恵美、2度目の告白
恵美が俺と
そして、精先生と入れ替わるように恵美が俺の前に現れた。
その恵美の顔はまるで俺が何かに騙されてるのではとの不安な顔つきをしていた。
そして恵美は俺にこう言った‥‥‥
「先輩はあの女‥朝日 ヒロミと付き合うんですね」
俺が恵美を見ながら頷く。しかし恵美の言葉はまるで何か目の前の物が、突然なくなってしまったかの様な喋り方をする。
ただ俺は、恵美の俺に対しての気持ちは知っている。だから俺は言葉を返す事はできなく、頷くことしかできなかった
そもそも中学の時に、恵美から告白をされているからだ。
だが、俺の気持ちはあの頃から妹の明美を思う気持ちと同じ気持ちで、"大事な妹"みたいな思いしか恵美にはなかった。
それでも恵美は、俺に対しての気持ちは変わらない。
いや、寧ろ彼女、朝日 ヒロミ(女)が現れ俺と付き合う事で、更に俺えへの思いは増すばかりだ。
「先輩!朝も言いましたが、私は先輩をまだ諦めてません!。覚えてますか?あの日の事‥‥‥野犬から助けてくれた日の事を‥。私はあの日から先輩の事が好きになったんです‥‥‥いえ、それ以前から‥」
瞳を潤ませ、今にも涙が流れ出そうな気持ちをグッとおさえるような表情をして恵美は俺に言ってきた。
俺もあの日の事は覚えている。いや、忘れたくても忘れないだろう。
あの日、小学5、6年生の合同野外学習の時の事を。
俺は野犬から妹の明美とその友達だった恵美を助けた。
ただその助けた代償として、俺の左耳の上の三分の一を失う事になった。
だから俺はその耳を隠すために髪を耳が隠れるまで伸ばした。
そのせいか、俺は度々女性に間違われるのだが。(顔つきが昔から女性ぽいから)
中学の時に一度、宗吉から聞かれたことがある。何故耳を隠すのか?と。
俺はその時、宗吉には答えなかった。
宗吉もだいたいの俺の気持ちがわかっていたので、それ以上は聞いてこなかった。
そしてあの日からあの二人は、俺に気を使かうようになった。
あの日‥‥怪我をした日から、妹の明美、そして恵美は俺の左耳を見るたびに、何か俺の事を凄く気にかける様に‥‥‥。
それはまるで愛する人が怪我をしてしまったぐらいの。
だから俺は、あいつらに心配をかけさせたくなく、気を使って欲しくない気持ちから髪を伸ばし耳を髪で隠した。
だがそれがかえって、あいつら二人に俺に対しての恋愛感情を抱かせる結果になってしまうとは、この時の俺は思っていなかった。
「ああ、あの日の事は忘れたくても忘れられない‥‥‥けど‥」
「けど‥なんですか?先輩」
俺は恵美の俺に対しての気持ちはには答えることが出来なく、恵美と顔を合わせ辛く、下を向きながら話す。
今の俺の気持ちを‥‥‥
「恵美の気持ちは嬉しい‥‥‥けど、俺は妹の明美を大事に思う気持ちと同じで、お前の事も大事な妹としか‥‥‥」
俺は言葉を詰まらせながら話し、最後の方で恵美の顔を見ると、少し優しい顔に見える恵美は
「大事な‥‥‥。先輩は私の事、嫌いですか?」
「えっ?そんな事はないよ」
「そう‥ですか。‥‥‥大事な‥」
「うん?」
恵美は何か急に腕を組んでぶつぶつと下を向きながら呟くと、バァッ!と俺の方を向いて近寄ってくると
「先輩!」
「なあ、なんだよ」
「大事な‥私!先輩をあの女から助けてみせます!」
「はあ?お前なに‥」
「そして先輩を必ず私の彼氏にしてみせます!」
「ちょ‥」
そう言うと恵美は俺の前から意気揚々とその場から居なくなった。
俺は何故急に恵美の機嫌が良くなり、あんな事を言って来たのか考えた。
「俺は恵美には『大事な妹の明美と同じ』ぐらいしか言ってない‥‥‥うん?『大事な妹の明美』?うん?『大事な』‥‥‥あっー!」
俺が何かに気づくと俺の右肩をポンと誰かが叩き、俺はビクッとビクつき振り向くと、なにかニヤリとした宗吉とその後ろには少し機嫌の悪そうな‥そうな‥
「ミ、ミ、ミーちゃん(焦)」
「ヒロ(笑い)お前恵美の性格知ってるだろ」
「あ、ああ。わ、忘れていた」
そう!あの恵美は人の話は聞くが、自分の都合の良い部分しか聞かない、と言うか理解しない。
だから急に恵美の機嫌が良くなったのは、俺のセリフの『大事な妹の明美と同じ』の『大事な』の部分しか聞いてない‥‥‥。
つまりはあいつ恵美は俺が言った『大事な妹』を『大事な恵美』と壮絶な思い込みをしていると言う事だ。
「まあ、ヒロお前がハッキリ言わないのが悪い。ところで彼女、どうするんだい?」
「えっ?あっ!」
「ヒーチャン(怒り)」
で、俺の今の心の気持ちが彼女、朝日 ヒロミにも伝わっているので、かな〜り怒ってらっしゃいますう〜(焦り)。
もう告白して付き合ってまだ半日もしないでですねー、俺は彼女の前で土下座して謝りました。(汗)
で、そんな俺らを見る一人の影が。
「本当に面白いわね。彼も彼女も。彼、この世界の特異点てこと忘れているのかな?まあ、いいか!面白いから。クスッ(笑い)」
そう言うとスマホで何処かに連絡をしていた。その影とは‥‥‥誰でしょうか?
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