第52話 四人と圧勝
「イオン、そっちの様子はどうだった?」
「うん、ルイズの迫力がね、物凄くてすっごい頼もしかったよ。」
「きっと、ルイちゃんはアスカに頼りにされて嬉しかったんすよ。」
「そ、そんなんじゃないわよ。第一、あんなに早く決着つけられたせいで、全員倒せなかったじゃない!」
「早く倒しすぎて怒られるとか、アスカもパーティーリーダーも不憫だな。」
笑いを抑えてからかってくるクロウをすこし睨んでから、苦笑する。
「まあ、いい。それより、もうカルマたちの2回戦始まってるだろ?試合後のドタドタで遅くなっちゃったけど見に行かないか?」
「敵情視察ってやつっすね。いくっす〜。」
そう言って、Cブロックの中継モニターを見に言ったのだが。
「まさに、圧勝!今年の若手は一体どうなっているのでしょうか。
先の新記録を破り、25秒で7区のBクラスパーティー、『ミスリルの盾』のリーダーを打ち破ったー!
『炎水の剣』、決勝進出でーす!」
「えっもう終わったのか。25秒って…まあ、カルマがいたらそうなるか。」
「ア、アスカ…。」
「どうしたんだ、イオン。」
「おい、フィールドをよく見てみろよ。」
「クロウまで、どうしt…」
「やあ、アスカ君、応援に来てくれたのかい。申し訳ないがもう終わってしまったよ。」
俺の肩を叩いたのは、今、モニターに写っているはずの、カルマだった。
「おまっカルマ!どうしてここに?試合はどうした?」
「あはは、それが…
悪い人たちに拉致されちゃって、全員倒して戻って来たから僕もついさっき来たばかりなんだよ。」
「ってことは、あの4人はお前抜きで、7区のパーティー相手に圧勝したってのか?」
俺の言葉にしばし沈黙するカルマ。
「んー。アスカ君は何か勘違いしてるみたいだけど、あの子たちは僕なんかがいなくても十分-------強いよ。」
一瞬、カルマが放つ雰囲気が鋭くなり、すこし退けてしまう。
「まあ、次の決勝で分かると思うよ。頑張ろうね。」
そういって、仲間の元へと向かっていった。
「アスカ…」
「ああ、あいつが言う強いってことは…そういうことだと思っていい。
決勝は、今までみたいに甘くいかないだろうな。
そうだ、今の内に決勝での割り振りを考えておこう。」
決勝戦は、2対2のダブルスが2試合と、1対1のシングルスの1試合で構成され、先に2勝したパーティーが優勝する。
「ああ、そのことなんだが、シングルスはアスカで決まりだろう?
ダブルスの俺のペアをイオンにして欲しいんだ。」
「ああ、相性的にそう提案するつもりだったからな。メグたちは大丈夫か?」
「ルイちゃんとなら相性的にばっちしっすよ!」
「イオンなんかよりはマシね。」
「ちょっと、ルイズ、ひどいよ!」
「俺たちはあいつらに結構手の内を見られてるが、俺たちはあいつら全員の選定すら知らない。
まずは警戒して、揺さぶっていこう。
みんななら、勝てると信じてるぞ。」
さっきまでの和みが嘘のような真剣な顔でうなづく4人を確認して、決勝戦の開始を待った。
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