第3話 いざ、ドルクマン王国へ出発!
朝食も済んで、各々準備をして、その後、みんなは乗り合い馬車の定期便の駅にいた。
「なんじゃ、馬車で行くのか?
てっきり儂が送っていくのかと思っておったわい!」
「ぐへぇ!
ファテマさんのドライブはもう勘弁して下さい。ほんとすんません。無理です。」
「なんじゃ、情けないのうあれくらいで。
でも、馬車なら行だけでも一日は掛かるだろうから三日で戻ってくるのは難しいのう。」
「確かにそうかもしれないね。でも一週間くらいでは戻ってくるようにするよ。オレもその後の連合王国も楽しみだからね。」
「ふむ。わかった。道中気を付けてな。
あっ、それと道中時間もあるじゃろう? 儂らのこともレイムに話してやれ!
あと、お主のことも話せるだけは話してやるが良い。」
「うん。そうだね。そうする。」
「ところでレイムは荷物無いの?」
比呂貴は尋ねる。対照に比呂貴は大きめのリュックにいろいろと詰め込んでいる。
「あ、私ね、服とかは不要なの。身に着けているのは全部魔法なのね。
あと、お金とか小さいものなら躰にしまえるの。」
そう言ってひょいとお金を出して見せた。
「おおぉ! スゴイ!
レイムってただのポンコツじゃないじゃん!」
「えっ? ホントに?」
「うんうん。出来るポンコツだよ!」
「って、やっぱりポンコツじゃん! 酷いよ!」
「あはは!
でも、ひょいってヤツは人前では止めといた方が良いかもね。スリに間違われるかも。」
「うん。やっていないよ。だって、前にこっぴどく怒られたことあるし。」
「ありゃ。もうすでに怒られてたやつですか。」
と漫才みたいなことをやっている比呂貴とレイム。
その後、レイムは瞳を輝かせてアイリスに尋ねる。
「ねえねえ。アイリスちゃん!
しばらく会えないからさ、ギュッーーってハグして良いかな?」
「ええ? ダメに決まってんじゃん。暑苦しいし、めんどくさいし。」
「え? ちょっとだけでも!」
「それにお姉さん、そんなことしたら消えちゃうんじゃなかったっけ?」
「確かにちょっと消えそうになっちゃうかもだけど、そこはほら、ロキが何とかしてくれるわよ!」
「なんだ? 結局オレに丸投げかよ!」
比呂貴が突っ込みを入れる。
「まあ、ダメなものはダメだけどね。ぶっちゃけめんどくさいし。」
アイリスは素になって答える。
「せ、せつない。しゅん………。」
「まあ、諦めろ。
オレもファテマさんの尻尾をモフモフしたいんだけど、結局一番最初にモフモフして以来、一回もしていない。結構扱い酷いからな。」
しょんぼりしているレイムに比呂貴は声を掛ける。
そうこうしているうちに馬車が到着した。
二人は馬車に乗り込んだ。
「じゃあ、行ってくるが良い。道中気を付けてな!」
「うん。行ってくるね!」
ファテマと比呂貴が挨拶を交わす。
「ねえ、アイリスちゃん。行く前に一つだけお願い!
私の事はお姉さんじゃなくってレイムって呼んでよ。ロキですらロキなのになんか私だけ仲間外れみたいで切ないよ!」
「ん!? うん。それなら良いよ。じゃあ、行ってらっしゃい。レイム!」
とびきりの笑顔付きで挨拶をしてくれたアイリス。
「うん。行ってくりゅうぅ!」
レイムはまた影が薄くなりながら答えたのである。
そして馬車の中。乗り合いの馬車だが、中は狭く、六人程度しか入らないスペースである。
そしてお客は今のところロキ達しかいない。
「なっ、なんか狭いな。」
「しょうがないんじゃない? どちらかというと今は閑散期ってやつだもん。」
二人は話しているところに運転手のおっさんが二人に話しかけてきた。
「二人はこの定期便は初めてかい?」
「はい。」
ふたりは仲良くハモりながら答える。
「そうかい。なら簡単に説明しておくぜ。
この街での停留所はあと一か所だ。それが終わったらあとはひたすら走り続けるから注意しな。
途中1回だけ休憩を挟むんでよろしく。で、夜中にドルクマン王国の入り口に到着する。ドルクマン王国での停留所は王国入り口だけなんでそこんところよろしく。」
「わっ、わかりました。」
簡単にとは言っていたが、あまりにもアバウトな説明で不安いっぱいな比呂貴だったが、とりあえず返事をしておいた。
で、馬車の途中。比呂貴はレイムからいろいろと聞き出す。
「ねえ、レイム。ドルクマン王国には行ったことあるって言ってたよね? あっ、住んでいたんだっけ?
で、ぶっちゃけどんなところなの?」
「ドルクマン?
うーん、色々と凄いわよ。政治が腐敗してるってことじゃないんだろうけど、腐敗っていったら帝国のほうが凄いわね。
って、今はドルクマンの話だったわね。
何というか、まさに力を持っている人がすべてってことかしらね?
実際に貴族じゃ無くても、冒険者でもめちゃ強くていっぱいモンスター倒している人が偉かったりもするわよ。
一応、法律なのはあるんだけど、でも、揉め事が起きちゃったときって、結局権力が強い人が正しいってことになっちゃうのがあの国ね。もう、滅茶苦茶よ!
まあ、ある意味わかりやすいんだろうね。それなりにちゃんと秩序だってるからね。人族のことは良くわかんないわ。
良くわかんないと言えばもう一つ。そうやって権力を持っちゃってる人って共通して変態さんが多い!
いやはや、なんでだろうね?
私も貴族のお屋敷でメイドさんとかしたことあるけど、だいたい変態な奴ばっかりだったわよ。私なんてまだ小さかったときなのに何回も恥ずかしい事させられたからね。
ホントにもう、サキュバスをなんだと思っているのかしら。もう反吐が出そう。まだ、魔族のほうがマシだわ。
まあ、変態って言ったらあなたも相当なものだけどね。平然としているのにその内にどんだけ邪なことを隠しているのやらね。」
「なっ、だからオレのはもっと崇高な奴って言ってるだろうが!」
『アイリスも極度の人間嫌いだけど、レイムもこの言いよう。この世界の人間って一体………。』
比呂貴は複雑な気持ちでレイムの言葉を聞いていた。
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