第4話 迷惑な来訪者......?
俺が川の傍の拠点に帰って来ると、設置して置いたテントが無残な姿に変わり果てていた。
「おい、お前。 何してくれてるの怒るよ」
(・・・・・・・・?)
テントの残骸の傍で、昼飯用に作り置きして置いたサンドイッチを口一杯に詰め込んで、ムシャムシャと食べている銀狐がそこにいた。
投稿動画の中で設定した、けものフレンズでは在るが街に到着した後で登場する筈なんだけどな⁉
ゴフォッ...ゴフッ...。
俺の突然の声掛けに、驚いた拍子で咽たようだ。
「ほら、これを飲んで」
俺の渡そうとした水筒を奪い取るように手に取ると、口をつけ一気に飲み干した。
プハァ~
「助かりました」
「それは良かった。 ところで、この惨状はどういう事かな???」
「うっ...。 その、申し訳ありません。 実は...」
銀狐から話を聞くと、迷宮の探索中にトラップに引っ掛かって、この森にまで飛ばされて来たとのこと。
そこから、三日三晩飲まず食わずで彷徨っていた。
そうしたら、たまたま川の傍で俺のテントを見付けたので、近づいて声を掛けてみたが、返事がなく誰も居なかったので空腹には勝てず、勝手に食べ物を漁ってしまったらしい。
「まぁ、事情が事情だし、今回は大目にみよう」
「あっ、ありがとうございます」
三つ指を地面に着いて頭を下げ、謝る銀狐。
「それで、自分の荷物とかは無いのか」
「いいえ、このブレスレットが収納アイテムなので、食べ物以外は......有ります」
成程、食べ物以外は持っているようだ。
「そうか、自己紹介がまだだったな。 俺の名前は、創作だ」
「あっ、私も名乗らずに済みません。 私の名前は、ティナです」
見るからに。 少し? いや大分、残念系の女の子みたいだ。
「俺はこれから川を渡る為の丸太船を造るんだが、この惨状の後片付けはしてもらえるのかな」
「はい。 キッチリと片付けさせて頂きます」
お腹が満たされて元気が出たのか、やる気を見せる銀狐のティナ。
少し心配だが任せておくか。
夕暮れ時になり、川原で丸太船の本体を何とか造り終えた俺は、拠点のテントに戻って来た。
「お帰りなさい。 どうですか...?」
「あ~、綺麗に片付いている。 少し見直したよ」
褒められて、笑顔になる銀狐のティナ。 何気に可愛い。
「さて、夕飯は何を食べようかな。 ティナは料理が出来るのか?」
「いや、あの、その...」
その様子から、料理は出来ないようだ。
「何か食べたい物とかあるか」
「いいえ、好き嫌いは無いので、何でも大丈夫です。 美味しければ」
料理は出来ないが、味には五月蠅い様だ。
取敢えずは、獅子鍋の残り物と道中で採集して置いた薬草でスープを作る事にした。
「わぁ~凄いです。 ソウサクさん料理得意なんですね」
「まぁ、一人暮らしが長いからな。 さぁ、冷めないうちに食べよう」
二人で夕飯を食べて、後片付けを終える。
その後、ティナもブレスレットから自前のテントを取り出すと、俺のテントの隣に設置した。
この夜は、テントが二つになったので、獣除けの結界を広範囲に貼って就寝した。
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