第23話 アップルと世界征服
「私は、世界に進出するぞ!」
「私も世界に運命の人を探しに行くぞ!」
「世界を征服して、邪悪なる人間を排除し、地球を純粋な人間が生きる、地上のエデンにするのだ!」
「世界を征服すれば、地上の人間は選びたい放題! そうなれば私の運命の人も見つけやすいはず!」
アップルとアップル2の方向性は同じだった。
「それでは、アップル女王様の世界征服会議を行います。」
アップル世界征服対策チーム参謀グアバが会議を始める。
「待て、グアバ。」
「はい。」
「その前に、空飛ぶお城が私の国の領空を侵略し、純粋なる国民に危害を加えた際に、私の国の軍部、科学班、魔法部隊、どれも役に立たなかった件について、弁解と今後の対策を聞いておきたいのだが?」
「さすがアップル女王様。他国を攻める前に自国の守りを考えることは賢明です。」
「ありがとう。あれれ? 自分の発言に周りが気を使ってくれる。もしかしたら女王様って、面白いかも。エヘッ。」
アップルは女王様の権力に気づいた。
「まず、軍部キウイ隊長から話を聞こう。」
「はい。我々はアップル様のご命令通り、大砲で化け物を攻撃。しかし、まったく大砲は効かず、なす術がありませんでした。」
「そりゃあそうよね。神の使徒なんですもの。エヘッ。」
少しアップルの様子が変だった。
「もしも今度化け物が現れたらリーサルウェポンとして、アトミックボムをぶちかましてやります!」
「やめて!? そんなことをしたら痛いじゃないか!?」
「え!?」
「どうなさいましたか? アップル様。」
「いや、アトミックボムは、その威力の強大さ故に、世界の大気汚染を伴うものだ。できるだけ使わないで相手を倒せる方法を考えてくれ。」
「かしこまりました。」
「さすがアップル女王様。世界に住む人々のことだけでなく、世界の大気汚染にまで気を使われると、このグアバ、感動いたしました。」
「ほう~、乗り切った。」
アップルは、怪しむ家臣たちを、なんとか乗り切った。
「次にクリ。科学班の見解を聞かせてもらおうか?」
「はい。科学班もアップル様の指示の元、化け物殲滅作戦に参加しました。レーザー光線で攻撃するも、大型の悪魔の捕食者には、まったく効きませんでした。」
「そりゃそうでしょ。なんたって神の使徒ですもの。」
「アップル様、さっきから何を仰っているのですか?」
「え!? ただの独り言です! キラ~ン。」
何とか誤魔化す、アップル。
「クリ班長、今後の対策はどうするの?」
「はい。ただのレーザー砲は効かないので、光を圧縮して高濃度で放出する、波動砲の開発に力を注ぎたいと思っております。」
「は、波動砲!? 痛いどころか消滅しちゃうじゃない!?」
「え?」
「アップル様、どこかお体の調子がおかしいんじゃないですか?」
「そうなの。実は月一のものなの・・・んん? 違うわい!?」
どこか、いつもと違うアップルの様子に戸惑う家臣たち。
「いや、アトミックボム同様、波動砲も世界を汚染してしまう可能性のある兵器だ。使用する時は、慎重に判断しなければならない。」
「さすがアップル女王様。超強力破壊兵器を使用する時は、アップル女王様の許可制とするということですね。」
「その通りだ。グアバ。よくぞ私の考えを察してくれた。」
「もったいないお言葉です。我々はアップル女王様の家臣。常にアップル王女様に忠誠を誓うのは当然のことです。」
この時、グアバは何かに気づいた。
「最後に魔法部隊のキワノ部隊長の意見を聞こう。」
「はい。魔法部隊もアップル様の命令で、デビル・プレデターにファイヤーやブリザードで攻撃。しかし魔法攻撃は、まったくダメージを与えることができずに、弾かれるか、かき消されてしまいました。」
「すごい。さすが神の使徒ね。」
「今後は、敵のガードを破るべく、全魔法を貫通魔法に切り替えて、敵のハートをぶち抜くつもりです。」
「ペネトレーション魔法!? 痛すぎる!? 次から次へと新しい兵器を生み出す人間は、やはり邪悪な存在に違いないわ! 人は悲しみを生み出す道具なのね!?」
アップルは感情を取り乱してしまう。
「やはり様子がおかしい!? おまえはアップル様じゃないな!?」
察知していた参謀のグアバがアップルに問いかける。
「フッフッフ。バレては仕方がない。私は、アップル様公認の影武者だ。」
「なに!? それでは本物のアップル様はどこに!?」
「本物のアップル様は・・・。」
会議室に緊張が走る。
「おりゃ! どうだ! 痛かろう! 怖かろう!」
「ギャア!? お助け下さい!? アップル様!?」
「私は悪くありません!? 全てアセロラが悪いんです!?」
「勘弁して下さい!? 給料を上げてくれとか言いませんから!?」
その頃、お城の地下室でアップルの執事アケビとメイドのアセロラとアボカドは、女王様アップルの再教育を受けていた。
「さあ、ロウソクも鞭も、まだまだあるわよ。私の忠実な僕になるまで教育してくれるわ。この雌豚どもめ!」
「ギャア!?」
アップルは、本物の女王様に目覚めていた。
つづく。
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