょうどお時間になります。扉の前へお願い致します。」


「は、はい」


「では、扉を開けます」


(っ…!)


兵士「新たなる勇者様のご登場!」


(うわー、めっちゃいるー!ヤバいヤバいヤバい!)


「私、魔法師セリアと見習い魔法師ミナが新たなる勇者様を召喚し、こちらへご案内した次第でございます。」


国王「うむ。君が新たなる勇者か。名は何と申す?」


「は、はい!私は、早間 雷斗と申します!(この人が王さまで、隣に座ってるのが女王さまかぁ、物凄いオーラを感じる…!)」


「…もしかすると、君のいた国はニホンという国かね?」


「え…あ、はい!」


「そうか。なら名前が後ろに来るのだな?」


「そうです…(なんでそんな事知ってるんだ?…もしかして、前の勇者も日本人?!)」


「ん?何か聞きたいことでもあるのかね?」


「あ、はい、一つお聞きしてもよろしいでしょうか。」


「うむ、なんだね?」


「あの、前の勇者の人も日本人だったんですか?」


「ああ、そうだとも。彼はニホンという国のこと、そして、その世界のことを教えてくれた。大変興味深く、勉強になったものだ。」


女王「ええ。あなたの世界では魔法ではなく、デンキというもので動かすらしいわね。後でそのデンキというのについて詳しく教えてくれるかしら?好きなときに来てもらって結構よ。」


「は、はい、わかりました!」


「あ、あと君の…」


一方で話をしている三人以外は皆、同じ事を思っていた。


(両陛下とも、話し出すととまらないんだよなぁ…)


~一時間後~


「ん、そろそろ時間になるのか…。」


「はやいものですね。」


(はぁ、やっと終わるのかぁ)


「では私から最後に…」


「新たなる勇者よ、我が国ハルスト王国のためにその力を存分に振るいたまえ!お主の活躍期待しておるぞ!」


「はい!」


国民「ウォー!!」


~ハルスト城 前~


「はぁー緊張したー…」


ミナ「お疲れ様です、勇者様。どうぞお水です。」


「ありがとう…んっ、んっ…ぷはぁ、生き返るー。」


「ふふっ、それは良かったです」


(あー、ホントかわいーなぁ)


あー、ホントキモいなぁ


「勇者様、どうかされましたか?」


「あ、いや、なんでもないよ(さっきっから悪口言われてる気がする…)」


…まじかこいつ


「そうですか」


セリア「勇者様、私はこれから別の用件があるので、先に帰ります。あとのことはミナに任せておりますので、困ったことがあれば彼女に聞いてください。ミナ、頼みましたよ。」


「はい、わかりました。」


「では」


そう言い、セリアは馬車に乗って帰っていった。


(そう言えば、最後に王さまが言ってたな)


~ それは広場から出る際のこと~


「おお、そういえば忘れておった、ライトどの!」


「は、はい!」


「後で、先程話した勇者に会うと良いだろう。まぁ、今ハルストには居ないが数日したら戻ってくるだろう。同じニホン出身だ、すぐ仲良くなれる。まぁ、あの性格だから成りたくなくても、なってしまうだろう。」


「ふふっ、そうに違いないわ。」


「わ、わかりました…!」


~そして、現在~


「俺の前の勇者か、すげぇ会ってみたい。」


「とても気さくで、誰にでも優しい素晴らしい方ですよ。」


(そりゃ、王さまの言ってたこともわかるな)


「勇者様、これからどうなさいますか?」


「あれ、行くところ決まってるんじゃないの?」


「いえ、任されたと言っても、勇者様のお世話といいますか、お手伝いというようなことなので。」


「そっか…、じゃあ、とりあえずご飯食べよ?」


「あ、そういえばお昼まだでしたね。」


「うん、もう腹が減って動けないよ。どこか食事するところに行こう。」


「わかりました。では、私の家に来てください。」


「ミナちゃんの?」


「はい、私の家は食事処をやっているんです。美味しさは結構自信あるんですよ。」


「そうなんだ。じゃあ早速、お邪魔しようかな。」


「はい、勇者様なら大歓迎です!」


~食事処ライント~


ミナ「ただいまー」


ミナ母「あ、お帰り」


「お母さんただいま」


「…って、勇者様じゃない!?」


「あ、どうも勇者です」


客「勇者様だと?!」


「これはこれは、わざわざお越しいただき、ありがとうございます!さ、お席へどうぞ!」


「あはは…どうも (やっぱこんな扱いされちゃうんだなぁ。まぁ、悪くはないけど…)」


客「いやー、こ ん な と こ ろ で勇者様に会えるなんて、今日はついてるなッ!ガッハハハッ!」


「今、『こんなところ』って聞こえたんだけど、誰かしら?ウフフ」


「?!おっさん逃げて!あなたが料理にされちゃう!」


「何を言ってるんだい勇者様は?ご冗談はほどほどですぞ!ガッハハハッ!」


「後ろー!」


「えっ?」


「ウフフ…」


「ギャアァーーーーーッ!!」


~しばらくお待ちください~


「うちの常連が大変失礼しました。」


「いえいえ(絶対怒らせたらメッ!な人だ。)」


「ずずずっ…」


(ミナちゃんは平然とお茶飲んでるし、慣れるとそうなるのかな?でも、お母さんがアレだったらもしかしてミナちゃんも…、うん、気を付けよ。)


いきなりだが、長くなりすぎたのでここで2話はおしまい!また次回!


To Be Continued!



次回「勇者、旅に出る!」



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究極剣士は異世界から 蒼白ケイ @aosira-k

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