レイム(ポンコツ)編
第1話 レイム(ポンコツ)の登場!
『うーん。なんだろうなあ。このあま~い感じの心地。
モフモフとはまたちょっと違った感じの、そう、むにゅってした感じ!
これはこれでとっても気持ちがいいなあ♪
ん? むにゅっ!?』
寝ぼけていた比呂貴だが、この感触で一気に目が覚める。そう、定番シチュである、知らない少女のおっぱいを揉んでいたのである。
「ぎゃーーーーー!」
(注:比呂貴の声)
「なっ、なんじゃ?」
まずはファテマが比呂貴の部屋に来る。
「おい、どうかしたのか?」
続いてダンが一階からわざわざ駆け上がって来てくれた。
そしてそこにはひとりの少女が立っていた。一方、ベットには比呂貴が布団にくるまって怯えていた。
頭にはしっかりと重厚な巻角がふたつあり、顔は目元がキリッとしているが、一般的には可愛い系で身長は160センチくらいだろうか。
そして出るところはしっかりと出ているがだらし過ぎない大きさのおっぱい。そして腰はキュッと括れて(くびれ)おり、しっかりとしたラインのおしり。
さらに、ファテマやアイリスとは違う尻尾。一本出ており先にはハートのようなスペードのような形。
見た目としてはほぼ十八歳のJKである。そんな少女が身体のラインが良く分かるレオタードのような衣装を着ている。
「ロキよ。お主、とうとうそのような犯罪まで手に染めてしまったか。しかし、儂は出来るだけ擁護してやるからな。まあ、出来ることは限られようが………。」
ファテマがいつものようにゴミを見る感じで比呂貴を見ていた。
「いや、ファテマちゃんよ。様子がちょっとおかしいぜ?
この絵面、ロキのほうが被害者っぽくないか?」
ダンが状況を説明してくれる。
「そうだよ。二人ともちょっと待って! オレは無実だ!」
比呂貴は懸命に訴える。
「そうだな。確かにオレの宿はセキュリティばっちりだからな。鍵はそう簡単に破られないと思うからな!」
「いや、ダンよ。儂が入ってくるとき鍵は掛かっておらんかったぞ。」
「ああ、そうか………。
なら、申し訳ねえロキのダンナ。黒だったわ。鍵はちゃんと閉めないとそこの嬢ちゃんが入ってきてもしょうがねえ。
でも、お嬢ちゃんが勝手に入ってきたというところにはちょっとだけ温情があるかもしれないな。」
ファテマとダンは漫才のようなやり取りをする。
その後、ようやく少女が語りだす。
「えっと、白黒言うなら、彼は白だね。私が保証するわ!」
「だとすると、お主が不法侵入と言うことになるが?」
無駄にドヤ顔でいる少女に対してファテマが言う。
「えええ? あっ、いや、そうじゃないんだけど、ん? 確かにそうかもしんないけど。
えーっと、少なくても怪しいものじゃないから!」
少女はワタワタと弁明するが、しゃべればしゃべるほど、どんどんと怪しさが増していく。怪しい奴の宿命である。
周りからジト目を食らっている。
「えっと、じゃあ、自己紹介をするわね。私の名前はレイムよ。見た目通りの可愛いサキュバスよ!
この街でずっとマッサージ屋さんの仕事してたんだけどクビになっちゃってね。テヘへ☆彡
それで数日前からスゴい邪なオーラというか、そういうのを感じていてそれでなんだろうと思ってフラフラとここへ来てみたってところ。
一応、これでも魔族なんで、その邪念は私にとってはご馳走で魔力変換できちゃうからね。一晩隣で寝てただけだけど、それだけでもかなり魔力を充電できたような気がするわ。
あ、ちなみにこの部屋にはこうやって入ってきたの。」
そう言ってレイムは壁のすり抜けをしてみせた。
「私、霊体成分多めでね、その特殊スキルで壁抜け出来るんだ!
