第28話 ウホッ いい腐女子 其の7
その後も、俺は様々に変態的なポーズを冬馬に見せつけ、かつ冬馬にそれを描かせるのだった。
最初は机の上であおむけになっていたが、今度は図書室の床に降りたら、立ったまま机に両手をついて後ろ向きに四つん這いになり、お尻の穴を、ズボンははいたままではあるが、冬馬に見せつける俺。
「さあ、このポーズはどんなポーズなんだ。言ってみるんだ、冬馬さん」
「はい。お尻の穴に、今にも突っ込まれそうなポーズです。成一君」
「その通りだ。俺は、机に這いつくばらされて、突っ込まれそうになっている。冬馬さんはこういうのが好きなんだろう。存分に描くがいいさ」
「おっしゃる通りです。わたしはそういうのが大好きであります。本能の向くままに描かせていただきます」
三回目は、一見普通に椅子に座る俺だったが、すでに立派な腐女子になった冬馬には、俺がひとりで、ただ椅子に座っているようには見えるはずがないだろう。
「冬馬さん、俺は今何に座らせられているんだい。まさかとは思うけれども、椅子に座らせられているなんて、答えやしないだろうね」
「いいえ、成一君。わたしには見えます。成一君が、もう一人の男役の男に座らせられている姿が」
「そうだ、冬馬さん。君の言う通りだ。俺は今、後ろで座っている男のまたぐらに座らせられているんだ。となると、俺のお尻の穴は今どうなっているんだ」
「後ろの男に突っ込まれているはずです、成一君」
「大正解だ、冬馬さん。本来ならば、男に後ろから突っ込まれている男を、後ろから全身を見ることはできないはずだ。突っ込んでいる方の男がどうしても邪魔になってしまうからね。だが、冬馬さん。君ならそんなもの邪魔にならないはずだ。実写なら不可能なはずの、男に後ろから突っ込まれている男の姿の全身を、ありのままに描けるはずだよ」
「はい、成一君。わたしにはできます。想像力の翼を、羽ばたかせて見せます」
令和元年ならば、CGでどうとでもなるのだろうが、この時代ならば、少なくとも普通の女子高校生には、後ろから男を揉みしだいている男を見えなくして、揉みしだかれている男だけを実写で撮影するというのは、難しい問題だろう。
だが、冬馬ならば、イラストという手段で、そんな問題も解決してくれるはずだ。俺は信じている。
「で、できました、成一君」
「そ、そうか、できたのかい、冬馬さん」
自分の性衝動を、思うがままにイラストに仕立て上げた冬馬は、すっかり精も根も尽き果てているようである。
かくいう俺のほうも、ポーズを一人でとっていただけとはいえ、すべてを出し切ったような感覚だった。冬馬に自分の恥ずかしい姿を余すところなく観察された結果、全てを丸裸にされた気分だ。
「じゃあ、わたしの絵、見てもらってもいいですか、成一君」
「当たり前だよ、冬馬さん。男だったら、自分のしたことには責任を取らなくちゃね」
そう俺は男らしく主張して、冬馬の描いた俺の男の色気あふれるイラストを見せてもらうのだった。
「裸だね、冬馬さん」
「はい、全裸です。わたしは心に思ったことをありのままに描かせていただきました。余分なものはすべて取っ払ったつもりです」
何度も言うが、俺はちゃんと上も下も制服を着ている。しかし、冬馬のイラストで描かれた俺は、何一つ身にまとってやいやしない。冬馬さんの心眼で、全部お見通しにされてしまったのだろうか。
「光り輝いているね、冬馬さん」
「ええ、光らさせていただきました、成一君。やはり、男の人のあそこは神聖なものだと思うんです。ならば、余計なことは一切せずに、ただ輝かせるのがベストだという結論に達しました」
今回の冬馬の絵も、以前と同様、男の、つまり俺の股間が光り輝いている。
実際、俺は丸裸になったわけではないので、冬馬が写実的に男の股間のものを描けるはずもないし、仮にそんなことをされたら、お巡りさんにどうにかされてしまう未来しか考えられなくなってしまう。
であるからして、これで問題ないのだろうが、どうも釈然としないものが残る俺だった。
「それで、どうですか? わたしの絵。わたしの成一君」
冬馬にそう詰め寄られて、俺は冬馬の三枚のイラストをしげしげと眺めるのだった。
一枚目は、俺があおむけで、股間をおっぴろげて、お尻の穴の部分を丸出しにしている姿だ。俺が自ら進んでした姿なので、こんなことを言う資格はないのかもしれないが、いざ自分のいやらしい姿をイラストで見せられると、やはり恥ずかしさがこみあげてくる。
しかも、その絵は、うまい下手で言えば、かなりうまい部類に入るからなおさらだ。さらに、確か俺は、嫌がる冬馬に無理やり俺の恥ずかしい部分を見せつけるよ言うな、サディスティックに下卑た表情をしていたつもりだったのだが、イラストでは
自分のマゾヒスティックな姿を見せつけられた俺は、二枚目三枚目にも目を向ける。しかし、二枚目三枚目の俺も、恥ずかしがって、辞めてくれと
俺は、一回目だけでなく、二回目に机に両手をついて四つん這いになっている姿を演じているときも、三回目に男の股間に座らされている姿のふりをしているときも、恥ずかしがる冬馬に、堂々と自分のいやらしい姿を見せつけていたはずなのだ。
だが、イラストでの俺は、威風堂々としているどころか、ただの臆病なチキン野郎にしか見えない。こいつは大問題だ。
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