第40話 開催と予選
転移先の中央広場から、集合場所のスタジアムまで一本道が整備されており、そこを辿っていく。
スタジアムは元の世界でいうコロッセオとか野球ドームといったイメージのものだった。
ベンチャーたちはドームの真ん中の窪みのところに集められる。数千人は軽くいるだろうほどの人数だ。
観客席のような場所にも多くの人が既に集まっている。
改めてこの大会の規模の大きさを痛感する。
俺たちが着いてから30分ほどして、集合時間となった。
今年のベンチャー大会が今、始まる。
「みーーーなさん、こんにちわ。今年もこの季節がやってきました。ベンチャー同士の熱き戦い。勝てば昇格、負ければ留年。
ベンチャァァーーーーーーーー大会ぃ!!
司会は私、コーンがお届けします。
今年も1172組と非常に多くのパーティーが参加しています。
勝ち上がるのはたったの10組。果たしてどんな戦いを見せてくれるのか。」
「ウォォォーーーーーー!!」
観客席からも歓声が上がる。見世物としての意味合いも強いということがよくわかる。
「さぁーて、早速第1予選だぁーー。ベンチャーに必須なのはなんといってもまず、他を退ける『力』!よって内容は〜『力比べ』!!
今からドーム内に魔法でできたシールドが現れる。
そいつにベンチャーカードをかざした後、魔法でも、武器でもなんでもいいから本気の攻撃を1発だけぶつけろ〜。するとシールドはそいつのマナの総量と攻撃力を数値化する。
パーティーでその数値の平均が高い上位500組が第1予選突破だぁ〜!」
「500!?ってことは半分以上も脱落しちゃうの?僕が足引張ちゃったらどうしよう〜」
「イオンのせいで脱落したら恨んでやるっす。」
「ああーん、ごめんよー。」
「こら、メグ、あんまりイオンをいじめるなよ。」
「あんさん、私は和ませてやろうと思って…」
「ああ、わかってるよ。イオン、お前たちは十分強い。自信をもって1発ぶちまけてやれ。」
「う、うん!がんばるよ。アスカ、あっちの弓を。」
「ああ。」
ポーチから取り出した弓は、ワイバーンの鱗で作られた特製の弓。その硬さを誇ってのその太い弦であり、それを引きしぼるだけで普通の弓の倍以上の力と時間を要する。
そのため、スピードを要する実践ではまだあまり使えない。
まあ、華奢なイオンがあの弓を弾けるようになっただけでもすごいんだがな。
攻撃力を測ると聞いてこの弓の方がいいと判断したのだろう。
イオンは現れたシールドにカードをかざして、弓の射程まで下がる。矢筒から取り出した矢は、
『衝撃』の付与
標的に触れたとき、その速さに応じた衝撃を与える。
「くっ…」
ギリギリと弓が鳴くようにゆっくりと音を立てる。
ヒュッと矢が放たれたと思うときには、矢は既にシールドに衝撃波を与えていた。
『マナ総量 280
攻撃力 154 』
「ふう、これってどうなの…かな。」
周りはほとんどが魔法使いでシールドに向かって様々な魔法をぶつけている。
「そんなの、もう1人やってみればわかるっすよ。」
早々にカードをかざして、メグはシールドに近づいていく。
「ほいっ」
シールドの後方にムチを放り投げる。
「はぁあああ!」
ムチが落下しメグの頭ぐらいの高さになったとき、同時に拳が振るわれる。
『磁力』の付与
ムチとグローブそれぞれに設定した各極が発動と同時に強力に引きつけられ、拳力と合わさってすさまじい一撃を生む。
『マナ総量 250
攻撃力 314 』
「いえーい、やったっすよ。あんさん、攻撃力がイオンの倍っす!」
「うう…」
「何度見てもあのパンチは凄まじいな。でも、イオンの方がマナの量は多いみたいだぞ。」
「ぐっ…そこは何も言い返せないっす。」
「次は私ね。」
ルイズの槍にかけられているのは
『火』の付与
綺麗なステップから強力な一突きが繰り出される一瞬、槍先が付与とは別に青色に光り、気づいたらその光は消えていた。
一瞬だったので気づいたのは俺とクロウだけだろう。
「ルイズ、今何した?」
「お、女の秘密よ。それより早く2人も済ませなさい。」
まあ、言いたくないなら今ムリに聞かなくてもいいか。
『マナ総量 312
攻撃力 210 』
「ルイちゃんやったっすね!あれだけがんばった甲斐が…むぐうううう。」
メグがルイズに押し倒されてしまった。
俺はどうしようか。やっぱり、一番使い慣れてる闇弾を全力で撃とうか。
クロウは強化魔法➕双剣だろうな。
アスカ
『マナ総量 810
攻撃力 722 』
クロウ
『マナ総量 735
攻撃力 600 』
マナ総量っていってももともと俺のじゃないから反則してるみたいで気がひけるけどな。
なお、俺とクロウの数値を見た3人は驚いたり、呆れたりするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます