第三話・2
「エスカレーター式の女子校って、勉強しない子はもう全くしないんですよ。そんなにしなくても、どうにか高校卒業はできるから……、私も高3まで全然勉強してなくて」
思い出すと少し恥ずかしくなって、笑う。庵野先輩と……、なぜか瑠都さんも真剣に私の話を聞いていた。
「化粧したり、ピアス開けたり髪染めたりで。3年になれた時初めて、今までなにも言ってこなかった父親に殴られちゃって」
「今はすごく真面目そうなのに……」
と呟いた瑠都さんは、ピアスという単語を聞いてからずっと耳たぶをいじっていた。
「私はいろんな言葉で反論し続けました。その半年後、父は亡くなりました。死因はよく分からないんですけど親戚にはいろんな噂をされました。……それから私も、父が死んだのは私のせいだと思って。父は私をちゃんとした大学に行かせたかったみたいなので一年すごく頑張って……、って、話しすぎました」
「……俺は別に、大丈夫。なんだけど、界くん、大丈夫?じゃ、ないか」
庵野先輩は、顔を青くし小刻みに震えていた。
「えっ!?あ、庵野先ぱ……」
「桜木さん、だっけ。今は近づかないで。できれば10分くらい外出てて」
焦って庵野先輩に近づこうとしたら、瑠都さんに睨まれてしまった。後ずさり、外に出ようとすると、小さく庵野先輩の「ごめんなさい」というか細い声と、瑠都さんの「相原遅い!!」という初めて聞く大声が響いた。
それから一日は、庵野先輩と会うことはなかった。
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