⁂ 主要人物②
◇…キャラ説明
※…作者コメント
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【リコル=リオ・ド・ラナン】
◇身長175cm。金髪碧眼、絶世の美形。
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好きなもの…冒険。新しいもの。
嫌いなもの…後ろ向きな自分。
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明るくハキハキとした物言いをする、まっすぐな性格の19歳。というのは周囲の評で、実際のところは、後ろ向きで悩みを一人で抱え込みやすいタイプ。誰もが何らかの役割を持って生まれてくるのだと思っており、自身の役割を探し求めている。尚、“運命を司る者”と呼ばれる世界の命運の選択者であり、特に自身の命にかかわる事態になると精神力を削って力が発動されるが、本人は知らない。
シャニア王国の第二王子だが、血筋の才能である「精霊との対話能力」が皆無であり、精霊の気配すらも感じ取ることができない。王位継承権を持たず、シャニア王家ではなくラナン家に入っている為、基本的に「王子」や「殿下」と呼ばれることは無い。
幼いころに兄の真似をしていた名残で、対話相手に顔を近づけて話す癖がある。別にそれで嘘が分かったりするわけでもない。大抵の場合は相手側が後退ったり押し返したりするので嫌がられている事を察して距離を取るのだが、アオバが全くの無抵抗で近距離を受け入れていた為、彼に対しては無遠慮になっていた。
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十年前の土贄の儀に、贄として選出されるも英雄によって生き永らえる。“運命を司る者”としての力が発動したことで精神が弱り、贄たちの怨念という気配に怯えるようになり、睡眠障害を抱えている。
精霊の宝と呼ばれるほど精霊に愛され、常に精霊による恩恵を受けており、聖騎士と並んで戦うといった人間離れをした行動ができる。加護は与えられておらず、リコルの攻撃がほぼほぼ急所に当たるのは本人の技量と、精霊の気まぐれ補助によるもの。尚、それにより真剣では人を殺めてしまうと家族から恐れられ、模造剣しか握らせてもらったことがなかった。
テルーナに対しては、「無力な自分が初めて守った者」として思い入れがあり、儀式から生還後も変わらず傍に居続けてくれた事から意識するようになったものの、後ろ向きな性格から伝えられないままでいる。また、テルーナの愛情表現は全て社交辞令だと思いつつも、何かの拍子で自身の想いに気づいてもらえないかと、アプローチを続けていた。
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番外編では近衛騎士に就職し、最終的には団長も勤めた。
出来ることは何でもやってみよう、という考えから自らお茶を淹れるようになったが意外とハマり、茶葉やら茶器やら色々こだわり出し、部下に振舞うこともあった。
またようやく想いが実り、テルーナと交際、婚約し、二年後に結婚するなど、充実した生活を送り、寿命が尽きるまで大きな病気も無く平穏に過ごした。
※ 元々この「カミサマの玩具箱」の主人公だったのが、リコルです。かつて命を救われて、その人に憧れて剣を握り、騎士を目指す中で、世界の命運に関わっていく。そんな王道設定でした。アオバがいなかった場合、あるいは筋書き通りに進んだ場合、身を削り家族も国も失い精神的にもボロボロになってラピエルと戦う事になっていたので、アオバによって一番未来を変えられた人物です。
イメージ的にはお転婆なお姫様、口調はちょっとキザな王子様。素直な性格なので、大分動かしやすかったです。
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【テルーナ=リペリン】(旧姓・ビスヴェッター)
◇身長156cm。ピンクブロンドのツインテール、淡い水色とピンクがグラデーションになった目。
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好きなもの…リコル。
嫌いなもの…故郷。人間(特に子ども)。
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王都聖騎士六番隊、副隊長を務める聖騎士。18歳。スタイルが良い。使用している聖剣はレイピア型(適切なのは直剣型だったが、本人の強い希望でレイピア型を作製)。天真爛漫な可愛い子ぶりっ子な言動を多用し、語尾が間延びする喋り方をしている。素は比較的さっぱりしていて他人への期待が薄く、口が悪い。
シャニア王国のミスクィーヤ村の外れにある、反精霊信仰を掲げる里で生まれ、精霊は悪しき者とする里の人々から冷遇されて育った。満足に食事を与えられず、毒物を食べて空腹を誤魔化す日々を続ける内に、毒の耐性を獲得した。
五歳頃に、偶然「視察ごっこ」と称して近くに聖騎士たちと来ていたリコルと出会い、里の外へと連れ出してもらった事でリコルに恋心を抱いた。リコルを守る事で自身の存在価値を見出し、彼の破片でも集め保存し、言葉も行動履歴も記録しているなどストーカー染みた執着振りを見せる反面、愛情という概念に対する嫌悪感や疑念が拭えておらず、好意に気づかないリコルのおかげでその感情と真正面から向き合わずに済むことを内心で安堵を覚えていた。
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リコルが土贄の儀の贄に選ばれた際について行く事ができずに悔しい思いをしたのをきっかけに聖騎士を目指し、アトラティスカを師として剣を習い、白け色でありながらもその力を認められ六番隊副隊長となった後、隊長であるランピエットと養子縁組をした。
直感に優れており、また様々な状況下においてデジャブを感じており、途中経緯の推理をすっ飛ばして問題解決へと向かうことが間々ある。
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本編終了後にリコルと交際、婚約し、結婚に至った。妊娠、出産するも、子どもがリコルではなく自分に似てしまい愛せず、ウェルヤやアオバ達外部の手を借りてどうにか家族を続けた。ストーカー行為は変わらず、バレずに墓場まで持っていった様子。
※ 裏表があるような、無いような、当初のイメージ(腹黒ぶりっ子)とはちょっと違う方向に出来上がったキャラでした。リコルの行動によって運命が左右されるので、アオバが主人公のこの物語では然程大きな働きはありません。
彼女の直感は「白け色」特有の能力です。他の世界線の自分を夢で共有していますが、あくまで夢なのではっきりと覚えておらず、結果的になんとなく正解を選んでいるような状態です。テルーナの発言は、「他の世界線だったら、こうだった」という意味合いが強く、アオバに対する懸念の多くは「デジャブが一切感じられない為に対処が分からず苛立っている」というのが理由です。
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【ウェルビリング=ヤヲルヤ】
◇身長172cm。茶髪でやや長く、紐でまとめている。紫色の目。
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好きなもの…料理。
嫌いなもの…事後報告。
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愛称はウェルヤ。三十代後半。リコルの世話係兼、護衛。生真面目さが声にもにじみ出ている。精霊の気配が分からないリコルの為に、王妃が星詠みの才がある従者として選んだ人物。そのため、正確には主人はリコルではなく王妃である。
十代の頃からリコルの傍にいた事もあって互いに遠慮があまりなく、リコルを荒く扱っても精霊に報復を受けない数少ない人物。年齢差のせいか、リコルからは兄のように慕われている。ただ若干扱いが雑なのが慕われている証左で喜ばしい反面、腹も立っているようで、よく小言を零してはリコルから嫌がられている。
誰よりもリコルの安全と自由を考えており、贄に選ばれた彼の傍にいられなかった後悔から、なんだかんだ文句を言いつつもリコルの意思を尊重してきた。
かつては睡眠障害を抱えているリコルに付き合って徹夜をしていたが、リコル本人の申し出により、彼より先に寝ていることが多い。が、大体寝ている間にリコルが何かしらやらかすので、安眠出来ないでいる。
元々は近衛騎士の試験を齢12で突破したエリート。武器を使用しない体術戦闘が得意で、次点でナイフなどの小型の刃物の扱いに長けており、意外と強い。
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リコルの結婚後も彼についていき、仲睦まじくしている事を王妃に報告している。
生涯をリコルの世話にかける覚悟でいたが、縁あって同業の使用人の女性と結婚、子どもも三人恵まれた。六十代の頃に過労で倒れたのをきっかけに、従者を下り、後任や使用人の育成に励んだ。その後もリコル一家とは家族ぐるみでの付き合いを続けた。
※ 作中では常識の範囲内にいる人。エリートですが、作中のメインキャラの中では普通の人代表です。疲労が溜まっていたこともあって、アオバの甘やかしで判断が鈍ってしまったものの、何とか持ち直してくれました。
