第7話 通用するようだ

丸太船を使って対岸へと渡り切った俺、そしてティナ。


「創作さん、何とか辿り着きましたね」


「あ~、やっとだがな」


船から荷物を降ろして、俺達は一時休憩を取る。


流石に何時間も丸太船の中で座りぱなっしだったので腰にきたのだ。


ティナの方は全然平気みたいだが、そこは獣人という事だろう。



40分ほど、水を飲んだり残りの揚げパンを食べたりして栄養の補給も忘れずに

しておいた。


「さぁ、ティナ。 出発しようか」


「はい、創作さん。 行きましょう」


因みに丸太船は使う時が来るかもしれないないので、一応収納魔法で収納して

おいた。



対岸のこちら側も川の傍は鬱蒼としたジャングルのようで、道なき道を歩くこと

となった。


しかしこちら側に川を渡ったことで、ティナが本領発揮してくれて三日目には

大きな街道へと出ることが出来た。


俺一人だと、何カ月もジャングルの中で、さ迷っていた事だろう。


なんせ、方位磁石が全く使えなかったからな。



街道にでた事で移動するペースも上がり、野営をしながら五日目の昼に街壁に

囲まれた、チェルシーという街に到着した。


この街の名前は、俺がシナリオを書くときに付けた、最初の街の名前だった。



街の入口に到着した俺、そしてティナ。


門番の所で、身分証のギルドカードを提示して街の中へと入った。


この事で、俺のギルドカードも通用する事が確認できた。


後は、財布の中身の金銭が通用するかどうかだが。



ティナは冒険者ギルドに顔を出すと言うので、門を抜けた先で別れることに

なった。


「創作さん、色々とありがとうございました」


「おぅ、今度は罠に引っ掛かるんじゃないぞ」


「はい、気を付けます」


「じゃぁな」


手を振りながら、ティナはギルドのある方へと駆けていった。



一人になると、何か寂しいものもあるが...


俺には確認しないといけないことが、山積みになっているので、一人の方が行動

しやすい。 なので、暫くは人付き合いは遠慮しておこう。


取りあえずは、宿の確保に向かう。


荷物は収納魔法で済んでいるので、実際には小型のデイバッグしか背負っていな

いのだが、寝る場所だけはしっかりとした宿を確保しておきたい。



通りを歩いている人達に声を掛け、リサーチしながら目的の宿へと向かう。


シナリオ通りなら、ここでいいはずだ。


よし、外観も雰囲気もそのままだった。


そのままなら、風呂もトイレも各部屋完備になっているはずだ。



俺は思い切って、宿の玄関をくぐった。



「お帰りなさいませ、創作様。

今回は長い期間のお仕事だったんですね。

こちらが、何時ものお部屋の鍵となりますので、どうぞ」


「いやぁ、いつもありがとう」


俺は受付で鍵を受け取ると何時もの部屋へと向かった。


簡単に説明をすると...、受付でのこのやり取りもシナリオ通りなのだ。



部屋に入り、中の様子も確認してみる。



全てそのままだったので、取りあえず荷物を置いて一息入れた。


シナリオ通りの部分とそうではない部分との見極めが大事となって来ている

ので、暫くはこの部屋を拠点に頑張るとしよう。

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