第5話【北の大地】
飛行機が飛ぶ瞬間が好きだ。
このとてつもなく大きな鉄の塊が、
刹那的に新幹線の最高時速のような
速度を出して離陸し浮いた瞬間に
体にかかる地球の重力。
体の中の何ともいえない気持ち悪さに
目をつぶり、旋回が終わるまで音楽に
聞き入ることする。
そのまま眠りに落ちた私は着陸準備の
アナウンスがなるまで眠り続けていた。
着陸体勢に入り徐々に大きくなっていく
街並みの様子を見てみると日が落ち始め、
明かりが少しづつ灯りだしている。
飛行場に到着し自分が荷物も持たず
全くのノープランでここまで
きてしまったことを思い出した。
泊まる場所だけでも確保しようと
観光案内所で相談し、お手頃な
ビジネスホテルを確保。後は適当な
ところで着替えを買えばいいかと考え、
ひとまずタクシーに乗ることにした。
未知の土地のことは地元のタクシー
運転手に聞くに限る、これは国内旅行の
鉄則だと思う。
私はホテルの名前を告げ、先に
この時間でも衣類などを購入できる
場所に連れて行ってもらうことにした。
思いの他おしゃべりな運転手に
イヤホンを片方外し相槌で応戦する。
正直面倒だが知らない土地でへそを
曲げられるよりはましだ。
この運転手のお薦めの場所はどうやら
函館山というところらしい。
やたらと日本三大夜景を連呼する相手に
少し疲れを感じ、面倒になった私は
スマホで函館山について検索してみる。
山麓からロープウェイで
5分かからないらしい。これ以上、
運転手に付き合いたくなかった私は
行き先をホテルからロープウェイ乗り場に
変更することにした。
ちょうど夕暮れ時ということもあり
チケット売り場は混雑していたが
ここはお一人様のいいところである。
前に並んでいた5名の旅行客は定員の
都合上乗れないということで優先的に乗車
させてくれ、頭の中で有名テーマパークの
お一人様ゾーンを思い出した。
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