第21話 必要な助けはお願いしよう

大猪の討伐を無事に終えることが出来た俺は、その場で一つ安堵の息を吐いた。


ふぅ~!


「取り敢えずは、依頼を達成する事が出来たかな...」


気持ちが落ち着いた処で、俺は大猪を仕留める為に造った落とし穴を、ゆっくりと元に戻し始める。

そして、ゆっくりとせり上がってくる地面、それと同時に既に息を引き取った大猪も地上へとその姿を見せてくる。


そして地面が平面になるまでせり上がり落とし穴が完全に塞がると、そこには5mを有に超える大猪の亡骸が横たわっていた。


「さて、どうやって集落まで移動させようか」


俺がマジックバッグを使って運んでも良いのだが、知らない人達に余りマジックバッグ容量を知られたくは無い。

そこで、俺はこの地にいる他の肉食動物に食い荒らされないように大猪の周りに隠蔽の為の結界を施して、集落の人達を連れて来ることにした。


俺は、直ぐに集落に戻り長老に事情を説明して、大猪の運搬を手伝ってくれるように頼んでみた。


すると、俺の話を聞いた長老は直ぐに号令を出して、集落の元気のある若い男衆を10人集めてくれた。



2時間後......。


俺は、長老が集めてくれた10人の男衆を引き連れて大猪の所まで戻って来た。

そして、当然だが大猪を運搬する為の荷車も持って来てもらっていた。


「お~ぅ、スゲーな!」


10人の男衆が、横たわる大猪を見て一斉に声を上げる。


(俺は、男衆に大猪が見えていないと対応に困るので、隠蔽の為の結界はある程度近くに来た時には解除して置いた)


男衆10人掛かりで30分も掛かり、ようやく持って来た荷車に大猪を載せることが出来た。


そして、大猪を載せた荷車を10人の男衆が集落へ向かって移動させ始める。

ただその際、大猪の重みで荷車がミシミシと音を立てて今にも壊れてしまいそうだったので、俺は荷車が集落までは壊れないように強化の魔法を掛けて置いた。



1時間半後......。


俺達の帰りを待っていたのか、集落の人達が門の所に集まっていた。


そして、荷車に載せられた大猪の亡骸を見た瞬間、その大きさに集落の人達は驚いた様子だった。


大猪はそのまま集落の中にある解体場に運ばれて、直ぐに解体作業を始めてしまうようなので、俺は長老の屋敷へと戻る事にした。



「創作さん、今回は本当にありがとうございました」


俺が長老の屋敷へと戻ると、長老が俺に労いの言葉を掛けてくれた。


そこで、俺も運搬の為に助力して貰った事に対してのお礼を長老に言っておく。


「いいえ、大猪を無事に集落まで運ぶことが出来たので助かりました。

男衆と荷車を出して頂いてありがとうございました」


「いやぁ、こちらの方がそれ以上に助かっておりますからな。

ところで、本当に大猪の肉と毛皮はこちらで頂いてよろしいのでしょうかな...」


長老が、改めて俺に問いかけてくる。


「えぇ、大丈夫ですよ。 俺も、帰りの大荷物が無くて凄く助かりますから」



その後、俺は長老から依頼書に依頼達成のサインを貰うと集落を後にした。



しかし、エバートンの街に帰る道すがら問題が起きるのだった。

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