第19話 探索と討伐 1

長老の話から、大猪の居場所は集落から徒歩で40分程離れた森の入口から更に奥へ30分程進んだ所にある洞窟の中に居るらしい。


翌朝......。

俺は、集落を出立して大猪が生息しているという森に向かって徒歩で移動していた。


そしていま歩いている場所は、集落の人達が開墾した畑の中に通してある農道を歩いている。


この農道は畑で収穫した作物を荷車で運べるようにと、集落の人達によって造られた道だ。


そして、歩くこと40分...俺はやっと森の入口まで到達することが出来た。

時刻は午前7時を回ったところだった。


先ずは、森の中に入る前に腹ごしらえをしておこう。

長老の屋敷を出て来る時に、長老の奥さんのギンさんが俺におにぎりを持たせてくれたのだ。


俺は近くにある岩の上に座り込むと、マジックバッグの中からギンさんが持たせてくれたおにぎりを取り出した。


竹の皮の包を開き一つのおにぎりを手に取り口に含むと、程よい塩加減で食べやすい大きさに握られた美味しいおにぎりだった。


おにぎりを食べ終わり、お茶を飲みながら俺は探索魔法を発動すると、森の中の方を注意深く探査した。


分かった事は、洞窟のある辺りまでは小型の獣が中心で大型の獣はいないという事だった。


そして、討伐対象の大猪は活動をしておらず、この時間はまだ洞窟の中で睡眠中のようだ。


俺は、おにぎりを包んでいた竹の皮とお茶の入っていた水筒をマジックバッグにしまうと、森の入口から森の奥へと足を踏み入れた。


大型の獣は探知されなかったので、俺はのんびりとした足取りで森の奥へと進んで行く。


そして歩き始める事30分、遂に洞窟の入口が見えてきた。


「結構デカい入口だな」


まぁ、大猪の大きさが5m程と聞いていたので驚きはしないが、直径で3mはある洞窟の入口の大きさだった。


「洞窟の中で戦闘するのは愚策だな。 どうやって表に引っ張り出すか...」


暫し思案した後、俺が出した答えは......。

それは一般的なもので、火を焚いて煙を起し洞窟の中へ煙を送り込んで燻りだすという作戦だ。



作戦を決めた俺は15分程掛けて、周辺の森の中から大量に枯れ枝を集めてきた。


そして、そのまま洞窟の方に近付いくと、入口付近に大量の枯れ枝を山のように積み上げて、火魔法のファイヤーで着火した。


火を付けた枯れ枝の中には、少量の生木も入れてあるので煙が直ぐに発生する、更に大猪の嫌うであろう匂いのする原木も入れておいた。


後は、煙が上手く洞窟の中へと入って行くようにするだけだ。


そこで俺は、生活魔法の送風を使って煙を洞窟の中へと誘導した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る