第10話 スライム集合


木で出来た家の扉をあける。

10畳ほどある部屋には、気分を落ち着かせる効果がありそうな木の独特の香りが漂う。


ガラスがないため一般的な窓は作れなかったが、木で作った開閉式の簡易的な窓が2箇所ある。

俺は試しにそこから頭を出してみる。

外ではトロルと、ゴブリン、トレント達が作業をしてる。


まずトレント達が魔法で木を育てる。流石はファンタジーと言ったところか15分程で立派な大木が完成する。

その木をトロル達が魔法で切断する。

切断した木をゴブリン達が加工等の細かい作業を行い、出来たものをトロル達が組み立てるという手順だ。


外の様子を眺めていると自分の格好がはたから見たら少しバカな格好だと気付きそそくさと頭を引っ込めた。



「いい感じだな」



トロルやゴブリン用の住居が続々と出来てきている。ゴブリンの身体は人間の子供に近いサイズなので、家はそこまで大きくは作っていない。

しかし、トロルは大人の人間より一回り大きいので少し大きめの家を作っている。


トレントに関しては家はいらない、というか外で日の光を一定以上浴びてないと生命に支障をきたすとの事で、仮にトレント用の家を作っても天井がない囲いのような作りにしなければいけない。

そういう事からトレント達は家は作らない事になった。



(あ、そういえば・・・)



ふと、とても重要な事を思い出した。


俺は出来たての家を出て、トレント達が作業している場所に向かった。







「スライムさんはまだ戻って来てないか?」


「スライム、デスカ?見カケテナイノデ、マダダト思ワレマス」


「そうか」



俺が思い出した重要な事はスライムさんの事だ。


作業を始めた時、抱えてるスライムがやたらとプルプルしてる事に気付いた。

トレント曰く、自分も作業を手伝いたいから仲間を集めて来たいとの事らしい。

スライムが喋った?いや意思疎通出来る事に驚いた。


スライムさんの要求については、もちろん俺は許可した。

地面に下ろしたスライムさんはフヨフヨと森の奥に入っていった。


それから大体2時間ほど経っている。

スライムさんはまだ戻って来てない。

俺は少し不安だ。変な輩に襲われたりしてないか、何かに巻き込まれてないか、と心配だ。


時間が経てば経つほど、不安が大きくなる。

トレント達が作業をしている後ろで同じ場所を行ったり来たりしてた。


しばらくウロウロしていると足下に柔らかいものが当たった。

直ぐに足下を確認すると、そこにいたのはスライムさんだった。



「おかえり!」



俺は直ぐにスライムさんを抱き上げた。最高の気持ち良さを誇るボディを手で感じる。たまらず最高のプヨプヨボディをプニプニする。

スライムは俺にプニプニされながらプルプルしている。



「ドウヤラ集メラレタヨウデス」



それを見ていたトレントが翻訳をしてくれた。

その言葉でスライムさんが今まで何をしていたかを思い出し、周りを見渡した。



そこには大量のスライムがいた。



「うぉ!?」



自分が勝手に想像していた数より圧倒的に多い数で驚いた。

スライムさんと同じ水の様な透き通った色のスライムもいれば、紫や、オレンジ、緑、黒、といったカラフルな色をしてるスライムもいる。

それに大きさも様々のようだ。



「こんなに居るのか」



その数の多さ、100体以上いるのではないか?と思うぐらいだ。

その多種多様なスライムを見ているとスライムの中、体内に動く何かが入っているスライムがいることに気付いた。



―――プルップルプル、プルンッ!


「魚、ダソウデス。川ノ近クヲ通ッタ時ニツイデニ取ッテキタソウデス」



スライムさんのプルプル言語をトレントが翻訳してくれた。

どうやら俺が気になっていた物の正体は魚らしい。


魚の入ったスライムが前に出て来て、スライム達が魚をペッと次々に吐き出していく。

吐き出された魚はビチビチと地面を数回跳ねたが、やがて跳ねなくなり地面でぐったりとした。



「凄いな。これは魚の捕獲をスライム達に担当してもらうのが適任だな」



ここにスライム漁業部隊が設立された。

これとトレントが作成している果物で食料はなんとかなりそうだ。


それと、スライム達の住居を作らなきゃならないな。こんなに数がいるならスライム達の家はマンション型の方がいいかもしれない。

新しくやることが増えた。

スライムマンション作成と平行してスライムの数を数える作業もしなければいけないな。今後も増える事があるかもしれない。マンションの部屋は多めに作っておく事にしよう。


俺は新しい案をトレントに伝えると、トロルとゴブリンにも伝えるべく向かった。大量のスライム達を引き連れて。








「78・・・79・・・80・・・81」



あのあと俺は自分の新居でスライムを淡々と数える作業を行っていた。家の出入口から1列に並んでもらい、一体一体手に取りプニプニ触り心地を確かめながら数を数えていく。

数えられたスライムは川に魚を捕獲しに出かけてもらっている。



「96・・・97・・・」



次で最後のスライムだ。スライムさんが連れてきたスライム達は合計で98体だったようだ。ギリギリ100体いってなかったな。



「98・・・っと」



俺の手を離れた最後のスライムが出ていく。

これにてスライム達を確認し終わった。スライムにも色々な種類がいる。種類毎に触り心地が微妙に違い触ると暖かいスライムや、逆にヒンヤリ冷たいスライム、触ると痺れるスライム等もいた。


因みに俺のオススメのスライムは外見が白く濁った水の様な色をしてるスライムだ。他のスライムより軽くて触り心地がふわっふわだったのが印象的だ。



「数え終わったし、報告しに行くか」



スライムは全98体だ。スライムさんは別として、スライムマンションを作るとしたら24部屋のマンションを4号棟まで作くれば、とりあえずここに居る分は部屋が出来る。



(これは、完成するには時間が掛かるな。トレント達じゃないんだ、スライムが夜に外に居るのは心配だ。マンションが出来るまでスライム達には俺の家にいてもらうか。別に、他意はない。)



部屋がスライムで満たされる事を考えながら俺は外にはでて、作業現場に向かった。






「おぉ!なるほど」



スライムの数を伝えに現場にいくと思わず声に出すほど感心する場面だった。

魚の捕獲から帰ってきたであろうスライムが作業の手伝いをしていたからだ。


たくさんのスライムが並び、トロルがその上に木材を載せていく。

木材を乗せたスライム自信が転がると、乗って木材も転がっていった。


スライムがコロの役割をしているのだ。コロとは、重量物を運搬する際に荷物の下に敷き、転がして移動させるために使う円形の道具の事だ。これで物運搬がかなり楽に簡単になるだろう。

これを自分達で思いついたのか、そもそも知っていたのかは分からないが、自分たちで作業の効率化が出来てるのは凄く感心する。



(これだけ他が作業を頑張ってるんだ。俺も頑張らないとな)



近くのゴブリンにスライムの総数と、スライムマンションの事を伝えると、俺はスライム達が捕ってきた魚や、果実を調理し始める。



「これは・・・」



捕ってきた魚を入れてある木製の箱を見ると、普通の魚だけではなく、凍りついて居る魚や、焦げて真っ黒な魚、明らかに毒の様な紫色の魚が入っている。



「これは、確認不足だったなぁ。スライムには運搬作業班と漁業班に別れて貰った方がいいな。魚の捕獲に向いて無さそうなのはさっきの運搬作業をお願いした方が良さそうだ」



そんな事を考えながら俺は魚の調理を始めた。凍ってるのは良いとして、焦げてるのと毒っぽいのはもちろん使わない。全員分の量を調理するのも大変だが、まずは魚の仕分けに時間が掛かりそうだ。





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