ちなみにプロット段階では「ヲルヤ」が名前でしたが、なんか響きがいまいちだったので途中で名前を現在のものに変更しています。
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【アティ】(和訳すると、「あーちゃん」「あー坊」など)
◇身長146cm。銀灰色の髪(短髪)、朱色の目。
サネルチェ公国の町、ゲーシ・ビルにてアオバが出会った聖騎士の卵の少年。声変わり前のやや掠れた声をしている。十五歳ぐらい。
人探しの一人旅をしており、見目に似合わず大人びた言動をしている。
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【アトラティスカ=キレグリヒエ・コラド・ユハトゥ】(姓は「コラド第八教会」の意。)
◇身長199cm。銀灰色の髪(元々はロング)、朱色の目。
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好きなもの…役に立つこと。
嫌いなもの…不誠実。
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王都聖騎士に所属する、十年前に土贄の儀の怪物を倒した英雄。29歳。使用する聖剣は大剣型。切れ長の目と、高身長、また聖騎士としては珍しく筋肉隆々であり、髪も腰に届く長さと非常に目立っていた。ちなみに髪は、十年間休みなく働いていた為に切るのが面倒だったので放置していた結果ロングになっていただけ。
聖騎士に入隊当時は八番隊に所属し、副隊長も務めた。現在はどこの隊にも所属せず、王家直属となっている。隊長権限も持っているものの、かつての上司である八番隊隊長ムギアには、今も意見する時はやや緊張する。
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精霊の匿い子として戻って来た人物。持ち物からおよそ百年前に匿われたとされており、各国の教会を点々とした後(この頃にケルダやラドーと出会った)、シャニア王国のコラド八区にあった教会に保護された。そこで説かれた「聖騎士の力を弱きを守る為に使う」という教えに現在に至るまで従っている。しかし英雄となった今、彼にとっての弱者は「自分以外の全て」にまで広がり、守れない人を見つけては悩む日々を過ごしている。
英雄として、素晴らしい人格者として振舞っているものの、素は行き過ぎた真面目で朴念仁、他人に頼み事をするのが苦手で、恋愛は奥手。そのギャップを面白がられてか、メニアコや第一王子のセリオスと友人関係にあり、人目を気にしなくて良い場面においては砕けた口調で話している。
加護を与えた精霊自体はどこにでもいる普遍的な存在だが、異常なまでに波長が合っていた為に、力が全体的に強い。また他の聖騎士が力を単発で発出するのに対し、アトラティスカは連続で力を出し続ける事で広範囲を薙ぎ払う事ができる。もはやビーム射出に近い。
十年前の土贄の儀で神様とされていた怪物を倒す際、全身の筋肉を引き千切ってでも力を出し続け、加護を与えていた精霊に肉体の半分のコントロール権を渡す事で出力を更に上げるという強引な倒し方をしており、以降も精霊に体の半分を補ってもらう形で仕事を続けていた。
十年間働きづめで蓄積された疲労から、心身共に危険な状態にあると精霊に判断され、英雄としての仕事をこなす力のない十代へと肉体を変貌させられていた。その姿が「アティ」であり、ため込んでいた休暇申請を使用して、かつての恩人の遺族を探す旅に出た。半年以内には戻るつもりだったようだが、どこからどう見ても仕事に疲れて失踪した状態で、多くの関係者に心配をかけていた。
精霊に体の半分を渡した影響は大きく、自身の感情の半分も精霊の影響を受けやすく、精霊に愛されている人物は好意的に見てしまう傾向にある。リコルの無茶に甘いのも、ソリュに一目惚れしたのもその点が半分ほどを占めている。
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ソリュとの同棲は正式なものになったものの、最終的に結婚には至らず、ただ共にあり続けた。英雄として様々な功績と期待や責任を背負い続け、基本的には人々に称賛されながら、五体満足のまま寿命で亡くなっている。死後は色々尾ひれがつきつつも、素晴らしき英雄として歴史書にも記された。
※ 本来は運命を司る者でしか倒せないとされていた存在を、(補助されていたとはいえ、1%も無い確率の中)勝ち抜いた男です。かなりのレアケースです。この記録を見た梓からは「ヤバイ人がいるなぁ」と思われていましたし、味方かどうかの確認もすぐされていたようです。
アトラティスカの名前は作中世界の古代語で「豊かな大地」の意で(こっちの言葉では、アトランティスから)、匿い子になる前の彼は羊飼いをしていました。とても大剣を振り回して戦い、英雄になるとは思えないほど純朴な少年です。
