第53話 投槨と捨身
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「さあ、あっという間だったベンチャー大会本戦も、いよいよ決勝戦!このCブロックは8ブロックの中でも最速で試合が進行しております。
戦うのは、互いに圧倒的な力を持って他の追随を許さなかった怒涛の若手2パーティー!
ゼロマジックと炎水の剣だーー!
第1試合は、ダブルス。
ゼロマジック側は…メグとルイズ!
炎水の剣側は…パインペイン姉妹だーー!
それでは、始めましょう。決勝戦第一試合、始め!」
「メグ!バカみたいに突っ込むんじゃないわよ。」
「分かってるっすよ。警戒、けーかいっと。」
「ねえ、ペイン。」
「何?パイン。」
「どうして向かってこないのかな?」
「警戒してるんじゃない?」
「そっか。じゃあこっちから行こっか。」
「そうだね。」
2人は左右対称とでもいうような息のあった動きで間合いを詰めてくる。
2人が1つずつ手に持っているのは、円盤の内側に穴が空いていて持ち手があり、外回りの円周には、先端が球の金属の短い棒が等間隔についている。
あれは何であるか。その疑問はすぐに解けた。
双子の1人がそれを投げてきたのだから。
「メグ!下がりなさい!」
ルイズは槍の穂先で円盤を弾き落とす。のだが、円盤はペインの手へと吸い寄せられるように戻っていく。
「なんっすか…それ。」
「ペインの武器だよ。かわいいでしょ。」
「パインのの方がかわいいけどね。」
「そんなことないよ!」
「じゃあ、勝負?」
「うん、どっちのがメグちゃんたちをやっつけらるか勝負!」
投槨と回収のスピードはさらに速まり、2人同時に円盤で攻撃をしてくる。
「くっはっ」
ルイズ1人で防ぎ切るのも限界があり、少しづつだが、ヒットしており、ルイズの第1シールドは赤く変色している。
前に立つルイズが防ぎきれてない以上、それがメグも同様であった。
かといって、2人で防御に徹すれば、ただ攻撃を受けるだけで、戦局は押される一方となってしまう。
「アスカ…あれは何だ?」
(クロウやルイズたちが知らないのもムリはない。あんなマイナーな武器、俺でも話でしか聞いたことがない。
元の世界でいう、古代インドで投槨用のぶきとして使われていたという…)
「…チャクラム…」
「おお。さすがアスカ君だね。チャクラムを知っているなんて。でも、あれはただのチャクラムじゃないよ。魔石を使って特別な加工をしてあってね。
魔力を通せば持ち主の元に帰る仕組みになっているんだ。」
(このままじゃダメっす)
そう判断したメグが今まで離していた間合いを逆に詰めて、攻撃を仕掛けにいったのは正解であった。
メグはルイズによって撃ち落とされたパインのチャクラムにムチを巻きつけ、チャクラムの回収と同時に自分も跳躍し、一気に間合いを詰める。
それに気づいたペインはメグに向けてチャクラムを放つ。
当然、超至近距離で投げられたチャクラムはメグに直撃し、第2シールドを赤く染めるが、そんなの知ったこっちゃないっすとばかりにムチを離さない。
捨て身の突撃
これまた超至近距離から繰り出されるメグの磁力突き(マグネットショット)
「きゃっ!」
素手であるにもかかわらず、その破壊力は強大で、これが大会ではなく、肉体的ダメージが通っていたら、パインの内臓のいくつかは機能を損なっていただろう。
パインの第2シールドは赤く染まり、メグは、さらに前進してルイズとで姉妹を挟むようにして陣取る。
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