第9話 偶像
翌日は日が登って直ぐ、霧雨の中の出発となった。
そして、最後尾に付いてくる時雨は何とも気怠げに歩いてる。
「おいおい、勘弁してくれよ、私もお前らに行くのかよ……」
「お前を残したらあの隊員は、奴らより先にお前から逃げなくちゃいけなくなるからな」
「ハッハハ……ちげえねえな」
やはり時雨の恨みは消えないようだ。一笑いした後、まだ後方に見える逃げ出した隊員達の方を一睨みする。
「おい、一応言っておくが、あの中にもちゃんと住人をここまで連れて来た奴も居るんだ。全部を全部一緒くたにしたら……」
「言われなくても分かってる。しっかし、私も終わりだな。なんたって直属の部隊長をぶん殴ったんだ」
時雨の発するその言葉は終わった様には思えない声の響きがある。
いっそ清々しく聞こえるのだから多分こちらが本心なのだろう。
「まあ普通なら厳罰だが……今回に関して言えば、あいつの行動が原因なんだ、仕方ないだろ」
「回廊はこの時期暑くて死ねる」
紬がぼそりと呟いた。回廊とは中央にある反省室の一つだ。
違反者や軽微な犯罪者を収容する場所として使われる。
「え?紬さん回廊に入ったことあるんですか!」
「桜、五月蝿い」
一々反応する桜をギロリと睨む紬。
「まあ紬の話は置いておくにしても、時雨は回廊に行く事にはならない。時雨にはこのまま八番隊に入ってもらうことになるからな」
「……は?」
時雨が立ち止まり、前を歩く三人も立ち止まって時雨の方を見る。
「いや……は?いやいや!はぁ?」
「時雨、立ち止まっている暇はない。先を急ぐ」
「これからよろしくお願いしますね、時雨さん!」
桜と紬には、昨日の段階で話は通してある、
紬辺りは渋りそうだったが、住人を守って戦った実績からか、呆気なく承諾された。
「と言う訳だ。時雨、諦めろ」
「ちょっと待て!お前今八番隊つったのか?おいおい……悪い冗談だろ!つうことはなにか!その隊長って事はテメエ!八城、お前が、中央のシングルNo.八ってことか!」
「隊長?時雨さんにご自身のこと何も言ってなかったんですか?」
「いや……だって、ほら、聞かれなかったから」
「聞かれなくとも普通は言う」
時雨の驚愕は止まらない。
「八番……八番って言やあ!八九の英雄かぁ!つう事はお前が!東京中央のエースじゃあねぇか!ははっ!道理でバカみてぇに強い訳だぜ!」
煙のように立ちこめる霧雨が、立ち止まった四人を均等に濡らしていく。
「で?その八番隊に入る事に関して、私に拒否権はあるのか?」
「回廊に入って、あの隊長の元に帰るか。俺達と一緒に行くか。まあ選べると言えば、選べるな」
「選ぶ」その言葉を聞いて時雨は自分の手を見つめた。
アイドル時代では考えられない、量産刃を振るった事によって量産された手の豆。
時雨は昔、アイドルである事を選んだ。
煌びやかな世界と反面、裏ではライバルとの蹴落とし合い。
ステージの中央は一人分しか空きがなく、ただ狭い居場所を求めて研鑽を積む日々。
見せる物は美しく、かといって裏の私の在り方を表では見せる事は決してしない、二律背反の世界。
だから、時々立ち止まった時に考える。
今の私の在り方はどうだ?と
毎日入る事の出来ない風呂。
選ぶ必要の無い服。
ネイルも化粧も、歌もダンスも必要はないがとてもよく似ている。
あの裏と表の世界が、混じり合ったような醜くも美しい弱肉強食。
時雨は止まる事を嫌った。
それはトップを目指したからだ。
ではこの世界でのトップとは何か?
