第26話 後処理が待っていた

領主のヘンリーさんが指揮を執り盗賊の棲家となっていた集落後を出立して行った。


俺はこの場に残り、二人の騎士と集落の後始末をする事になった。


まぁ、盗賊を全て殲滅した張本人だから現場の状況を一番理解しているので仕方がないのだが。


「ところで君は、お嬢様と一緒に行かなくて良かったのか?」


「創作殿と一緒になってこの集落の中を、最初に調査したのが私だからそれで残ったの。 その方が、調査を行うのに効率が良いでしょう。

あっ、それから私の名前はメリッサよ」


ドタバタしていたので、俺は女性達の名前を一人として聞いていなかった事をこの時初めて気が付いた。


「そうか、メリッサさんだな」


もう一人は、騎士団の副団長でマルコさんと言うらしい。

男はどうでも良いか。


俺達三人は、集落跡の奥の方から一軒づつ建物の中を調べていった。


その結果、幹部がいた部屋以外には手下達の生活していた痕跡しか残っていなかった。


そして最後の一軒、幹部が使っていた部屋へとやって来た。


ここへ運び込んでいた盗賊達の亡骸は既に埋葬処理を済ませてある。

そして、幹部達の頭部は領主のヘンリーさんが見せしめに使うために、持って来ていた状態保存の箱に詰めて運んでいった。


その後、部屋の中は綺麗に掃除をしてあるので、血糊の痕跡も匂いも既に無い状態となっている。


「マルコ副団長、ここの床板がギシギシと音を立てているのですが」


「どれ」


メリッサの報告にマルコ副団長が、床板の所を踵で踏みしめてみる。


ギシギシ!


「確かにここだけ音がするな」


そう言うと、マルコ副団長は腰に手を回して剣を鞘から引き抜いた。


そして、剣先を床板の隙間にねじ込むと、マルコ副団長は力任せに床を引き剥がした。


ガタン! 


盛大な音を立てて床板が壁の方へと飛んでいった。


「副団長、やり過ぎです」


「すまんすまん、力を入れ過ぎてしまったようだ」


飛んでいった床板の後には、階段が拵えて有り地下室が造られていた。


マルコ副団長を先頭に、俺・メリッサの順で階段を降りていく。


光源は照明の魔道具が壁に掛けて有ったのでそれを利用させて貰う。


「凄いな、よくもまぁこんなに貯め込んだもんだ」


「マルコ副団長、これはどうするんですか?」


目の前に積まれた金銀財宝などを見て、メリッサが問い掛ける。


「全て回収して、領主の屋敷に運ぶしかないだろう」


「でも、これだけの物を入れて運ぶ道具がないですよ」


そんな、二人の会話に俺が割り込んだ。


「お二人とも、あそこに収納の置いて魔道具がありますよ」


俺の掛けた言葉に『へぇっ!』と、二人が声を出し間抜けな顔を見せていた。


その後、全ての金銀財宝を回収、その他の悪さをしていた証拠の関係書類も回収して俺達は集落を後にした。



集落はこの後、別動隊の騎士団が来て、盗賊達の根城として二度と使われないように解体処理する事になっている。

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