第4話
*
修学旅行から一週間が経過し、高志達の学校では期末テストが近づきつつ合った。
高志達のクラスでも修学旅行の楽しい雰囲気から、テスト前のピリピリした雰囲気になっていた。
「高志、そこ間違ってるわよ」
「え? あ、本当だ。ありがとう紗弥」
高志と紗弥は机を合わせてテスト対策の勉強をしていた。
「だから、違うって言ってるでしょ!」
「痛っ! 頭を叩くな!」
朋香は赤西の席の前に座り、赤西に勉強させていた。 そんな二組のカップルを恨めしそうに見る繁村。
「うぅ……クソォ……あいつらばっかり……」
「繁村、そろそろ醜い嫉妬はやめたらどうだ?」
「俺にだけ言うな! 教室の男共を見てみろ! ほとんどが恨みを込めた視線であいつらを見てるんだぞ!」
「……少し前まで俺もこんな感じだったのか」
土井は教室の男子生徒を見ながらそんな事を思う。
「繁村にもいつか良い出会いがあるさ」
「それっていつだよ……」
「………勉強しなきゃね」
「おい! はぐらかすな!!」
繁村と土井がそんな話しをする隣で、泉はため息を吐きながら窓の外を見つめていた。
「はぁ……」
「おいどうした泉?」
「ん? あぁ、優一……な、なんでも無いよ。それよりも勉強してる?」
「まぁ多少はな……泉は頭良いから余裕だろ?」
「そ、そんな事無いよ、普通だよ」
窓の外を眺める泉に優一は声を掛ける。
優一はため息を吐く泉を少し心配していた。
修学旅行での由美華との一件以来、泉は元気が無い。 優一は、泉を少し煽りすぎただろうかと反省していた。
「まぁ、なんか悩みがあんなら言えよ、相談に乗るからよ」
「ありがとう、でも本当に大丈夫だよ」
「そうか? それよりも……」
そう優一が言いかけた瞬間、教室のドアが勢いよく開け放たれた。
「優一さん!」
「……」
「なんで無視するんですか!」
「……はぁ……」
「ため息もやめてください!!」
教室のドアを開けて入ってきたのは芹那だった。
真っ直ぐに優一の元に駆け寄ってきた。
優一は顔に手を当ててため息を吐く。
「お前なぁ……教室には来るなと……」
「なんでですか! 折角のお昼休みなのに!」
「どうせ放課後も来るんだろ……周りを見てみろ、この教室にはカップルを見ると襲いかかってくるモンスターが大勢居るんだよ……」
「ん? そんなのどこに居るんです?」
「お前には見えないだろうがな……いっぱい居るんだよ……」
優一はそう芹那に言うと、芹那を連れて教室の外に逃げて行った。
「優一めぇ~……年下の彼女とイチャコラしやがってぇ~」
「帰って来たら殺す!」
「だが、あいつは喧嘩強いぞ?」
「全員で掛かれば怖くない! それにだ、嫉妬に狂った俺たちがどれほどの力を持っているか、あいつに思い知らせてやろう」
「それもそうだな」
優一が居なくなった教室では、嫉妬に狂ったモンスター(クラスの男達)が不気味な笑みを浮かべ、優一を亡き者にする作戦を立てていた。
「はぁ……もうすぐクリスマスなのに……彼氏欲しいなぁ……」
「かと言って、うちのクラスの男子はあれだし……」
「「「はぁ……出会いが欲しい」」」
嫉妬に狂うクラスの男子を見ながら、女子達はため息を吐く。
「由美華は良いわよねぇ……モテるから」
「え? そ、そんな事ないよ!」
一緒に居た由美華が話しを振られる。
「でも、この前も他のクラスの男子に告白されてなかった?」
「あぁ……まぁ……」
「「「ほらぁ~」」」
「べ、別にそんなんじゃ……」
由美華はそんな事を言いながら、窓の側に居る泉に視線を向ける。
修学旅行が終わった後も由美華と泉は、あまり会話をしていない。
由美華は泉の言葉が引っかかっていた。
『……告白する前の……友達だった時の方がお互い良いだろう?』
「……本当に……これで良かったのかな……」
そんな事を呟きながら、由美華は泉の方を見る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます