第13話
「いてぇ……殴る事無いだろ……」
「お前が馬鹿にしてくるからだ! で、お前は何をしてるんだよ」
「お前と一緒だよ、取り置き頼みにきたんだ」
「まぁ、そうだろうと思ったよ……どれを買う予定なんだ?」
「あぁ、これ」
そう言って高志が指さしたのは、女性用のブレスレットだった。
値段は3万と結構な高額商品だ。
「よくそんな金あったな」
「修学旅行で貰った小遣いのあまりと……後はバイト代でなんとか」
「テストも近いってのに、バイトしている暇なんてあるのか?」
「……ない」
「じゃあどうやってこれ買うんだよ……」
「……くっ……成績が下がるのは仕方ない!!」
「それで補習になったら元も子もないだろ……」
「……どうしよう……優一」
「俺に聞くなよ!!」
高志はとりあえず商品を取り置きしてもらい、優一と共に店を後にする。
「まぁ、俺もお前のことは言えねーけどよ……バイトの宛てもねーのかよ」
「いや……求人アプリで探せば簡単に見つかるかとおもったんだが……」
「はぁ……これだから日頃バイトをしないやつは……」
高志と優一は近くのファーストフード店に入り、話しをしていた。
机にはアルバイト情報誌が広げられ、二人で短期バイトを探していた。
「とにかく早くバイトを見つけないと!!」
「そうは言っても……今のバイトは全部クリスマスのバイトだしなぁ……仕方ない、知り合いに聞いてみるか」
「おぉ! 何か割の良いバイトがあったら、俺にも!!」
「分かってるよ、少し落ち着け」
優一はそう言うと、どこかに電話を始めた。
「………そうですか、ありがとうございます。あぁ、はい二人でお願いします。はい、それじゃあ……」
「ど、どうだった!?」
「あぁ、大丈夫だってよ、日給1万2000円だ。三日もやれば十分だろ?」
「おぉ! 流石優一! で、仕事内容は?」
「………まぁ……なんだ……少し特殊な仕事だが……大丈夫だろ」
「おい、その仕事って法に触れるような仕事じゃないよな?」
「あぁ、その点は大丈夫だ……多分」
「多分ってなんだ!!」
そんな優一の言葉に多少の不安を感じつつも、それだけ好条件なバイトも他には無いので、優一にバイトの場所と時間を聞く。
「じゃあ、今度の休みは頼むぞ」
「あぁ、お互いクリスマスの為に頑張ろうぜ!」
「俺はプレゼント代さえ稼げればそれで良いんだよ」
二人はバイト先を決定し、なんとかクリスマスプレゼントを買う為の目処を立てた。
「しかし、お前は今日も一人か?」
「今日もってなんだよ」
優一にそんな事を言われた、高志は不服そうに優一に尋ねる。
「いや、最近宮岡と一緒のところをあんまり見ないなって思ってな、喧嘩でもしたか?」
「いや? 家では一緒だし……最近は下校の時間が会わないだけだよ」
「ふぅーん……まぁ、それなら良いんだけどよ……」
「なんだよ、何か言いたげだな」
「別に何でもねーよ、そろそろ倦怠期でも来たころかと思っただけだ」
「俺たちに倦怠期なんてくるかよ!」
「はいはい、じゃあ俺は帰る」
そう言って優一は店を後にした。
残った高志は優一の言葉を思い出す。
『……一緒のところをあんまり見ないなって……』
「……確かに……最近は前より一緒に居ないかも……」
最近高志はバイトを探したり、クリスマスの準備をしたり、勉強をしたりで色々忙しい。
しかもクリスマスの準備の事は紗弥には内緒だ。
あまり紗弥に隠し事をしたくない高志だが、これは仕方ない。
「ん……メッセージか?」
そんな事を考えていると、高志のスマホに誰かからメッセージが入る。
高志はスマホを取り出して、メッセージを確認する。
【いつ帰ってくる?】
メッセージは紗弥からだった。
高志は紗弥からのメッセージを見て、店の時計を確認する。
「あぁ、もうこんな時間か……」
いつも帰る時間よりももう一時間も遅いことに気がつく高志。
急いでトレイを片付け、高志は店を後にする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます