第9話 誠に申し訳ありません、お嬢様。

 お嬢様が猫になってしまわれました。

「にゃあ」

 これは夢ですね。見るのは死んでから初めてですが。

「うみゅう」

 しかし、相変わらず猫語はわかりません。


(では、わたくしが説明いたしましょう)

 よろしくお願いします、女神さま。

(この猫は神獣の生まれ変わりであります)

 神獣でございますか。神様なのでありましょうか?

(それに近いものと思ってください)

 はい。しかし、生まれ変わりと言うからには、亡くなられてしまわれたのですね。

(そうです。とある魔王を倒す戦いで、勇者をかばって命を落とされました)

 それは何とも……。

(その崇高な犠牲に神々は心を動かされ、その一柱として神界に招き入れることになりましたが、既に異なる世界へ猫として転生したあとでした)

 なるほど。

(魔力の存在しない異世界は勝手が違うため、探し出すのに時間がかかってしまったのですが……)

 確かにそうでしょうね。わたくしは逆に、こちらの世界で戸惑うことが多いですが。

(折あしく、車の事故に巻き込まれて、亡くなられてしまったのです)

 え?

(海辺の空き地で日向ぼっこをしている時に)

 それは……

(急に突進して、柵を壊して崖から落ちた車に巻き込まれて)

 それは、もしかして……


(はい、あなたです)

 誠に申し訳ありませんでした、お嬢様。

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