第18話 現場に向かう
受付嬢のエミリーさんから渡された地図では、エバートンの街から南東方向にある森の入口付近にその集落は造られていた。
そして、集落に向かう為の馬を冒険者ギルドから貸し出してもらい、俺は二日駆けて集落へとやって来た。
俺が辿りつた集落の大きさは規模で言うと村と大して変わらないのだが、行政機関が置かれていない事で、村ではなく集落扱いとなっているようだ。
村には村役場と言う行政機関があり、そこに住む住民の生活を一括してサポートしているからだろう。
そんな集落の入口を兼ねる簡易的な門の前に着いたので、俺は乗って来た馬から降りると、そこで見張り役をしている人物に要件を伝えて集落の中へと入れてもらった。
そして、まとめ役をしているという長老の家を教えてくれたので、早速足を運んで依頼の件を確認してみる事にした。
その長老の家は集落の中では、比較的大きめの造りでしっかりとした建物だった。
そう、昔で言えば村を纏めていた庄屋の家と同じような感じのものと言えるだろう。
俺は、馬を屋敷の外にある留め置きようの柵に手綱を巻き付けると、桶を二つ出して水と飼い葉を与えておいた。
そして、俺は屋敷の庭を通り抜け、開けっ放しの玄関から家の中へと声を掛けてみた。
「済みません...長老のお宅はこちらでしょうか」
すると、直ぐに奥の方から一人の老人が現れた。
「わしが、この集落のまとめ役をしておる長老のガンテツじゃ。 してヌシは?」
「俺は冒険者ギルドで依頼を受けて大猪の討伐に来た冒険者の創作と言います」
俺はギルドで発行された依頼書を長老のガンテツさんに提示しながら答えた。
「お~そうか、そうか...これは、失礼した。 確かにこちらが依頼したものじゃ」
依頼書を確認した長老のガンテツさんは、俺に家の中へ入るように促して客間へと案内してくれた。
その客間で長老のガンテツさんと依頼の内容について話をしていると、一人のお婆さんがお茶を運んできてくれた。
「あっ、これはワシの連れ合いじゃ」
折角なので、俺はお婆さんと挨拶を交わしておくことにした。
「初めまして、冒険者の創作と言います」
「これは、ご丁寧にありがとうございます。 わたしは、家内のギンと申します」
挨拶を交わすと、奥さんのギンさんは客間を出ていった。
そして、ガンテツさんと30分ほど話し合った結果、明日から依頼をこなす事になった。
それから、俺の宿泊する場所はいま居る客間を使わせてもらえる事になったので、野営をする必要が無くなったので一安心だ。
俺は泊る場所を確保する事が出来たので、屋敷の外に繋いでおいた馬を屋敷の敷地内にある馬房へと移動させた。
俺が依頼を終えるまでは、この屋敷の馬房で預かって世話をしてくれるらしい。
そして夕刻の飯の時間までは、まだまだ余裕があるので、俺は集落の状況を確認するついでに散策してみる事にした。
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