第20話 探索と討伐 2

洞窟内に向けて、煙による燻しを始めて30分......。


洞窟の奥の方から、ドスドスと重そうな足音が俺の耳に聞こえてきた。


いよいよ、大猪のお出ましだ。


相当煙たかったのか、かなりの勢いで大猪が一匹飛び出してきた。


飛び出してきた大猪の、その体格は優に5mは超えていそうな大きさだった。


一瞬、変異種かと思いもしたが...。


詳しく鑑定をした結果、普通の大猪だった。


余程、栄養のあるものを沢山食べて育ったんだろう。


集落の人達が丹精込めて作った作物を食い散らかしていたのかと思うと怒りが湧いてくる、だからこそここで討伐させて貰うしかない。


可哀そうだが、今度は集落の人達の糧となって貰おう。


大きな頭を左右に動かして、状況を確認している大猪。


俺は、そんな大猪前に躊躇せずに一歩踏み出した。


そして、この場には誰も居ないので、俺は存分に力を解放する事にした。



俺の登場に、大猪が気付いたのか眠りを邪魔された怒りの咆哮を上げる。


グォ~!


その咆哮には威圧も含まれているのか、地面が振動を起して周りの木々が揺れている。


俺には威圧など効きもしないので、平然とその場に立っていた。


その状況に更に怒りを増したのか、俺には向かって突進して来た。


怒りに任せた単純な行動など、いなす事など俺にとっては簡単なものだ。



突進して来た大猪をギリギリで横へ避けると、俺はジャンプ一番...拳に強化の魔法をまとい、大猪のこめかみを撃ち抜いた。


脳震盪を起こした大猪は、そのまま周りの木々を数本へし折ってから横倒しとなっていた。


ただ、まだ息はしているので気を緩めることはしない。


すると、大猪は脳震盪から回復したのか、のそのそっと起き上がった。


そして、再び怒りの咆哮を上げた。


ガォ~!


大猪は勉強したのか、今度は突進ではなく立ち上がり、その太い丸太のような腕を振り回し始めた。


俺も今度は拳ではなく、ロングソードを空間から取り出して構えをとった。


先ずは、お手並み拝見という事で...


と、切り掛かろうとした所で、俺は今回の依頼の内容を思い出した。


『肉と毛皮』そうこの二のワードを忘れるところだった、集落の人達に頼まれていたのだった。


肉は良いが、毛皮には傷がない方がいいだろうから如何したものか。


数秒思案したところで思い付いたのが、そう異世界物では定番の落とし穴作戦だった。


俺は、土魔法を選択すると大猪の足元に、大猪がすっぽりと入る大きさの穴を開けた。


一瞬の出来事に対応する事も出来ずに穴の中へと消えて行ってしまった大猪。


そして、ズドンと落ちた音が聞えた瞬間、大猪が再び怒りの咆哮を上げた。


俺が大猪を落とした穴に近付き、上から穴を見下ろすと大猪の怒りに染まった顔を確認する事が出来た。


しかし、可哀そうだが大猪は穴からは這い上がる事も、ジャンプして出る事も叶わないだろう。


鋭い眼光で俺の事を睨み付けている大猪。


俺は最後の仕上げとして、その大猪の眉間に向けてレイザー光線を真似た光の矢を打ち込んで息の根を止めた。

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