第25話 お迎えが到着した
集落の中を女騎士と俺で使えそうな建物を探し回ったが結局見つける事は出来なかった。
盗賊達も男共しか見なかったので、綺麗好きは一人も居なかったようだ。
そして、解放した女性達の処へと戻ってくると、飲み物とお菓子は綺麗サッパリ無くなっていた。
女騎士は俺の頼み事で食べそこなっていたので、俺は先程よりも多めにまた飲み物とお菓子をテーブルの上に補充しておいた。
しかし、今度の飲み物とお菓子には女性達が群がる事は無かった、先程出していた物量で満足してくれていたみたいだ。
さて残る仕事は、盗賊達の亡骸を集めて弔う事と、女性達の寝床の確保をする事となる。
そう考えを纏めて、行動しようとした俺に領主の娘さんが声を掛けてきた。
「創作さん。 少し良いでしょうか」
「はい、何でしょう」
「実は、私の持っている通信の魔道具を使って先程お父様と連絡が取れたのですが、こちらの状況を話したらお父様が騎士を連れて、こちらまで迎えに来てくれるそうです。 それから、救出した彼女達の事も伝えて有りますので、移動の手段は考えなくても良いと思います」
「そうですか、それは助かります。 如何しようかと思っていましたから」
俺は移動の手段が確保された事を素直に喜んだ。
“あっ、そう言えば俺の乗ってきた馬を迎えに行かないと”
領主様が騎士を連れてエバートンの街からここまで来るには二日は掛かるだろう。
その間の、寝床の確保はやはりしなければいけないようだ。
俺は、先ず盗賊達の亡骸を幹部が使っていた建物に運び入れる事にした。
25人を1人ずつ運ぶのは面倒なので、重力魔法と風魔法を二重展開したホバーを使い亡骸を地面から浮かせ5人をひと纏めにして移動させた。
その作業を終わらせると、今度は地面の血糊を生活魔法のクリーンを使い綺麗にその痕跡を消し去った。
そのままでは気持ち悪いし、血の匂いに釣られて獣や魔物がやって来るとも限らないからね。
一つ目の作業を終わらせ、女性陣全員が入れる建物を探していると集会場の建物が有る事を思い出した。
俺は、早速集落の中でも奥まった所に建ててあるその建物へと向かった。
その建物中は、綺麗サッパリと何もなく床に埃りが積もっているだけだった。
女性陣に頼んで綺麗に掃除をして貰っても、時間が掛かり過ぎてしまいそうなので、俺は魔法を使って一気に綺麗に掃除を終わらせた。
そして、建物自体も少しだけ強化して置いた。 建物が崩壊すると危ないからね。
作業が一通り終わったので、集会場の方へ女性陣に移動してもらう。
「解放された女性陣の皆さん、寝る所が確保出来たのでそちらの方へ移動して貰えますか」
「はい、分かりました」
代表して、領主の娘さんが答えてくれる。
そして、集団で移動を始めた。
俺は足の治療は済んでいるが、まだ歩くことの出来ない女性を背中に背負うと集会場の中まで運んであげた。
「わ~、凄く綺麗に掃除をしてあります」
メイドの女性が声を上げる。
「創作さんが、作業されたんですよね」
領主の娘さんが、おれに俺に問いかけてくる。
「そうですよ。 清潔な方が気持ち良く過ごせるでしょう」
「そうですね、お気遣いありがとうございます」
領主の娘さんが丁寧にお礼を述べてくれた。
良く教育されているので俺は感心していた、領主も真面な人物なのだろう。
三日目の朝......。
騎士を引き連れた領主様が、盗賊が根城にしていた集落へとやって来た。
「お父様」
領主の娘さんが、駆け寄っていく。
「お~、怪我は無いのか」
「はい、大丈夫です」
そこへ、女騎士と二人のメイドも近付いていき顔を見合わせた。
「お前達も、大丈夫なようだな」
「「「はい、ありがとうございます」」」
三人揃った綺麗な返事だった。
そして、領主様は俺の方へと足を運んでくると...
「君が娘達を助けてくれた、冒険者の創作君だね」
「はい、冒険者の創作です」
「私はエバートンの街で領主をしているヘンリーだ...よろしくな」
この後、色々と話をしたのだが長くなるので割愛させてもらう。
状況の確認が終わり、領主のヘンリーさんが用意してくれた馬車に捕えられていた女性達を乗せると、エバートンの街に向けて出発となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます