第6話 マッサージ(いや、ホントにただのマッサージだからね)
「ほほう。このレイムちゃんにマッサージをお願いしちゃいましたね! 良いでしょう! やりましょうよ! プロの業を見せましょう! とうとうポンコツじゃないところを見せられるわけね。
別にえっちなことしなくったって天国へ連れて行っちゃうんだからね!」
そしてレイムは比呂貴をベットに寝かせてマッサージを始める。
「えてててぇ!」
比呂貴が変な悲鳴を上げる。
「もう、ちゃんとやってよ。」
「えっ? ちゃんとやってるでしょう。じゃあ次ね。」
「いぎぎぎぎぎぃぃ!
ちょっ、何やってんのさっきから。もうオコだよ! レイムってマッサージめちゃくちゃ下手くそじゃん!
そりゃあ、お店もクビになるわ! やっぱりポンコツぅぅ!」
「そっ、そんなことは無い、はず………。」
比呂貴にズバッと言われてちょっと困惑しているレイム。
「もう、マッサージってこうやるんだよ。ほら、レイム、そこに寝て!」
攻守交替で今度は比呂貴がレイムをマッサージする。
「ひゃん! もう、どこ触っているのよ。」
「え? どこって腰だけど。」
(注:普通のマッサージです。)
「うっ、なかなか巧いわね。どこでそんな業を習得してきたのよ。」
「え? オレも三十になってからは、ほぼ毎週マッサージ通ってるからね。」
(注:普通のマッサージです。)
「ひゃん! なっ、なかなか気持ち良いわね。でも負けないんだからね!
あふぅ。」
「さっきから変な声出してうるさいよ。こっちも集中できないでしょう!
ってか、何と戦ってるんだよ。」
(注:くどいようですが、ただのマッサージです。)
「はぅ。ううう。なっ、なかなかっ。ああ、これは、もう、ダメかも………。」
「ほらな? オレの方がテクは上だよな。」
(注:くどいようですが、ただのマッサージです。)
「もっ、もうらめぇぇぇ! きもちいいいぃぃぃ!
もう、らめれす。まいりました。へろへろぉ。」
「もう、だから普通のマッサージって言ってるでしょうが!」
そしてその後は軽く食事とシャワーを浴びてその日は終わったのである。
もちろん何事もなく二人は仲良くベットで寝るのであった。まっ、お互い馬車旅で疲れていたんだと思う。
翌朝。
宿屋さんには引き続き宿泊ということを伝え、朝から外出をしていた。
「まずは冒険者登録から行いましょう。登録所が混んでいたら厄介だわ。」
そう言ってレイムは案内してくれようとした。
「了解! でも、とりあえず朝食にしようぜ。たぶん、それなりに時間かかるんだろ?
途中で腹が減りそうだ。」
「そうね。そこでご飯食べながらでも今日の作戦考えましょう!」
そして二人はカフェで朝食を取りながら話をする。
「えっと、今日は冒険者登録と本屋さんに行けば良いんだっけ?
しかし、ロキが字読めないなんて意外ね。私だって人族の文字は読めるっていうのに。クープスプスって感じだわ。」
「ぐぬぬぅぅ。レイムに言われると、とても腹が立つがしょうがない。ってか、異世界からきたんだからしょうがないだろ!
普通に会話で来てるのが異常なくらいだわ。」
「まあ、それもそうね。」
「ふん。オレってば語学は得意なんだ! 文字なんかすぐに覚えてやるからな!」
「へいへい。そりゃあ頑張ってね!」
「あ、そういや冒険者登録って簡単って言ってたけど、なんか必要なものってあるの?
オレ、身分証とか無いし、ってか文字書けないけど!?」
「なっ!? 確かに!
いやね、登録はぶっちゃけ書類に名前書けばいいんだけど困ったわね。まあ、私が代わりに書けば大丈夫かな?」
「それは助かる。お願いね。」
そして二人は冒険者の登録所へ来た。
「うわぁ。結構人ってか、人以外もいっぱいいるなあ。朝からご苦労なことだ。」
比呂貴はボソッと呟いた。
「うーん、ちょっと出遅れたか。でも、これでもマシだと思うけどね。繁忙期だったらこんなもんじゃ済まないわね。」
「ってか、これみんな冒険者やるのか?」
「ふふ。さすがロキね。いいところに気が付いたわ!
ここ数年は、この冒険者ってのが身分証みたいになっているのよ。ドルクマンはもちろんのこと、連合王国でも審査がちょっと緩くなるみたいなんでゴソッて取りに来てるみたい。」
「え? そんな名前だけ書いて取得できるようなものが証明書になるの?
そんなの悪用しようとしたらなんぼでもできちゃうんじゃね?」
「たっ、確かにそうね。でも、今のところそんな大事件が起きたとか聞いたこと無いけどなあ。
あと、連合王国でも首都に入るのには冒険者はあまり関係ないみたいだけどね。」
「ふーん。まあ、いいか。とりあえず並ぼうぜ!」
そして三十分くらい並んだであろうか。ようやく比呂貴たちの番である。
「それではこちらの書類に必要事項を記載ください。記載が終わったら次は二番の窓口にお並びください。
お名前は必須ですが、残りは分かれば記載ください。全部プレートに刻みますのでその分有効に活用できますよ。」
「な、なるほど。ありがとうございます。」
比呂貴はオレを言いながら書類を受け取る。
書類を記載する場所は別にあるみたいである。これならレイムが文字を記載していても大丈夫そうである。
「んじゃ、記載よろしく!」
「はいはい。任せてよ。って、なんか項目が増えてるわね?
後見人? ご紹介の方はご記載くださいって書いてある。まあ、私の名前入れておく?」
「そうだね。お願いします。確かに受付のお姉さんが言ってた通りで、記載内容が多いほど証明書としての価値が上がる。」
「えっと、名前は『ロキ』で良かったかしら? あれ? ちょっと違ったわよね?」
「うーん。そうだな。出来れば『こだまひろき』って書いといて!」
「あら、意外と長い名前だったのね。あと、このイントネーションの名前ってどこかで………。まあ、いいや。
住所は無いよね? 私も記載してないわ。」
「うん。ダンの宿屋を記載しても怒られるよな。」
「で、後見人は私で良いから、『レイム』って書いとくわ。職業は『冒険者』っと。あ、等級の『シルバー』も付けておこうっと。かなり偉いからね!」
「おお! 等級なんてあるんだ?」
「そうよ。当たり前じゃない!
『スチール』『ブロンズ』『シルバー』『ゴールド』『プラチナ』の五階級かしら。昔はスチールなんてなかったんだけど、ここ数年、身分証で使う人が出てきたからそのための対策かしらね? スチールは実質身分証って感じ。
ちなみに私のシルバーもなかなかのものなんだからね! まあ、三年くらい真面目にクエストこなしていればだいたいなれるけど。」
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