第24話 マイク・エドワーズ
惑星ミルカ。フォレスタルから3000光年の距離にあるこの星は、豊富な資源埋蔵量に恵まれた人口1200万人の工業都市だ。鉄・銅の他に、タングステンやチタン、ハイドロゲン鉱石等のレアメタルも産出され、さんかく座銀河の中でも著しい発展を遂げた星と言っていいだろう。
ミルカに着陸したウートガルザ号は、買い付けた資源の積み込み作業にかかっていた。
「占めて2000万クレジットですね。毎度あり、アシュレーさん」
「マイク、またよろしく頼むな」
アシュレーは右目に眼帯を付け、赤と黒の革ジャンを羽織った怪しげな男と話していた。
「これからどちらまで?」
「惑星リュオンだ。燃料補給を終えたら出発しようと思う」
「それはまた長旅で。気をつけて行ってらっしゃい」
「ああ、ありがとう」
無事コンテナの搬入作業を終えた一行は、休憩も兼ねてフードコートで軽食を食べていた。するとミアが立ち去っていくマイクの背中を見て毒づいてきた。
「しっかし艦長も物好きっすよねえ?あんな怪しい男とつるむなんて。あたしどうもあの人は苦手っす」
「そんな事言わないのミア。マイクさんはお得意様なんだから」
「そうだぞ、人を見かけで判断しちゃだめだぜミア。奴とは軍属時代からの付き合いだ。身元は俺が保証してやる」
「ふーん、そんなもんっすかね〜」
と、その時、アシュレーの目の橋にキラリと光る物が映った。
「みんな伏せろ!!」
────バシュン!
その瞬間、頭上にレーザーの光が過った。アシュレーは両脇に座るミカとリノを抱えて地面に倒れ込むと、力任せに長テーブルをひっくり返して盾にした。
「ちょっ、何すか何なんすか一体?!」
「いいから誰か、ブラスターを持ってないか?!」
「武装は全部船の中に置いてきてあります!」
「チッ、まずいな...」
するとどこからかアシュレーを呼ぶ声がした。
「アシュレーさん、これを!!」
背後を見るとマイクが立っており、テーブルを盾にしたアシュレーの足元にブラスターを滑り込ませてきた。
「助かるぜマイク!」
アシュレーは銃を手に取ると、即座に反撃に転じた。黒いスーツにサングラスをかけた二人組を確認すると、正確無比な照準で、男たちの持つ武器を狙いブラスターを発射した。
手にしたブラスターを破壊された黒スーツの二人組は一目散に逃げ出した。ソフィーが後を追おうとするが、アシュレーはそれを制止する。
「待てソフィー!深追いするな」
「しかし...!」
「今は身の回りの安全が先だ。全員ウートガルザ号に戻って携行ブラスターを取ってこい」
「了解しました」
「マイク!助かったぜ、危機一髪だった」
「へへ、お役に立てたようで何よりでさぁ。それよりも奴さん達、誰を狙っていたんでしょうね?」
「さあな。俺にもわからん」
口ではそう答えつつ、黒いスーツの二人組は完全にリノを殺しにかかっていた。これから先、不用意に情報を漏らすべきではないと考えたアシュレーは、リノの事は伏せてマイクにブラスターを返した。
一足遅れて到着した警備員に事情を話し、簡単な取り調べを受けたが、マイクが証人になったことですぐに釈放された。アシュレー達はウートガルザ号に戻り、すぐさま発進準備をする。
「いいか、全員よく聞いてくれ。今後外出する際は、必ずブラスターを携行しろ。誰だか分からんが、リノの命を付け狙ってる奴がいる事はこれではっきりした。向こうがその気なら、こちらもそれ相応に手を打つ必要がある。いいな?」
『了解』
「よし、そうと決まればとっとと出発するぞ」
そしてウートガルザ号は離陸し、約三万光年離れた惑星リュオンに向けてワームホール航行に入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます