第5話

ユノと男は『蜘蛛アレニエ』の事務所に入っていく。

「ここは?」

「ここは看板に書いてあった通り『蜘蛛』っていうパーティの事務所だ」

「じゃあ、あなたは?」

「あぁ、自己紹介してなかったな。オレはサシャル、蜘蛛のパーティリーダーをしている」


階段を登っていた二人は話しているうちに事務所の最上階に着いた。最上階と言っても三階建ての最上階だが。

ドアを開けた先には、広い部屋があった。

部屋には誰もいない。いや、変な生き物がいる。何あれ?

ユノは変な生き物の存在に無視してサシャルに聞いた。

「なんで、私をここに連れてきたの?」

「オレは晩飯を奢るって言ったんだ。もうそろそろいい時間だから食べながら話そう」

「あぁ、うん」


二人は二階の食堂みたいな場所でインスタントラーメンをすすり始めた。

インスタントラーメンいいよね、文明の利器だし。

気まずい沈黙が続く。


沈黙を破ったのはユノだった。

「で、なんで私をここに呼んだんですか?」

「あぁ、お前死霊術師ネクロマンサーなんだろ?」

「はい、学園の死霊術師科の卒業生のことを言うなら」

「ユノ、お前この蜘蛛に入る気はないか?」

「はい?」

サシャルは今なんて・・・。私の耳が狂ってなければ・・・・。

「だから、お前をこのパーティの仲間にしたいって言ってんだよ」

私の耳は狂っていなかったらしい。

「詳しく教えてください!」

「おう!」

『蜘蛛』はサシャル以外にも二人メンバーがいて、メンバーが足りないため自分達で良さそうなメンバーを探しているという。

何故、ギルドのメンバー募集になかったのかと言うと、「そんなんあったのか?もう見つかったしいいや」らしい。なんて適当な。

まぁ、

まぁ、そのおかげで私にその役が回ってきたわけで。

「もう、そろそろ帰ってくるんじゃないか?」

サシャルはドアを見つめて言った。

「へ?」

ユノもつられてドアの方を向いた。


音もなくドアが開いた。

入ってきたのは長い赤髪の少女と片目を眼帯で覆った長身の男だった。

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