まあ、ちゃんと意識しないとすり抜けできないんだけどね。ここ注目!」
そしてレイムはまた謎なドヤ顔をしている。
「ロキよ。主はそこまで汚れた目で儂らを見ておったのか?
まあ、その辺は何となくわかっておったが………。」
レイムの説明で、今度は比呂貴に矛先が変わった。
「なっ!?
お、オレのファテマさんの尻尾への気持ちはそんな汚いものではないよ!
もっと崇高で美しく気高いやつだから!」
比呂貴は精一杯訴える。しかし、レイムがさらに無意識にとどめを刺しにくる。
「いやいや、あなたは大したものよ!
普通、邪な気持ちって言ったら、人族やエルフ族のように深く思慮ができる種族の特性で、それを増幅するには手っ取り早いところではえっちなことをするのが早いんだけど、あなたはそんなことしなくても、すでに邪なオーラが駄々漏れだもん。
逆に何もしてなくてここまで邪なオーラを出せる人族も珍しいわよ? ホントに何者!? ってなっちゃったわね。」
ファテマもダンも、もはや何も言わずただ憐みの瞳で比呂貴を見ていた。
「えええ。嘘だ………。」
そうこうしているうちにアイリスもひょっこり部屋に入ってきた。
「ねえ? どうしたの? ぜんぜん戻ってこないから来ちゃった。」
「ズッキュウウウーーン!
かっ、可愛い!!!
うわぁっぁあ。なに? なんなのこの可愛い物体は!?
ちょっとお姉さんと遊ばない!?」
そう言って、レイムはアイリスのところへ駆け寄った。
が、アイリスに華麗にかわされて、レイムはそのまま壁に豪快に激突する。
「ちょっと、レイムとやら、お主壁抜けが出来るんでは無かったのか?」
ファテマは呆れた様子で言った。
「あ、だからちゃんと意識していないといけないわけで………。」
壁からずり落ちながらレイムが答える。
「お姉ちゃん。この破廉恥極まりないお姉さんは何者なの?」
アイリスは比呂貴の時と同じくゴミを見るような目でレイムを見ながら言う。
『あっ、このゴミを見るような感じはオレだけじゃないのね。ちょっと安心したよ。』
比呂貴が思っているところでファテマが答える。
「えっと、レイムとか言っておったぞ。まあ悪い奴じゃなさそうだが、御覧の通りでかなり残念な奴じゃのう。」
「ふーーん。」
聞いておいて、さも興味なさげに華麗にスルーをするアイリスである。
「ああ、その虫を見るような瞳も堪らなく可愛らしいわ!」
「なるほど。レイムは変態属性でしたか。そしてドジっ子と言うか残念系、はっきりいうとポンコツさんだね。」
レイムの言葉に比呂貴がボソッと答えた。
「ああ、本当に天使のようなアイリスちゃん。私、浄化されそう。」
「って、レイム!
実際に影が薄くなっているけど大丈夫なの?」
比呂貴はちょっと焦りながら尋ねる。
「うっ、うーん。どっちかっていうと大丈夫じゃない。私、一応魔族なんで浄化されていくと消えちゃうのね。
でも、アイリスちゃん天使で可愛いんだもん。」
影が薄くなりながらレイムは答える。
「え? いや、それヤバいでしょ?」
ファテマや比呂貴が突っ込みする。
「まあ、とりあえずは大したこと無くて良かったわい。この場はこれでお開きにするぞ。この後みんなリビングで朝食じゃからな。
ロキも今日から王国へお出掛けじゃろうて?」
「うん。驚かせちゃってごめんね。ってか、自分が一番驚いたんだけどね。」
比呂貴とファテマが会話し、そしてみんなはそれぞれ戻っていく。
「レイムよ。ほれ、お主も何をしておるか? とっとと来い。
それともなにか? ロキと一緒のほうが良いのか? 一体何をまさぐろうとするのやら。」
ファテマはニヤリとレイムを見る。
「そっ、そんなわけないでしょう! 私をそこらの低俗なサキュバスと一緒にしないでよ!」
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