第37話 アップルと会議と謎のお寿司屋

「ということで、ナイチャとアリコに送り込む、邪悪なるパンジャ人、各1000人ずつの振り分けも終わりました。」

 アップル世界征服対策会議が行われていた。議事進行を参謀のグアバが行っている。

「あいつらも夜な夜な活躍してくれているからな。今頃は眠っているだろう。」

 女王のアップルも家臣たちの活躍に満足であった。


「zzz・・・ギシギシ・・・zzz。」

「zzz・・・・グワア・・・zzz。」

 もちろんアップルのベットで、歯ぎしりといびきをかきながら眠っているドラキュラ生活を送っているアップル2とアップル3である。


「それにしても信じられません!? 人間に純粋なる人間と邪悪なる人間の違いがあるなんて!?」

 戦闘バカの軍部隊長キウイは、神様の人間分けに文句を言う。

「キウイ、おまえは頭も筋肉でできているのか?」

「なんだと!?」

「ケンカはやめて下さい! もう一度、説明しますよ。人間には2タイプあります。純粋な人間と邪悪な人間。純粋な人間とは、私の様に汚れ無き心を持ち、神様に生きることを認められた人間です。逆に邪悪な人間とは、大声ばかり張り上げて、会議の進行を妨げている、キウイ! おまえのことだ!」

 アップルは、キウイの態度の悪さを指摘する。

「そ、そんな!?」

 キウイは、女王のアップルに言われてしまっては、黙るしかなかった。

「それにしても、アップル女王様が、神の使徒だなんて、未だに信じられません。」

「私も信じられない。エヘッ。」

「神の使徒と人間は、何がどう違うのですか?」

 科学班の班長のクリは、目で見えるものしか信じない。

「クリさん、いい質問ですね。お答えしましょう。特に変わった所はありません。ちょっと、口が大きくなって、人間を食べることができるくらいです。アンガー。」

 アップルは自分の口を大きく開けてみせる。

「うわあ!? 化け物!?」

「誰が化け物だ! 神の使徒に向かって失礼だ!」

「ギャア!? 食べられる!?」

「キャッハッハ!」

 アップルは大きな口でクリを食べるそぶりだけして遊ぶ。

「となると、我がパンジャ国に、偶然にも神の使徒が3人もいるということになりますね。」

「その通り! 仮に私が他の国に攻め込んでも残りの2人の神の使徒がパンジャを守ってくれるので大丈夫!」

 アップルは自信をもって答える。


「zzz・・・ギシギシ・・・zzz。」

「zzz・・・・グワア・・・zzz。」

 もちろんアップルのベットで、歯ぎしりといびきをかきながら気持ち良さそうに眠っているアップル2とアップル3である。


「問題は、世界には、まだ9体もの神の使徒がいるということです。」

「大丈夫よ。うちには3体の神の使徒がいるんだから。」

「もし敵が3体以上の神の使徒で攻めてきたらどうしますか?」

「うっ!? それを言われると。」

 家臣たちの質問にタジタジになるアップル。

「そうですよ。神の使徒には、大砲、レーザー、魔法、全ての攻撃が効きませんからね。」

「それについては、禁忌を犯してみようと思います。」

「禁忌?」

「全ての攻撃方法に、神の使徒である私の爪の垢を煎じて混ぜてみようと思うの?」

「汚い!? アップル様!? 不潔だ!?」

「黙れ!」

 アップルは大口を開けて、うるさい家臣たちを食べようと脅す。

「ギャア!? 食べないで!?」

 家臣たちは間一髪の所で踏みとどまる。

「要するに爪でも髪の毛でもいいから、神の使徒である私の物を、大砲の弾に、レーザーの発射装置に、魔法書や魔法の杖に混ぜてみようということです。」

「さすがアップル様! 私たちも、そういうことだと思っていましたよ!」

「おまえたち調子がいいな!? この邪悪なる人間どもめ!? 最前線に送り込んでやる!」

「アップル様!? 我々を殺すつもりですか!?」

「やはりロボットを作るしかない!」

 こうして、対、神の使徒用の兵器開発が行われた。


「お母さん!? お寿司が回ってるよ!?」

「そうね。やっぱりパンジャ国はお寿司が一番よね。」

 ブルーベリーとストロベリーの仲良し親子は、パンジャの街で回転寿司を食べていた。

「てんぷらも食べようね! わ~い!」

「はいはい。ストロベリーは甘えん坊ね。」

「そう、ストロベリーはお前ん坊よ。」

 再び母親のブルーベリーに、姿なき謎の女の声が聞こえてくる。

「な、なに!?」

「どうしたのお母さん?」

「え、いえ、何でもないのよ。」

 母親のブルーベリーは周囲を見渡すが、誰もいない。

「ギャア!?」

「ど、どうしたの!? ストロベリー!?」

 突然、娘のストロベリーが苦しみだした。

「お寿司が喉に詰まった!?」

「店員さん!? 娘が苦しんでいます!? 早く救急車を呼んでください!?」

「お茶を飲んで流し込めば、直ぐに良くなりますよ。」

 パンジャ国のお寿司屋さんの店員の態度は冷たかった。

「うちの娘を知らないの! ストロベリーよ! 直ぐに救急車を呼ばないと、あなたを殺すわよ! あなたの家族も皆殺しにしてやる! 私はブルーベリー王妃であるぞ!」

 その時、母親のブルーベリーが大声で店員を脅迫する。

「王族だ!?」

「直ぐに救急車を呼びます!」

「王女様!? ストロベリー王女様!?」

 女の子が王族だと分かると、冷たかったお寿司屋さんの店員の態度が180度変わり、優しく親切になったのです。

「私は何も言ってない!?」

 娘の母親のブルーベリーは、娘を心配しているだけで、何もしていなかったのです。

「もうすぐよ。もうすぐ甦るのよ。私のかわいいストロベリーよ。キョキョキョキョキョッ。」

 何か嫌な予感がするお寿司屋さんの店内だった。

 つづく。

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