それは迷うべくも無い。
それは、強さだ。
そして、目の前に居るこの男はそれに最も近いところに居る。
なら答えは決まっていた。
時雨には今が自分の力を試すための絶好の機会だ。
「は!気に入らないな!私は自分で選ぶ。てめえの指図なんか受けるかよ!」
「八城君、撃っていい?」
「やめなさい何でもかんでも撃とうするもんじゃありません……じゃあどうする時雨?」
「勝負しろ。私が負けたらお前の隊に入ってやる。だがお前が負けたら私がその刀をもらう」
時雨が指差したのは八城が右に下げている雪光の事だ。
「八城君撃っていい?」
「やめなさい。っていうか紬!銃を下ろせ!桜も、うきうきしてるんじゃない!……だが、まぁそれでお前が満足するならその勝負受けよう」
八城は紬に雪光を渡し、通常の刀を腰だめに構える。
「話が早くて助かるぜ」
時雨も抜刀し、腕片腕のみで構える。
我流対我流の勝負。
薄い雨の降りしきる中、剣戟の幕が上がった。
そして十分後
「いってーいてーよ!クソいてー」
変な歌が聞こえる中、八城達八番隊新たな仲間、時雨を引き連れて777番街に向かっていた。
「いてーいてーよ!最高にいてーよ!手加減を知らない男はもてねーぞ!」
時雨が歩く紬に腕を回し、紬は心底鬱陶しそうにしているが文句を言わない辺り、気を許しているのだろう。
事は数分前。
居合いによる一撃で勝負を決めようとした八城だが。
それは時雨に対して甘い考えだったと言わざるをえない。
時雨は即座に半歩下がるとあろうことか石を投げて来た。
そして距離を一気に詰めて一刀。
完全にタイミングを逸した八城は居合いを諦め。
即座に抜刀。
八城が逆に時雨から距離取ろうとしたところ時雨はそのままの勢いで組み付いてきた。
癖のある足技が、妙に様になっている。
そして我流剣術による滅茶苦茶な刀捌きで、八城は時雨の攻撃範囲から逃げ出す事が出来ない。
その剣の早さも足技も、人間を相手に想定した動きではない。
だが……だからこそ、勝負は簡単に着いた。
八城はわざと大振りに刀を構える。
時雨は誘いに嵌り、八城のガラ空きになった、腹に刺突を繰り出す。
だが八城は半身でその刺突を躱し、その隙間に刃を滑り込ませ、その勢いのまま懐に潜り込み柄で時雨のみぞおちを思い切り抉ったのだ。
それからというもの、時雨はこの変な歌を歌い続けている。そして何故か歌が微妙に上手い。
「流石隊長です!女子に容赦しないのは基本オプションなんですね!」
「女子に腹パンとか八城君チョーロック!」
「やめてくんない?俺が悪いみたいじゃん!そもそも!考えてもみろ!あの刺突!刺さってたら俺死んでるから!そもそもお前らが俺に容赦ないんだからな!俺のせいじゃなくないだろ!おい何二人ともそっぽ向いてんだよ?こっち見ろ!」
「「……」」
桜と時雨は雨除けのフードを目深に被り視線を逸らす。
「いや〜しっかしよ?この一帯は何が起きたらこんな事になるんだ?」
時雨が歩きづらさから、足元の悪さに愚痴を零す。
瓦礫の上から苔が覆い瓦礫の隙間からは植物が、膝丈ぐらいまで伸びてきている。
この場所は四年前に、自衛隊による大規模攻撃が行われた場所である。
ここを直線で進むのは危険として、正規ルートから外されていたのだ。
「このルート、道が入り組み過ぎてて、通る道としては不向きなんじゃないですか?」
桜がそう言うのも確かに頷ける。
建物が倒壊しているせいで、迂回することが多すぎる。
瓦礫の上を歩こうものなら木製の屋根などが劣化して、足下が抜けたり、雨で濡れていて滑ったりと、非常に危険なのだ。
だが、今は1秒とて無駄にできない。
「十三号線に出るまでの辛抱だ」
八城はそう言って全体を進ませるのだが、それから歩いて30分後
「ねえ八城君……私はどこまで辛抱すればいいの?」
その言葉が紬の口から零れた
目的地まで直線距離で後三キロ。都筑PAから一キロほど進んで、見えて来た13号線は道幅ギリギリに、車の大渋滞が四年前から変わらない光景で時が止まっている。
だが大規模戦闘があっただけあるのだろうここ一帯に奴らの姿は見当たらない。
「そりゃ多分こんな世界で生きてる限り辛抱の連続だ、今日も我慢で明日も我慢だ」
八城はそう言って先に進んでいくと先頭を歩く紬が警戒態勢を取った。
耳を澄ます紬は、その声に耳を傾ける。
「八城君、誰か居る……」
紬がそう言ったのは都筑PAから二キロほど進んだ場所。
路線沿いのフェンスを歩き、辿り着いた駅構内から聞こえてくるのはガラス片を踏みならす音。
「どう考えても今日は雨だしピクニック日和じゃねえよな?」
「隊長どうしますか?」
時雨が軽口を叩き、桜が八城に問いかける。
物資探索か?
