第16話 納品と考察

翌朝......。

目が覚めた俺はサッサと朝食を済ませると身支度を整えて、フライフィッシングの道具一式をまとめて手に持つと早速湖へと足を運んだ。


湖の湖面を睨みながら“さぁ、今日こそは...”と気合いを入れる。


そして、程よい岩場を探して移動しながらフライフィッシングを始めた。


最初の内はロッドとラインの操作に四苦八苦していたが慣れてくると意外と簡単に操作が出来るようになった。


まぁ、この操作に慣れるのに2時間程費やしてしまったが......。


その後は、まさしく入れ食い状態で目標数の10匹は1時間程で達成する事ができた。


この二日間の苦労が報われた瞬間でもあった。


自分用の分まで確保出来たところで終了として、昼過ぎにはギルドへと戻って来た。




「こんにちは」


依頼を勧めてくれた、受付嬢に声を掛ける。


「あら、創作さん。 三日ぶりですね、やはり釣れませんでしたか?」


「いえ、この中なんですが確認して貰えますか」


俺は、受付カウンターの上にギルドから貸し出して貰っていた保存ボックス置いた。


ボックスの蓋を開けて中を確認した受付嬢が俺を見て微笑んだ。


「凄いです、まだ元気いっぱいですね。 はい、確かに依頼票通りのお魚さんですね。 では創作さん、依頼票とギルドカードを出して下さい」


俺は、言われた通りに依頼票とギルドカード出して受付嬢に渡した。


「はい、ありがとうございます。 いま、処理をしますね」


受付嬢が処理をしている間に保存ボックスの方は、他の職員が奥へと運んで行った。


「創作さん、終わりましたよ。 こちらが、報酬の金貨5枚です」


「えっ、そんなに貰えるんですか」


「はい、状態が非常に良かったのでこの金額になりました」


「そうですか。 ありがとうございます」


俺は、報酬を受け取ると冒険者ギルドを出て街へと散策に出掛けた。



このエバートン街の規模はチェルシーの街とほぼ変わらないようだった。


街壁は半径3kmの円周で高さは5m位だ。

そして、人口は10.000人規模の街のようで、そこに行商人や冒険者、一般的な旅人が出入りしている感じだ。


俺もその冒険者の一人だがな。


そして夕暮れ近くまで街の中を散策してみたが、これといった物は無かった。

まぁ、この世界ではこれが当たり前の事だな。

多分どこの街に行ったとしても変わらないだろう。


大体の街の様子と雰囲気みたいなものは理解できたので、俺は宿に帰ることにした。


そうそう散策の途中で宿も何軒か物色してみたが、その中でもギルドで紹介して貰った宿が一番まともだった。

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