第47話 アップルと戦いを終えて
「グワオー! グワオー!」
戦いを終えたアップルは、いびきを書きながら昼まで眠った。疲れ切って子供のように眠っているのだ。
「ボリボリ。」
疲れすぎて、おっさんの様にお腹をボリボリかきながら、熟睡というよりは、深い眠りについている。
「ふわ~あ! 良く寝た。」
アップルが目を覚ました頃、お昼だった。背筋を伸ばして目を覚ます。
「仕方がない。起きるか。」
疲れは取れていないが、女王としての自覚がアップルを行動させる。
「おはよう、みんな。」
アップルは着替えを終えて、自分の部屋から1階の大広間に階段を下りていく。
「おはようございます。アップル様。」
「アップル様、おはようございます。」
「アップル様、おはようございます。」
執事のアケビ、メイドのアセロラ、アボカドが目覚めたアップルを出迎える。
「お、おはようございます。アップル様。」
なんと、ブルーベリーもメイド服を着て、アップルを出迎えた。
「ブルーベリー。メイドとして働いてもらうことにしたけど、いいのかい?」
「はい。私は普通に娘のストロベリーと戦えたら、それだけで幸せです。」
ブルーベリーは、お客様という立場ではなく、アップルのメイドとして働き、娘のストロベリーと一緒に生きていく生活を選んだ。
「そうか。それは良かった。」
アップルは、ブルーベリーの精神状態が落ち着いているので安心した。
「私も働きます!」
そこにブルーベリーの娘のストロベリーもメイド服を着て現れた。
「ストロベリー!?」
これには、さすがのアップルも驚いた。
「アップル様、私もお母さんと一緒に働きます。」
「別に子供のおまえまで働く必要はないんだよ?」
「いいえ! またお母さんが変な欲を出さないように、私が側で見守ります!」
「アップル様、この子がこの子なりに考えて出した答えです。どうかお許しください。」
「分かった。あなたたち親子が、それを望むなら、そうしよう。」
「ありがとうございます。」
アップルは、ブルーベリーとストロベリー親子が互いに支え合おうとする姿に心が癒された。
「私の家族とは、真逆だな。」
アップルは、今は亡き死んだ自分の家族を思い出して感傷に浸った。
「アップル様、本日は夕刻から会議が入っております。」
「分かっている。それまで少しゆっくりと過ごそう。」
アップルは、戦いの疲れが体に残っているのか、どこか気持ちが重たかった。
「それでは会議を始めます。」
アップルは、半日休み会議に出席した。グアバ・キウイ、クリ、キワノの家臣たちが出席している。
「悪いが、私の体調が優れない。議題は手短に頼む。」
邪神だの、母、姉と戦ったアップルの気持ちは、まだ吹っ切れていなかった。
「分かりました。それでは経過報告を致します。」
参謀のグアバが読み進める。
「まずパンジャ国内は平和。パンジャ人8000万人と、避難してきたアリコ人1000万人と、アップル3の体内にいたナイチャ人1億人と合計して、約2億人の人口がいることになります。」
「2億か、多いな。」
「はい。パンジャ史上過去最高の人口です。ですが、パンジャは幸いにも、人間以外の者の攻撃を受けていないので、受け入れ態勢や食糧が不足するということはありません。アリコやナイチャの人々は、本国に帰りたいと言えば、帰国させてあげればいいでしょう。」
「そうだな。やっぱり、みんな、自分の国が恋しいだろうからな。」
アップルは、家族問題もあったりして、人間が自分の思い出を大切にするということを感じている。
「そのために重要な、アリコとナイチャの復興は大切です。」
「うんうん。」
「ですが・・・既にアリコで問題が発生しています。」
「なんですって!?」
「実は、現地に残っていたアリコ人が独立し、北アリコという新しい国を建国してしまいました。」
「なにー!? 建国だと!?」
「はい。アップル2と一緒に行った、パンジャ国民1000万人と、領土や食糧の奪略などで事件が発生しているようです。」
さすがのアップルも驚いた。アリコに残った人々は、生きることを諦めずに、自分たちで新しい代表を決めて、新しい国を作って、アリコから独立したのだった。
「生きていてくれたことは嬉しいが、人間が生きるためには争うしかない、悲しいね。人間って。」
アップルは、人間の愚かで儚さを嘆く。
「それでは次にナイチャですが、こちらは領土が広すぎて、まだ生存していると思われる3億人のナイチャ人と遭遇すらできていないとのことです。パンジャに近い海岸から復興開発を始めた所です。」
「ありがとう。よく分かったわ。」
アップルは、アリコもナイチャも何らかの事情を抱えているんだなっと実感した。
「みんな! ここからが私たちの始まりよ! パンジャだけでなく、アリコ、ナイチャ、そして全世界を平和に導くための戦いが始まるのよ! みんなの力を私に貸してちょうだい!」
「おお!」
アップルと家臣たちは、世界の平和のために頑張ることを誓い合った。せっかく女王になったのだから世界征服をしてみようと侵略して植民地政策をしていこうとしていた気持ちは、この短い間に人の生命や家族について、様々な人生を経験したアップルには無くなっていた。
「私は女王として、平和な世界を作ります!」
アップルには、真の女王として、純粋に世界の平和、人々の平和を誓うのであった。
つづく。
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