第2話 ミルクボーイの漫才「合唱」

「どうもー!どうもっミルクボーイですよろしくお願いいたしまーす!

 あーっと!今、442Hzの音叉を頂きましたー!」

「ありがとうございますー!」

「こんなんナンボあってもいいですからね。言うとりますけどね」

「うちのオカンがね、好きな合唱曲があるらしいんやけど」

「そうなんや」

「その名前を忘れたらしいねん」

「合唱曲の名前を忘れてまうってどうなってんねん」

「いろいろ聞くんやけどな、全然わからへんねん」

「ほんだら俺がね、オカンの好きな合唱曲を一緒に考えてあげるから、どんな特徴を言うてたかとか教えてみてよ」

「8分くらいある大曲で、エストニアの作曲家が戦争の邪悪さを表現した曲やって言うてた」

「『鉄への呪い』やないかい。

 その特徴はもう完全に『鉄への呪い』やがな。

 すぐわかったよこんなもん」

「俺も『鉄への呪い』やと思てんけどな、オカンが言うには、子供でも気軽に口ずさめる曲って言うねんな」

「ほな『鉄への呪い』と違うか!

 あんなん子供が口ずさめるわけないからね!

 なんなら難しすぎて大人すら口ずさめないからね!

 もうちょっと詳しく教えてくれる?うーん」

「シャーマンドラムを使うらしい」

「『鉄への呪い』やないか!

 シャーマンドラムを使う合唱曲は『鉄への呪い』しか知らんのよ!

 ええか、シャーマンドラムは『鉄への呪い』で存在を知って、

 そしてその知識が約立つことは一生ないのよ!」

「でもオカンがゆうにはな、校内の合唱コンクールでよく選曲されているらしいねん」

「ほな『鉄への呪い』ちゃうやないかい!

『鉄への呪い』は全日本合唱コンクールには選曲されることあっても、校内の合唱コンクールには選曲されることはないのよ!

『Believe』、『大地讃頌』に『鉄への呪い』は並ばないのよ!

『鉄への呪い』を校内合唱コンクールに選曲するのは宇都宮高校の3年4組だけで十分なのよ!

 もうちょっとなんか言うてなかったかー?うーん」

「メタルアレンジがあるらしい」

「『鉄への呪い』やないか!あの曲は元の曲がそもそもメタルやねん!

『鉄への呪い』と『Double, Double, Toil and Trouble』と『花を探す少女』は合唱曲と言われているけどジャンルはメタルやねん!俺の耳は騙されへんよ。俺を騙したら大したもんや。

『鉄への呪い』やそんなもんは!」

「オカンが言うには『鉄への呪い』ではないって言うてた」

「ほな『鉄への呪い』ちゃうやないか!

 オカンが『鉄への呪い』ではないと言えば『鉄への呪い』ちゃうがな!」

 先言えよ!俺が『鉄への呪い』はメタルと豪語していたときどう思てたん?」

「申し訳ないなと思って」

「ほんまに分かれへんがな、それどうなってんねん」

「オトンがいうには、『信じる』ちゃうかって」

「いや、絶対ちゃうやろ!

 もうええわ、どうもありがとうございましたー!」

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漫才の脚本的な奴 水金 @mizukane

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