第13話 ニュースな盗人

野営地での戦いは、1時間程で全ての戦闘が終了して後始末が始まった。


護衛の冒険者達が中心になって、切り捨てた盗賊達を野営地から離れた場所に

掘った穴へと次々に放り込んでいく。


そして、冒険者のリーダーと思われる人物が、個人で戦った俺達の身分証を確認

して討伐した人数と照らし合わせて行く。

ギルドカードには、討伐した人数も記憶される仕組みだからだ。


商隊の護衛に参加していない冒険者は、俺も含めてだが10人も居た。


盗賊達は50人程だったが、今回の襲撃は無謀な計画としか思えなかった。


“合掌”


大体の後始末の手続きは終わったようなので、俺は自分の馬車の元に戻った。



翌朝......。


昨夜、俺が戻って来た時にステルス状態は解除しておいたので、馬車の扉を開け

て姉妹を起こす。


「楓音に夏梨ちゃん、朝だよ!」


「「は~い」」


二人が起きて馬車の中から出て来たので、顔を洗うように声を掛けタオルを渡す。


そして、二人が顔を洗っている間に、俺は食事の支度を終わらせた。


「創作さん、ありがとうございました」

「ありがとう」


「良々、二人共準備は出来てるから、食事にしよう」


俺は二人に、深皿に盛った料理とスープの入ったマグカップを渡す。


「「はい、いただきます」」


二人が食べ始めたのを見て、俺も食事に手を付けた。



1時間後......。


食後の片付けも終えた俺達は次の野営地を目指して一晩過ごした野営地を後に

した。



隣街まで残り一日の所まで、無事に旅を続けて来た俺達。


途中、二人の為に少し寄り道をしたりしていたので、二人共この長旅でも退屈

はしていない様子だった。


そして、街に着くまでの最後の野営地に到着した俺達は場所を確保すると食事

の支度を始めた。


三日目位からは、姉の楓音ちゃんも食事の支度を手伝ってくれるようになった

ので、わりかし早く食事の準備が整う事になった。


「さぁ、食べようか」


「「はい、いただきます」」


そう言って食べ始めようとした時......。


「あっ、あ~!」


夏梨ちゃんが手に持っていた、Hバーガーを掠め取って行った輩が居た。


「あれは、トンビか...」


俺が上空を見上げると、獲物を求めているのか何羽も旋回していた。


観光地で起こるニュースとして何回も放送されていたので、其れなりにみた

光景だ。


「参ったな。 何回も盗られる訳にはいかないから二人は馬車の中で食べようか」


「「は~い」」


夏梨ちゃんには代わりのHバーガーを渡して、二人共馬車の中へ入らせた。


そして、俺のHバーガーは盗りに来なさそうなので、俺は焚火のそばで一人黙々

と食事を終わらせた。


久し振りに独りで食べた食事は結構味気なかった。

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