作中でたまに呼ばれていた「可愛いアティ」という呼び方は、十五を過ぎても中々背が伸びず(十六ぐらいから急激にメキメキ伸びたタイプ)、かつ可愛らしい顔立ちだったので「あーちゃんはいつまでも可愛いね」みたいな意味合いで呼ばれていた過去がありました。ケルダやラドーは懐かしがってたまにそう呼びますが、本人は鳥肌ものだそうです。
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【ソリュ=ケーミック】
◇身長152cm。赤茶色のセミロング。葵色の目。美形。
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好きなもの…甘いものを食べながらごろごろする事。
嫌いなもの…不誠実。
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精霊の呪いを解く唯一の薬を作っている、ユースリニッタ薬堂の薬師。24歳。シャニア王国の北部、ボーテン・ロィーブに店を構えており、店の全てをソリュが管理している為、「薬堂の女店主」とも呼ばれている。
非常に効果の高い薬を作るが、先生の物に比べると苦みが出やすい。基本的に調合がメインだが、診察受付のほかにも外傷の手当てなども行い、また世界的にも珍しい“精霊を肉体に組みこみ身体能力の補助を行わせる施術”が出来る、凄腕医師でもある。
気難しいながらもしっかり者と思われがちだが、実際は甘えたがりで怠惰。また、怒りを原動力にしている為(そうでもしないと、心が折れそうなほど弱っていた)表情や言動がキツいものの、怒りが無い場合は逆にまるで生気が無く、見た時の状態によってかなり極端な印象を与える人物である。
リコルとは違う方面で精霊に愛されており、誘惑の加護を与えられている。元より美人である上に、言動の全てが色香に変換されてしまうため、慣れてしまう程に暴行を受け、自ら作った不出来な堕胎薬を飲み続けていたせいか既に子どもを望めない身体になっている。聖騎士や、結婚の契り(入れ墨)をした人物、強く想う相手がいる者のみ効果を受けないので、結果的に既婚者や恋人のいる人物としか安心して関われず、それはそれでよくない噂を立てられていた。
他人を信頼しては騙され、あるいは裏切られてきた為に期待をしないよう自分自身に言い聞かせてはいるものの、甘え癖が抜けずに結局心のどこかで期待して、また裏切られて落胆するのを繰り返し、そんな自身にもうんざりしていた。
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十一年前の土贄の儀の贄(結果的に最後の贄)に双子の姉であるサリャが選ばれ、その時は泣いて暴れたものの、「姉は神様の下に行った」と納得しようとしていた。しかし一年後に贄に選ばれたリコルは守られ、神様だとされていたものが怪物だったと判明してからは全てに不満を抱き、家族すらも「姉は怪物に食われた」と意見を翻した為に家出をし、現在も没交渉状態である。
“先生”とはそもそも馬が合わないタイプではあったものの、唯一サリャの事を話してくれる点では信頼があり、家出の際には彼の家に転がり込み、祖父の仕事を継いだ彼の世話をするという名目で共に暮らし、罰を求める彼に望まれて、あてのなくなっていた怒りをぶつけていた。その過程で、無抵抗の人間を嬲る行為の横暴さから目を背ける為に、自己正当化を続け、“正しさ”にこだわるようになっていった。
自己犠牲を受けいれた姉に対して強い怒りを抱え、それを隠すように王家や聖騎士、英雄に怒りを向け続けていたが、直接彼らと関わる内に考えを改め、死者への怒りを吐露したアオバの一言で己の感情とようやく向き合った。
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本編終盤でアトラティスカの好意を受け入れた。本人の感覚では「大型犬に懐かれている」ようなものだそうで、「彼になら傷つけられても、何をされても構わない」とまで豪語しており、あやからは「ソレと恋愛感情の違いが分からない」と思われている。
薬物研究に没頭するようになり、解呪薬の安定供給が出来るよう新たに安価なレシピを作成したり、様々な毒の解毒方法の伝授する活動を行い薬学を広め、八十過ぎで死ぬ前日まで教鞭をとっていた。それらの功績から伝記も書かれ、偉人として名が残された。尚、アトラティスカとの関係は記録として残っていない為、「愛人関係の男がいたらしい」というふわっとした記述だけされている。
※ 名前の由来は「塩(ソルト)」です。それっぽくもじりました。
書いていて一番心理状態も言動も分からん人です。ヒステリックなような、まっとうな感性の持ち主のような……。別作品のサブキャラクターである「先生」と関わりを持つ、特殊な立ち位置の人物なので、ユラと同じく若干扱いに困ってます。元々はアトラティスカを主役に据えた物語のヒロインで、そっちではもうちょっと分かりやすいツンデレっぽい性格でした。
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【ラピエル】(連れ去られた者たち、の意の略称)
◇身長、標準時140cm、第二形態250mぐらい。紅色のロングウェーブヘア、金色の目、獣耳。
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好きなもの…死者、死人を嘆く者。
嫌いなもの…生者、リコル。
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中性的な体つきと声をしている、謎の存在。本来は放っておけば消えゆく希薄な存在だった。
一人の少女の体を、約八百年続いた土贄の儀で贄となった子どもたちの嘆きと、聖女の残滓が巣食った存在。死神。見た目のモチーフは、かつてこの世界を統べた神様と、少女の憧れだった鏡花を混ぜ合わせたもの。
少女と、贄の嘆き、そして聖女の残滓、それぞれが意思を持つため、言動が二律背反することがよくある。少女は神様然とし、贄は子供らしい残虐性を持ち、聖女は生命の輝きを無差別に食い尽くすように動く。「死にたくない」「どうして自分がこんな目に遭わなければならないのか」という思いから生まれた“黒い霧”を餌に成長し、実体を得た。
贄の多くが“運命を司る者”だったことから、強大な(この世界基準。世界平均で見れば低め)運命への選択権を持っている。
多くの人間を無理矢理転生させ、フラン・シュラへと変えて来た。本来は助けを求めての行為だったが、求める人材が見つからず絶望する内に投げやりになり、最終的にはあえて壊れるよう仕組んでいた。転生者たちに授けて来た能力は聖女の持ち物を千切って改造したものであり、ラピエルも同じ能力を有している。
※ 名前の由来は、レイピアなどの刺剣の一種から。
私の描いている物語の世界観基準では、転生の際には前世の記憶を消すのは当然であり、ましてや異世界の存在を別世界に入れ世界へ負担をかける行為は許されません。なので、異世界転生ものの神様はどうしても邪悪な存在に見えてしまったことから作られたキャラです。
死者を守る事は生者の権利を奪う行為に等しい。リコルはそれを否定できませんでしたが、世界で生きられるものの数が決まっているのなら、その席を一つ埋めてしまったアオバもまた邪悪な存在なんですけどね。どう思ってるんでしょうね。
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【若下あや/ワカシタ アヤ】
◇身長164cm。黒髪ストレートボブ(軽くパーマをかけている)。焦げ茶色の目。
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好きなもの…通学中に聞く音楽。
嫌いなもの…両親、動物全般、梓。
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ラピエルの本体である身体の持ち主。
これといって秀でた才能はなく、地味。物言いがきつく、器量がないと言われがち。特別な何かになりたいと夢想するぐらいの、ありふれた少女だった。
異能力「深層意識の共感」の持ち主で、視覚情報から相手(あるいは文字から)共感や理解をすることができ、また相手も仲間意識を持つ反面、あやが拒むとひどく落胆し逆恨みをする。言語を介さない為、本人はよく分からないが英語や外国語ができるバイリンガル状態で、動物にも(苦手なのに)よく懐かれる。
これまでは異能力は然程発動しておらず、平穏で地味な日々を送っていたが、高校生の時に鏡花を見かけた事で「彼女を理解したい」と憧れ感情から能力が開花。梓に向けていた嫉妬などを共感され、いじめっ子に引き込まれてしまった。
鏡花の投身自殺に巻き込まれた際、偶然にも世界同士が接触し、自身の不憫さを嘆いたことで贄の嘆きに共感され、異世界に身体ごと引き込まれた。
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贄や聖女の残滓をその身に宿し、ラピエルと名乗り彼らの願いを叶えることで特別な存在になろうとしたものの、一か月足らずで根を上げ、助けを求めて元居た世界から優しい人を引きずり込むようになった。
アオバにも最初は期待していなかったが、町の人間を守る為に『誰も傷つけたくない』という信条を曲げた彼に注目するようになり、ガシェンの件で試し、壁の前で宣誓した時に「信じる」と言ったアオバを認め、意識が混濁した際にアオバの呼びかけに根性で戻って来る程には彼に信頼を置いていた。
*
リコルの“運命を司る者”の力が覚醒しない代わりに、アオバが犠牲になる筋書きが発生し、更にアオバが失踪(5章)したことで焦り、慌てて彼を引き込もうとしたが、器量の悪さなどで自身に似ていたホームディネを今ならアオバが救えるのではないかと期待してしまい、残っていた力を使ってアオバを送り出してしまい、意識を失った。
鏡花の呼びかけで目を覚ますも、取り返しのつかない状況を見て死神ラピエルとして振舞うことを決め、リコルが差し出した手を払いのけて退場した。
ちなみに、肉体ごとこの世界に転移してきたあやは、この一件で死亡。享年二十七歳。……だったのだが、鏡花によって「死を望むまでは不老不死」という規格外の能力を付与され、ペルルの体を器にして生き返ってしまった。
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ペルルとしてではなく、あやとして生きてよいとアオバに認められ、この世界で生きていくことを決意するも、たまにアオバが寂しがるのでペルルのフリをするようになった。
王都の学校に通い、アオバの義手や車椅子の作製、テルーナやアトラティスカの為の枷の改良などさまざまな研究を行い、術式を使わない精霊術の発表も行った。最初こそ、フラン・シュラであるペルルに不信感や嫌悪感を持っていた学園関係者も、その内に認めてくれるようになったが、それが満足感に繋がり、能力が意識せず発動しかかるようになり始めた。
アオバがやってきて五十年の時に、眠るようにして亡くなった。
※ 多分この作品のヒロインだったかもしれません。作中一、行動理念が分かるので、書いていて一番楽だったまであります。幸せになってほしかったので、途中退場は許さず、本人が「幸せです! もう満足です!」と言質を取るまで縛り付けておきたかったので、ペルルの体を借りる形になりました。
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【二ノ目鏡花/キョウカ】
◇身長162cm。灰色のロングウェーブヘア、赤色の目。
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好きなもの…梓。
嫌いなもの…邪魔。
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ペルルの中にいる転生者の一人であり、アオバにトラウマを植え付けた投身自殺の張本人。当時、高校二年生。
美代子の姉の娘であり、梓とは従姉妹関係。世界の守護者「赤」「百合」を継ぐ予定だったこともあって、ユラとも顔合わせ済みだった。
年々魂が損傷していっており、彩度が暗く見える、感情が動き辛いという形で自覚症状が出ていた。その中で唯一、梓にのみはっきりと色がついて見えていた為に、執着している。
本人の性格は飄々としており、梓以外に対しての興味がまるでないが故に突き放すような言動が多い。ヤクに言わせてみれば、「いけ好かない女」。
一方で美貌とカリスマ的オーラを持ち、黙っていても周囲に与える影響が大きく、通っていた女子高でも高嶺の花のような存在だった。他者から向けられる羨望や期待や嫉妬を一切気にせず、それによって感情を向けていた周囲が勝手に壊れていく様を無感動に眺めて過ごしていた。
*
迷宮入りとなった怪異・集団失踪事件(アオバが通う高校がある町)の唯一の生還者だったが、これによって魂が激しく損傷し、心身が長くもたないことを悟った。
いじめ被害と怪異による脅威にさらされていた梓に世界の守護者の力と権限を譲る為、自ら命を絶ったが、したためた遺書を梓に渡さない判断を後悔した為に、その魂はあやと共に異世界に連れ込まれてしまった。
*
“聖女の残滓”に同調し取り込もうとして失敗。フラン・シュラ化したがかろうじて残っていた意識を頼りに動き、人間を襲いたくない一心で洞窟に籠っていた他フラン・シュラと結合し、四年間そこでじっとしていた。アオバと出会い、ペルルとなったことで記憶が破壊されたが、アオバの口から「遺書」が話題に出た事で記憶を取り戻し、人格を再構築した。
※ 女子高のマドンナ、皆の憧れ。大好きな梓の為なら己の命も投げ寄こし、邪魔者は自滅させていく。実情が分かればヤバイ女なのに、大半の人間が気づくことができないどころか、ミステリアスな女の子に見えているようです。
魂の損傷さえなければ、いろんな事に興味が惹かれて目を輝かせるような(梓への対応が他の人間にも向けられている状態)、愛想の良い明るい子だったと思います。
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