第6話 整地
さてと、まず地盤から始めるか。
昨日の開けた場所でいいか。
そう思い、着いたのはいいが、やはり一日立っても中々に酷い有様だった。
先ず地面はえぐれ、水浸しになり周囲の木々はなぎ倒されていた。
最悪の山火事にはなっていなかったが本当になんであそこで帰ったんだろう、俺。
万が一見つかったら要らぬ誤解を生むことになるのに……
次から………気をつけるか……
話を戻そう。先ずこの地面だが…………あれやってみるか……
膝をつき両手を地面に付ける
「できるかな〜_____”ガイア・コントロール”」
俺がそう魔法名を呟くと全壊しかけていた地面が10秒位で昨日と同じぐらいに平らに整った。
魔法ガイア・コントロールは土属性魔法の上級に当るものだ。
効果は一定空間以内にある土関連の物を好きな形に変形させることができる。只、魔力消費が上級のくせに他の上級土属性魔法より1.5倍位多いうえ、更に物を変形さ
せている間も魔力を持っていくから消費量がエグくなる。
そのせいで、土属性魔法に適正を持つ者でもしばらく練習しないとダメなんだとか。
それでも扱える時間はさほど長くない。良くて10秒位らしい。
だが、今回の場合はイメージを昨日見た光景を思い出せばいいだけだから調整が出来ない俺でもできるわけだ
まぁ?この人外(遂に自分を人外だと認めてしまった。そんな訳ないじゃないか……僕は…人間だぞ!?)みたいに多い魔力を持ってる俺は?30分位いけると思いますけど?
などと厭味ったらしく思ってしまう。
後日、挑戦してみて軽く一時間を突破してまった時は何故か無性に泣きたくなった。
因みに魔法や魔道具にはランクが存在する。
下から下級、中級、上級、絶級と言った具合だ。
超級一つ使えるだけでも食うには困らなくなるんだとか。
絶級を使える奴は生物兵器とさえ言われるほどにやばいらしい。
なんで《ガイア・コントロール》も含め、こんな知識を持っているかというとおふくろが遊び半分で中庭に家族全員の像を《ガイア・コントロール》でぶっ立てたことがあるからだ……
う〜ん…おふくろめ…だけど中途半端に情報教えやがって……
情報がアバウトすぎるだろ…
可能な限り真っ平らにして《ガイア・コントロール》を止める。
よし、とりあえずだがこれでいいな。次に休憩所を建設するための基盤を作ろう………と、思っていたのだが……
そういや、俺が考えている休憩所ってなんかこう……ログハウスっぽいんだよな…
大体の建築の仕方は知っているがそれまでの工程をどうしようか……
木の伐採…材料は周りにいくらでもあるが斧とかそういう道具はない。
木材の加工…また道具がない。
ノコギリ、カンナ、ノミ、槌、錐、斧、罫引、砥石etc…
必要な物は数知れず……屋敷には修理目的としてあるんだろうけど長期的に使うからずっとないままだと怪しまれるよな……
ああ〜〜〜〜もう、どうすりゃいいんだよ!!!!
俺が苦悩し続けていると気づいたら日が暮れそうになっていた。
今日はここまでか。ほんとに要領悪いな、俺……
______________________________
屋敷に戻り子供四人で食事を取る。
前世では、食事中にテレビを見たり、スマホをいじったりしていたことが多いが、アームストロング家のしきたりでは食事中には一切会話などはしない事になっている。
食べて「おいしい」とすぐに言えないのは少し残念だがルールは守らないとな。
因みに俺が今食べているのはカルボナーラ風のパスタだ。正しい料理名は知らないが美味しいことは間違いない。
味の決め手となるカルボナーラソース?は、三種のチーズが織りなす味わい深いソースに、ベーコンのスモーキーな香りと適度な塩味、胡椒を加えることにより絶妙なハーモニーを奏でている。
麺も丁度いいアルデンテだ。
東京に店を出せばレビュー☆4.5くらい狙える美味しさだとも思う。…が……
「ふぅ…」
食事が終わり、食後の紅茶が運ばれてくる。
すると、ケイル兄が
「…やっぱりお母様の料理の方が美味しいですね……」
あ、言っちゃった。
確かに、お抱えの料理人の料理も美味しいよ?
でも、はっきり言っておふくろの方が上手い。
しかも料理系スキルを持っていなかったはずだから天性の才能だろうな。
「ケイル。そんなこと言ったらツクール=オイシーモノさんに失礼じゃないの。ふふふ。ごめんなさいね、ツクール=オイシーモノさん。」
「い、いえ…」
ツクール=オイシーモノ!?
確かあの人が家のお抱えの料理人のだったはずなんだが?
名前ピッタリ過ぎません!?
当の本人は部屋の隅でビクビクしてるし、何がそんなに怖い?のかな?
若干す◯っこぐらしっぽいのは気のせいだろうか
紅茶を飲み終わり、各々が自分の部屋に帰りだす。
俺も自分の部屋に帰ろうと廊下を歩いていた。
その時、後ろから声がかけられた。今日散々聞いた声だ。
「ネクロ…」
「はい?なんですかリリス姉様?」
昼はまじで小さい般若かと思ったが振り向いて見た顔は年相応の可愛らしい少女だった
「その……昼はごめんね?私も少し大人気なかったよね……」
「は、はぁ……」
何言ってんだ?三歳しか変わらないのに大人気ないもクソもあるかよ。
「い、いえ少し僕も悪いと思ってたんですよ」
「そ,そう?じゃあ許してくれる?」
「ええ、もちろん」
「っ!!ありがとう!!じゃあ、おやすみなさい!!」
「ええ、おやすみなさい」
台風のようにいきなり来てはいきなり帰る。
とんだおてんば娘だな。将来お嫁に行けないんじゃないか?
まぁいい。そんなことよりもお腹が膨れて眠くなってきたな……
もう寝るか……
俺は自分の部屋についた途端ベッドにダイブした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます