第29話 たまには集団で

領主のお屋敷での昼食会に参加して二日後......。


俺は、ゴブリンの集落殲滅作戦に参加していた。


昨日の朝、冒険者ギルドに顔を出した時のこと、エミリーさんから俺に提案があったのだ。


「創作さんは、いつも個人で仕事をしていますが、この街の近くに出来てしまったゴブリンの集落を殲滅する事になったので、その討伐隊に参加して貰えませんか」


と、提案と言うかお願いをされてしまったのだ。

まぁ、俺の方もたまには良いかと思い、快くそのお願いを引き受けたのだった。



俺がエミリーさんから聞いた情報によると、ゴブリンの集落には群れを率いるゴブリンキングとクイーンが番で一組、その下にナイト、ビショップ、ルーク、ポーンといて、それぞれに魔法を使える者や、武器を扱う者がいるらしい。


そして今回のゴブリンの集落には、その全てのゴブリンが揃っていて、数もここに来て急激に増えて200体に近付いて来ているので、これ以上は危険だと判断して殲滅する為の討伐隊を組んだと言う事らしい。



そして現在、集落の手前に造られた作戦本部にて......。


「諸君集まってくれてありがとう、エバートン冒険者ギルド長のベイツだ。

これから、ゴブリンの殲滅作戦を遂行する為の作戦を伝える」


ギルド長が、ギルドのカードランクに見合った指示を与えて行く。


俺は、ブロンズランクなので後方支援となった。



午前9時、ギルド長が殲滅作戦開始の合図を出した。


「作戦開始だ!」


ギルド長の合図を受けて、冒険者達が一斉に役目に従って動き出した。

俺も遅れないように、後を追い駆けていった。


俺達ブロンズランクの冒険者は前方で倒し損ねた、又はすり抜けてきたゴブリンを後方で倒すのが役割だ。


ゴブリンの集落殲滅作戦が始まって30分、最前線の方で突然爆発音が響いた。


ドガ~ン!


何人かの冒険者が爆発に巻き込まれたのか、他の冒険者に背負われて後退して来た。


後方支援のブロンズカードの冒険者である俺達は、何人かで怪我をした冒険者を受け取り背負うと作戦本部の救護施設へと向かった。


すると「大丈夫か~」と、言ってギルド長が慌てて寄って来た。


そして俺達が怪我をした冒険者を背負ったまま施設に入り簡易ベッドへ寝かせると、治療魔法を扱える冒険者と治療用のポーションを抱えたギルドの職員が寄って来て、怪我をした冒険者の治療を始めた。


怪我人を運んで来た後の俺達に手伝える仕事は無いので、後方支援を継続する為に治療を任せて殲滅作戦の現場へと戻った。



俺達が持場に戻り後方支援を始めたが、未だ戦闘を行っている前の方では、魔法を使うゴブリンに手間取っている様子が伺えた。


そこで俺は探索魔法を駆使して魔法を使うゴブリンを探していく。


すると、20体のゴブリンが魔法を使って、こちら側を攻撃しているのが分かった。


俺はそのゴブリン達にマーカを付けると、心臓を狙い撃ちして雷撃の魔法でショック死させた。


そしてゴブリンによる魔法攻撃が止んだことで、上級冒険者達が今迄の劣勢を巻き返えそうと反撃に転じた。


だが、ゴブリン達を殲滅するには、上級冒険者達の駒がいや力が不足しているのではないのかと俺は感じていた。

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