第31話 討伐完了と昇級
キングとクイーン、この2体の亜種は流石に手強かった。
そして、残り少なくなった戦う事の出来る上級の冒険者達。
だが、彼等は間違いなく強者だった。
この不利な状況でも、自ら我先にと逃げ出す様な上級の冒険者は誰一人として居なかったからだ。
そんな彼等の男気に敬意を表して、戦いに参戦した俺は実力の一端を解放する事にした。
俺は、両手で構えたロングソードに風魔法のカッターを付与する。
勿論、無詠唱でだ。
そして、身体能力を上げる為の強化魔法を施すと、俺はクイーンの元に一気に加速して詰め寄った。
そして、クイーンに抵抗させる暇も与えずに、俺はロングソードを地面擦れすれから空に向けて一気に切り上げた。
すると、俺の目の前で声を上げる間もなく、クイーンの身体は左右に別れて地面へと倒れて行った。
GUwooo---!
その光景に、何が起こったのかとキングが唸り声を上げる。
俺の傍にいた上級の冒険者達は、突然の出来事に呆気に取られて沈黙していた。
そこから俺は更に俊足を使い、戸惑って制止してしまったキングに肉薄すると、その丸太のような首にロングソードを一閃、するとキングの頭部は胴体から離れ地面へと転がり落ちた。
遠巻きに戦闘を見ていた、後方支援を受け持っていた冒険者達から勝ち鬨の歓声が一気に湧き上がる。
そして、それに遅れて前線で戦っていた上級の冒険者達からも歓声が沸き上がった。
こうして、午後の早い段階でゴブリンの集落殲滅作戦は無事終了した。
三日後の朝......。
討伐報酬の振り分け作業が完了したと、宿の部屋でのんびりと過ごしていた俺の元にギルドからの連絡票が回って来た。
俺は身支度を整えると、ギルドへと足を運んだ。
「創作さん、お待ちしていました」
受付のエミリーさんが言葉を掛けてきた。
「報酬の振り分けが完了したと連絡が来たんですが」
「はい、済んでいますよ。 報酬を振り込みますので、創作さんのギルドカードを出してもらえますか」
振り込む???
「え~と、現金じゃないんですか?」
「あっ、説明不足でしたね。
今回、創作さんはゴブリンのキングとクイーンの変異種を単独で討伐したので、その報酬が合計で金貨3000枚となっています。 ただこの金額をギルドの方が現金では用意出来ないので、ギルドカードの預金口座に振り込みという形にさせて貰いました。 駄目でしょうか?」
「あ~、了解しました。 そのようにお願いします」
「了承して頂いてありがとうございます。
それからですね、創作さんのゴールドランクへの昇級も決まりましたので手続きの方をして置きますね」
「えっ、ゴールドランクへの昇級ですか...早く無いですか?」
「普通、単独で討伐できるような事案では無いですから、この評価は当たり前の事だと思いますよ」
エミリーさんからそう言われると、そうなのかと思ってしまう自分がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます