第2話何故かつての私は言いなりだったのだろう

私住んでいたノヴァースは商業が周囲の国と比べてとても発展していて、港が近くにあるから貿易船が毎日しつこいぐらいやってくる。 国中はとても賑やかで世界中の金持ち達が暮らしている中で私のいるハウルス家はやや貧しい生活をしていた。要するに没落寸前の貴族って所だな。

当時の私の暮らしは特に不自由は無かったけど、周りがクズだらけだった。 生意気なバカのエミリアに勝手に部屋の物を取られ、それを注意すると親どもに元々は自分の物なのに、お姉様が無理矢理奪ったと言って、最終的にこっちが怒られてあのバカにはお咎めなしなのが無性に腹立つ。 親どもはバカの言い分を鵜呑みにして私を別荘の方に隔離してしたし。 あん時は呆然としたけど、今は感謝しか無いよ。だってそこで脱走計画を立てても、目が節穴かっ!っていうぐらい気づかないからね〜(嘲笑)

クレミア学園の方でもムカつくヤツらはいたなぁ。特にラドルフ、あいつ魔法適性全く無いのに理事長の息子という理由だけで常に周りを見下して誰彼構わず文句を言いまくっている。 だけど誰も文句を面向かって言う事はない。 何故なら、この学園鳥かごには月に1回学園裁判という明らかにふざけきったトップクラスにいるだけのどうしようもない馬鹿どものストレス発散のための茶番があり、今まで彼に抵抗した人達は例外なくその裁判にかけられた。厄介なことに判決を決めるのはラドルフとその取り巻き達だから判決は有罪、(つまり学園から追放すること)しかないのである。 だからみんなはあいつらに媚びを売って常に機嫌取りをしている状態だった。 私は媚びを売るっていうか頼まれたら断りきれない性格だからパシリに行かされたり、つまらない自慢話を延々と聞かされたり、事あるごとに引き立て役をされたり...、いや、反抗しろよ、自分!

あと馬鹿で苦手過ぎる教師もいた。授業でわざと苦手な所に当てて、答えれなかったら鼻で笑って「全くお前はダメだなぁ。 そんなんだからいつまでたってもお前の家は貧乏なんだよ。 嫌なら辞めてもいいんだぞ、お前みたいな恥知らずはいない方が学園のためだからな。」...コイツ、ぶん殴りてえ。しかもコイツも馬鹿のラドルフ同様いばり散らして女子にはセクハラを繰り返すクズだから、いつか教師としていられなくしてやると思っていたけど、あそこまで上手く行くとは思わなかったなぁ、今思い出してもスッゲエ笑える。

家に帰ったら帰ったでまた面倒くさい奴に会う。家に住み込みで働いてる青年執事のヴァルスだ。「おや、おかえりなさいませ、お嬢様。 今日も勉強を全くせずに早く帰ってきたのですね。 早く掃除をして部屋にお戻りください。お嬢様はハウルス家の恥ですのであまり目立つ様な事をせず、令嬢らしくご両親の言うことをよく聞き、慎ましく行動してください。それが役に立たないお嬢様に出来る事です。」と言われたので、返事をせずに掃除を開始した。 客間から親どもと妹の笑い声が聞こえた時、その時の私は完全にメイド扱いだった。 掃除が終わり、別荘にある自分の部屋に戻るといつも寂しくて悲しくて泣いていた記憶がある。

こんな日常でもラルク男爵と一緒にいる時はとても楽しかった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

いつも前途多難な私のフリーダムな逃亡旅行記 安原 ハル @haruhuru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