第9話 誠に申し訳ありません、お嬢様。
お嬢様が猫になってしまわれました。
「にゃあ」
これは夢ですね。見るのは死んでから初めてですが。
「うみゅう」
しかし、相変わらず猫語はわかりません。
(では、わたくしが説明いたしましょう)
よろしくお願いします、女神さま。
(この猫は神獣の生まれ変わりであります)
神獣でございますか。神様なのでありましょうか?
(それに近いものと思ってください)
はい。しかし、生まれ変わりと言うからには、亡くなられてしまわれたのですね。
(そうです。とある魔王を倒す戦いで、勇者をかばって命を落とされました)
それは何とも……。
(その崇高な犠牲に神々は心を動かされ、その一柱として神界に招き入れることになりましたが、既に異なる世界へ猫として転生したあとでした)
なるほど。
(魔力の存在しない異世界は勝手が違うため、探し出すのに時間がかかってしまったのですが……)
確かにそうでしょうね。わたくしは逆に、こちらの世界で戸惑うことが多いですが。
(折あしく、車の事故に巻き込まれて、亡くなられてしまったのです)
え?
(海辺の空き地で日向ぼっこをしている時に)
それは……
(急に突進して、柵を壊して崖から落ちた車に巻き込まれて)
それは、もしかして……
(はい、あなたです)
誠に申し訳ありませんでした、お嬢様。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます