第10話 門
「こんなところに門…なんかあったか?」
今、俺の目の前にあるのは高さ10mくらいの尊大な彫刻や装飾がされた真っ黒い門であった。
しかもこの門、微弱だが魔力が外部に漏れている…
その漏れている魔力の質と言ったらそれこそ《禁庫》にある呪道具並…いや、それ以上か…?
とりあえず解析してみる。
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うん?な・る・ほ・ど〜☆
………お前もかよ!!こないだの石といい、紙といい鑑定・解析Lv10使えねえ!!
まぁいい。とりあえず開けてみるか。
俺は不用意に門に近づきそっと右手で触れてみる。
これといって体に倦怠感やステータスに異常は見られない。
だが……門を開けようと押してみるがびくともしない。
人外ステータスの本気を以てしてもだ。
もしかして引き戸タイプ?とも思ったが生憎取っ手のようなものは見当たらない。
諦めて帰ろうとした時、ふとそれが目についた。
「ん?何だこの窪み?まるで何かをはめ込むためのものじゃないか?」
そこには小さくだが明らかに彫刻とか言った類ではない窪みがあったのだ。よく見ると中心に魔法陣が薄く描かれている。
なんぞやこれ?
まぁ‥わけわかんないし帰って寝るか。
俺は少しの疑問を大きな睡魔で塗り潰した。
◇◆◇◆
屋敷に帰り、夕食を済ませ自室に戻る。
まだ、親父たちが帰ってきていないので住み込みの使用人を除くと子供四人だけという形になるな。
もしかしたら泥棒が入るんじゃないか?
なーんてな。
そんな馬鹿なことを考えながら自室の前まで来て扉を開けようとする。
その時、また強気で自信たっぷりな声が俺を呼び止めた。
「ネクロッ!!」
勿論この俺を呼び止めたのは誰を隠そう俺の姉、リリスである。
どうしてもう一人の姉であるセリア姉はお淑やかなのにこっちはこんなやんちゃ坊主っぽいのだろうか…
「なんですか?リリス姉様?」
「明日こそ、私と模擬戦しなさい!!」
は?何を言ってるんだこの馬鹿姉は…一応こっちが下手に出ているのに…
やらんと言っているだろうが……
「きゅ、急に模擬戦と言われましても…自分はこの間お父様に剣を教え始めてもらった身ですよ?リリス姉様と比べたらそれこそ赤子の手をひねるように一瞬で勝負がつきますよ?」
家族なので後に遺恨を残さないように頑張っているのだがリリス姉は聞く耳すら持ってくれない。
「関係ないわ!!この家で誰が一番偉いのか、わからせてあげるわ!!」
「あ、…」
リリス姉は気付いていない…この場に三人いることを。
「あ、って?どうしたのよ?あ、まさかびびちゃった?そうよね〜ネクロは私より子供だからね〜」
「あらあらあら。私は強さ=大人っぽさと考える子よりも冷静に物事を判斷できる子の方がよっぽど大人っぽいと思うけどね?」
「セ、セ、セリアお姉様!?」
そう、俺達の他にもう一人とは我がアームストロング家が長女、セリア=アイ=アームストロングその人である。
「私が明日、王都に戻るから二人に挨拶しようと思ってきてみたら……何やってるのよリリス!!弟に勝負を挑んで怪我させたらどうするのよ!!」
「そ、それは…」
セリア姉はすごい剣幕でリリス姉を怒鳴り続ける
「まさか、あなた…あの事忘れたわけじゃないでしょうね…」
「っ!!そ、それは…」
セリア姉の一言によりリリス姉の顔が焦りから少し恐怖に変わったのを俺は見逃さなかった。
それにしてもあの事?それは一体なんぞや?まあ別にいっか。
俺には関係ないし。
「あのー」
「うん?どうしたの、ネクロ?」
「僕、今日はもう疲れちゃって眠いのでもう部屋に入ってもいいですか?」
「ええ。ごめんね。私とリリスは二人で女子のお話するからもう部屋に入っていいわよ。」
「え!?セリア姉様、許してください!!ネクロ!!謝るから助けて!!」
え?それは虫が良すぎない?俺の貴重な睡眠時間奪っておいて謝るだけなんて〜
ごめんで済んだら警察はいらないんだよっ!!
「あ、そうですか。それでは頑張ってください。自分はもう寝ます。おやすみなさい。」
そういって俺はリリス姉を突き放し自室へと入った。
ふう〜‥めんどくさかった…
あ、そうだ。確か机の引き出しの中にリラックス効果のあるアロマをおふくろから貰って入れっぱなしにしてたんだっけ。
使ってみるか。
そう思い、机の引き出しを開けようとするが、何かがつっかえて引き出しが開かない。
なんだ?中に青いタヌキでも入っているのか?
しょうがない多少壊れてもいいから一気に開けてみよう。
力いっぱいに引っ張るとガリガリガリと嫌な音を立てながら引き出しが開いた。
何が引っかかっていたのかというとこの
「なんだ、これが引っかかっていたのか。…………って、昼間のあの門、これとほぼ同じじゃねえかぁぁぁぁ!!!」
そのことに気がついた俺は自室の窓からこっそりと屋敷を抜け出し、門に向かった。
途中、森に匿っていたジョーとプルルを回収し屋敷の食料庫からこっそりと持ち出してきた、少量の食べ物を与えた。
魔物に人間の食べ物を食べさせて良いのかは疑問だが一応自分から進んで食べているのなら問題ないか…?
屋敷を出てから三十分くらいで門の目の前まで来た。
昼間見つけた窪みに石を押し当てながら何処かにはまる箇所がないか探ってみる。
すると途中でカチッっという音がして瞬間、まるで地下にある巨大な歯車がゆっくりとだが確かに動きだしたような音と共に地面が揺れ始めた。
そして門がゆっくりと開き始めた。
完全に開けきった時、中は真っ暗だった。
「ジョー、プルル。少し離れた所に行っててくれるか?」
何が起こるかわからないから俺は二匹を離れるようにお願いすると二匹は直ぐ様、後方の木の陰に隠れた。
俺は一回喉をゴクリと鳴らし覚悟を決める。
一歩、また一歩と門の中に足を踏み入れる。
俺はどちらかと言うと夜目がきく方だがこの中では一切光を感じない。さっきまで月明かりが綺麗だったのに振り返っても、もうその光は微塵も感じられない。
これ俺出られるのか?
少し経って一つの疑問が浮かび上がってきた。
それは…俺は一体ここにどの位いる?
この疲労感…無茶して徹夜した時並みに疲れている…
まるでここに丸一日閉じ込められているかのようだ。
いや、実際には五分も経っていないのだろうがそれだけ錯覚するような状況なのだ。
しかし、そんなことも言えなくなっていた。
今しがた俺の目の前に現れたのは____________俺だ。
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