第27話 討伐報酬+α
二日後、俺達はエバートンの街へと無事に帰ってきた。
マルコ副団長とメリッサは、エバートンの街の門を抜けるとそのまま領主の屋敷へと戻って行った。
俺は二人と別れると、そのまま冒険者ギルドへと向かい、大猪の討伐依頼達成の報告を行っていた。
「ご苦労様でした。 創作さん」
「ありがとうございます。 エミリーさん」
挨拶を済ませると、俺は懐から長老のガンテツさんにサインを貰った依頼書を取り出し、受付嬢のエミリーさんに手渡した。
「ありがとうございます。 依頼達成ですね」
エミリーさんは、俺から依頼票を受け取ると達成報酬の計算を始めた。
「創作さん、お待たせしました。 こちらが、今回の報酬になります」
「え~と、多く無いですか?」
「それはですね。 大猪の状態も大変良くて、お肉と毛皮が沢山取れたので集落の長老ガンテツさんが上乗せをしてくれたんですよ。 良かったですね」
「そうですか。 納得出来ました、有難く受け取ります」
俺は臨時収入を得て、内心大いに喜んでいた。
「あっ、それとですね。 領主のヘンリー様から、三日後のお昼に屋敷の方へ来て頂きたいとの伝言を頂いていますので、忘れないで下さいね」
「はい、三日後ですね。 忘れないようにします」
俺はエミリーさんから報酬を受け取ると、宿泊していた宿で再び部屋を確保するために向かった。
三日後......。
俺は領主の屋敷の来客用の広間で、領主のヘンリーさんと対面していた。
「済まないな、わざわざ屋敷まで来て貰って。
娘を助けて貰ったのだから、こちらが挨拶に向かわなければいけないのだが、立て込んでいてな申し訳ない」
「いいえ、それは気にしないで下さい。
俺は討伐の依頼を終わらせての帰り道で、たまたまその場に遭遇して気が付いたから助けに向かっただけですから」
俺とヘンリーさんの話が一段落すると、広間に領主の娘さんと女騎士のメリッサさん、それと助けたメイドの二人が入ってきた。
「先ずは紹介しておこう」
ヘンリーさんが、俺に向けて言葉を掛けてきた。
「この子は、助けて貰った娘のシンシア。
その隣は、娘の護衛を任せているメリッサ。
そして、世話係を任せているメイドのテトとリンだ」
ヘンリーさんが一人づつ紹介していくと、其々も一人づつ自己紹介をしてくれた。
自己紹介の挨拶を終えると、そのまま全員で執事長の案内の元、食堂へと移動した。 そして、用意されていた昼食を囲んでの食事会となった。
「そう言えば、創作君はいま幾つなんだ」
「俺ですか? いま25歳です」
「そうか、その年齢であれだけの盗賊達を一人で倒せるんだから相当な修練を積んできたのだな」
俺はこの世界ではズルいチート持ちなので、答えようが無いのだが...
「ありがとうございます」
と、だけ答えておくことにした。
すると......。
「創作さん、本当に助けて頂いてありがとうございました」
娘のシンシアさんが、若干頬を朱く染めながらお礼の言葉を掛けてきた。
「私もお礼を言い忘れていたので、ありがとうございました」
「私達も、ありがとうございました」
残りの三人も、笑顔でお礼を述べてきた。
俺はこの場で四人の満面の笑みを見ることが出来たので、あの時は助けられて本当に良かったと思った。
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