……いや違うな。駅構内で、待機している理由が無い。
じゃあ同じ遠征隊か?
これも違うだろう。
777番街で合流する遠征隊の情報は受けていない。
それにここは未開拓ルート。
どんな危険があるか分からない場所でもある。だからこそ、被害を減らすためこの未開拓ルートを通る部隊は八番隊のみとされているのだ。
そもそも、好き好んでこの未開拓ルートを通る隊など居ないだろう。
「間違いなく統率の取れた人の気配だ、行ってみるしかないだろうな……。俺と紬で様子を見てくる。桜、時雨は駅入り口前で待機。十分して俺達が戻ってこなかったら二人で駅構内まで上がって来い」
「おう大将!気張って、行ってこい!」
「了解です」
八城と紬は二人を置いて比較的古びていない駅の階段を登っていく。
「やっぱり、誰か居るな」
駅構内、その奥にある駅員用の部屋から慌ただしく人の動き回る音、そして……
「誰か負傷してる」
紬の足元から、点々と部屋に続くようにして血痕が案内するように落ちている。
外から来たのは明白で、靴裏の泥の跡から十人前後といったところだ。
八城は閉ざされている扉をノックすると、警戒を示すように中で動き回る音がピタリと止んだ。
「あ〜中央所属の八城と言うんだが何か困ってる事があるなら……」
とそこまで言い扉が勢い良く開いた。
「助けて下さい!」
中から出てきたのは見覚えのある顔。
こいつは確か……そうだ、十七番隊に居た隊員だ。
「隊長が!」
「紬、下の二人を呼んで来い。緊急事態だ」
紬は八城のその一言で全てを察し黙って下に居る二人を呼びにいく。
「十七番は今どこにいる?」
「こっちです!」
通されたのは休憩所のようなスペースだった。おびただしい量の血が流れ出ている。
「やあ……八番かい、見苦しいとこを見せたね」
横たわるのは、紛れも無い十七番隊の隊長だ。
「お前、噛まれたのか?」
「ああ……」
見たところ外傷からの出血は止まりつつある。
だが彼女の身体が失血以外の原因によって、一刻一刻と衰弱しているのが分かる。
問題は内側にある。
多分噛まれて間もないのだろう。
その血液を身体に廻らせないよう噛まれた部位の直近を切った。
だが、間に合わず噛まれた部位からの感染が彼女の命を削っている。
「噛まれてどのくらいだ?」
「今丁度一時間ぐらいです。」
直近にいる隊員の一人が答える。
「ギリギリだな……おい十七番、お前口は堅い方か?」
「?死人に口無しの事を言ってるなら……随分厭味じゃないか八番」
「まだ随分と元気だな。これなら大丈夫か……おい!十七番隊の隊員ども!お前らも今から起こった事は口外するなよ!いいな!」
八城の剣幕に十七番隊の面々はコクコクと頷く。
「十七番。これ噛んどけ……あと、お前と、お前と、お前……それからお前も!十七番の身体を全力で抑えろ。痛いぞ」
八城は使っていない包帯の一つを十七番に噛ませ隊員が十七番の四肢を抑える。
「……………?」
十七番が何か言うより前に、八城は抜き放った雪光で十七番の患部を
より具体的に言うのであれば、奴らに噛まれた場所を深く刺し貫いた。
「ふっぐぐぐぁぁああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」
「お前ら!ちゃんと抑えろ!抜けたら、しゃれにならない!」
隊員を総動員して、ベットに横たわる十七番を羽交い締めにする。
「何ですか今の叫び声は……ってえええええ!」
「桜うるせえ……って、おいおい!大将は気でも狂っちまったのかよ!?」
桜の絶叫に時雨が悪態を付く。
「ん、二人を連れて来た」
二人の驚愕はさもありなんと言ったところだろう。
なにせ、この光景を端から見れば、刀が垂直に足に刺さった女を、全員で羽交い締めにしている光景なのだから。
そして、それから一五分後。
雪光の刀身は墨色に変化を始め、そこから五分としない内に、変化を終えた。
するとそれと呼応するように十七番の顔に、微かながら赤みが差す。
八城は十七番の足からゆっくりと、雪光を抜き、鞘に戻す。
「おい、大将。これがどういう事か、説明してくれんだろうな」
時雨の詰問は当然だ。
噛まれたら「奴ら」になる。
それは例外無く、一つの漏れも許さない。
それが今の世の一般常識だ。
「隊長……すみませんそれは私もちょっと……」
時雨と桜の疑うような視線。
二人の言いたい事は分かる。
今起こった事は、今、現在にあってはならない事だった。
噛まれた人間は助からない。
それがこの世界での常識。
部位切除という例外はあるものの、そんな物が成功する事は一握りだ。
だがそれ以外の方法で八城は今、一人の命を救った。
十七番の手当が終わり全員の視線が八城に向いていた。
そして、一番最初に口を開いたのは助けられた等の本人だ。
「すまない八番……助けてもらっておいて、私がこう言うのも分不相応なのは承知しているが……なぜその方法を公表しないんだ?」
やはりそういうことになる。分かっていた。
だが紬はその全員に睨みを利かせる。
「十七番も桜も時雨も。知らなくて良い事もある」
紬が牽制するように前に出る。
それはある種、事情を知っている者の行動だ。
「おいおい、ちみっこ。そいつは今までの常識を破るもんだ。どういう事なのか説明する責任が、持ち主にはあるんじゃねえのか?」
時雨のその言葉は低く、逃れる事は許さないと言外に表していた。
それは桜も十七番も、そしてそれを目にした隊員も同じ意見なのだろう。
じっと説明を求めるように八城を見つめている。
「しつこい。八城君が話さないのなら、それは知る必要がない事!あなた達が立ち入っていい話じゃ……」
「もういい。これを知られたなら……もう隠せないだろ」
八城が止めると紬は敵意を仕舞い込み、八城の後ろに下がる。
八城は簡潔にこの刀の素材、そして奴らへの効果などを語る。
「でもそれでは私が助かった事への説明にならないんじゃないかい?」
「ああ、この刀は生きてる。この刀は自己再生をする。さっきの説明でここまでは分かっただろ?そして使用限界。奴らを切れば切った分だけこの刀は黒く染まる。
だが、おかしいだろ?何でこの刀は黒く染まると思う?答えは簡単だ。奴らの遺伝子情報を吸い出して刀身にある自らの遺伝子情報を奴らに流し込んでる。つまり簡単に表すなら、この刀と「奴ら」の間での共食いだ。そしてその間で起きる拒絶反応がこの刀身を黒くする。て言うのが、俺が一華から聞いたこの刀の全てだ」
「じゃあ今の刀身を黒くしているのは私の中にあった……。言うなれば奴らになる因子ってことでいいのかな?」
「そうだ。だがこの方法が使えるのは噛まれてから1時間以内の者。しかも軽度に噛まれた者だけだ。一人当たりかかる時間は最大で三十分。そして使用限界だが」
八城はその刀身のほとんどが黒く染まった『雪光』を全員の前で提示した。
「今みたいに医療目的で使うとなると一日に二人が限界だ。それ以上は使えない」
「でもよ大将、東京中央にそれを言わないのは何故だ?」
「八城君は進言した。だけど口止めされている」
だがそれでも時雨は言い募る。
「だから!それが何でかって、聞いてんだ!人がこれだけ死んでるんだぞ!おかしいだろうが!」
時雨の目の前、この技術があれば今まで助けられた人間が居た。
目の前で死なずに済んだ人間を時雨は文字通りの五万と見て来た。
「一華さんですね?」
桜は理解したようだ。
「雪月花。お前らも噂ぐらいは聞いた事があると思うが、現存する三シリーズの名前だ。同じ性能を持つ二振りの所有者を、東京中央は知らない内に放逐した。だからその事実を三シリーズごと無かったことする必要があった」
理解が追いついている者、納得がいって居ない者、雪光を痛ましげに見つめる者、それぞれの反応を見せる中時雨はそれでも怒りを内包した言葉を八城へとぶつける。
「だがよ、現にお前は持ってるじゃねえか!」
時雨はそれでも納得がいってないのだろう。当然だ今の行為は助ける人間と助けない人間の線引きを、八城が勝手にしているという事に他ならない。
だが、その点に関しては八城としても食い下がる事はできない。
「ああ、だが考えてみろ。今回たまたま、十七番は助かる方法があった。だがどうだ?これが十人、二十人噛まれて。救えるのは二人。時雨!お前は殺す十八人を選べるのか?」
そう聞いた時、誰もその問いに答える事ができない。
「そうだろうな、柏木議長も。俺も。……それが出来なかった。研究所に回そうにも、取り扱い方も不明。詳細は放逐した一華しか知らない。だから形のままの、用途に使う事で今はここに収まっているわけだ」
八城の説明に十七番は得心がいったと、深く頷いて見せた。
「八番、それを知っている人間ははどれだけ居るんだい?」
「柏木とシングルNo.の連中それから元壱番隊の奴と……それから紬だな。あとは……」
八城はここに居る全員を見渡す。
「じゃあ決まりだ」
十七番はベッドから向き直り全体へ力強い言葉を投げかける。
「これは十七番隊長として厳命する。雪月花三シリーズ及びそれに関する能力の口外はこれを堅く禁ずる。これは市民全体に不和をもたらす脅威であり、これを破る者は重大な反逆としてこれを私が断罪する。これは八番、十番、十七番による総意である。この決定に意義がある場合は直ちに申し立てるように!」
桜は正座しながら、時雨は頬杖を付きながらも静かに話を聞いている。
そして、八城は十七番に深く頭を下げた。
「すまん、助かる」
八城のその頭を下げる姿を、紬は痛ましい物を見るような目付きで見届ける。
その後は時間が経つに連れて日も傾いて来たが、夥しい出血を伴った十七番の様態は、一刻を争うものになりつつある。
置いていくという選択はなく、十七番を担いで連れて行くと総意で決まったにも拘らず。
等の本人が「私はここに残る」と言い出し。置いて来た住人の話をして十七番を無理矢理連れて。
残り三キロの道を十七番隊を連れ無理矢理に前進した。
辺りは暗くなり街灯も無い道を、地図を頼りに何とか目的地まで辿り着いた。
「ギリギリだったな……」
一度の激しい戦闘があったが、八城たちは無事777番街に到着した。
替え刃ゼロ、総残弾5。
急場凌ぎで使用した雪光の刃も、その全てが黒く染まっていた。
八城は777番街区の詰め所に駆け寄り、都筑PAにとり残された66番街の住人救出要請と重傷者の収容を依頼して、八城は気を失うようにベッドに倒れ込んだのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます