7話目
僕が彼女の浮気を知ったのは4月の中頃。彼女が仕事が休みの日に彼女を驚かせようと思い連絡をしないで会いに行った雨の日の事だった。
家に着き合鍵を使い玄関を開けると知らない男物の靴があり奥の部屋からは彼女の声が聞こえた。
「蓮……好き」
その言葉が聞こえた瞬間僕は激しい吐き気を覚えた。このまま帰るかとも思ったが確認だけはしとこうと思い足音を殺して部屋に近づく。
「……あー……ちゃっかりやることはやってんだな」
部屋の扉を開け確認するとなにも身にまとってない二人がやることやってる最中だった。こういう時に真っ先に出てくるのは怒りの言葉だと思っていたが出てきたのはただの無機質な音だった。
「え……誠?なんで……」
彼女は驚いたような顔で僕を見る。
「あー……別に続ければ?したくてやってることなんだろ?僕は帰るから」
作り笑いでそう言って僕は部屋から出ようとする。
「待って!誠!これは違うの!好きなのは誠だけなの!」
彼女は何も身にまとってない状態で僕の腕を掴む。その言葉を聞いたときに吐き気は限界を向かえ床に胃液をぶちまけた。
「誠!大丈夫!?」
「違うって何が?どうせ僕と会えなかったら浮気するってことはその程度なんでしょ?」
彼女は心配そうに背中をさするが気持ち悪さが勝り僕は彼女の手を払いのけ突き飛ばした。
「そっちの男のことが好きなんだろ!?ならその口で好きとかほざくな!気持ち悪い!やることまでちゃっかりやりやがって!」
言わないように抑えていた言葉が口から溢れ出す。このまま感情に身を任せて二人とも殺してやろうかと考えたときに電話の着信音が鳴り響く。浮気相手の男が慌てて切ろうとするがその手を蹴飛ばし電話に出る。
『もしもし?今日デートの約束してたよね?どこいるの?』
浮気相手の男の顔色が悪くなる。おそらく彼女なのだろう。
「あなたの彼氏さんならうちの彼女とやることやってたところですよ」
僕はそう言って電話を切りスマホを男に投げ渡す。男の顔を見ると絶望したような顔をしていた。
「誠!それはやりすぎだよ!」
彼女はそう言って僕の頬を叩いた。
「やりすぎ?なにが?自業自得だろ?」
僕はそう言って彼女を突き飛ばし彼女の家に置いておいたコップなどを全部割った。
「もうここにはこないから。あとは楽しんで盛っとけば?」
僕はそう言って彼女の家を後にした。浮気されるなんて他人事のように考えてたが実際にされるとここまで気持ち悪いんだなって思いながら僕は合鍵を川へ投げ捨てた。これが僕が彼女に浮気されたと知った日の出来事だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます