第2話 街に向かって
あれから、一月...。
大木の傍らに建てたログハウスを拠点にして、自分自身の能力を把握する為の活動に専念していた。
そして、ほぼ全ての項目が設定していたシナリオ通りに、自由に使える事を把握する事ができた。
そろそろ、街を目指してここを離れようかな。
俺の創ったシナリオ通りなら、この大木が生えている所から二十日ほど南東へ進んだ所に、サッカー・プレ◯アムリーグのチーム名から拝借した名前の街があるはずだ。
(街の名前を考えるのが面倒くさかった訳ではない......多分⁉)
街が近すぎると面白くないからと、遠くに設定し過ぎたかな。
と...、独り言ちる。
一人でやる事なので、三日ほど掛かりやっと荷造が済んだ。
ログハウスは此のまま拠点として残していくので、部屋の中を整理整頓して状態保存と隠蔽の魔法を施しておいた。
街に向かって森の中を歩き始めて二日目...。
いよいよ、出て来るかな?
何が...? と、みんな思うと思うが。
シナリオ通りなら、◯ナコンダとか◯ンキーグコングとか◯ニラとか◯スラとか...
こんな感じのモンスターが登場する予定になっている。
現実の世界では対決なんて出来る訳が無いので、シナリオを書くときに欲張って登場させて映像を造り上げたのだ。
そして、著作権に引っ掛かると困る事になるので、個人的なイメージでデフォルメはして置いたが、この世界でどうなっているのかは対面してみないと判らない。
大木の周りは、半径800mの聖域に指定していた関係で、人里近くにいる普通の動物しか生息して居なかったのだ。
そして、街に向かう二日目からモンスターが出るように設定したのは、直ぐに戦闘になってしまっては、動画を作る時に尺が足りないからというのが実際の理由だったりする。
ガサッ...ゴツ...ゴツ...ゴッ...
ザッ...ザ...ザッ...
あっ、やばい、やばいっ
30m程先に突如として現れたのは、口元の左右から50cm位の2本の真っ白な牙を
生やして、涎を垂らしている体高で3mは有に超えるであろう猪君だった。
設定では体高で2m位にしておいた筈なんだが。
猪君はその紅い瞳に写る俺を餌と認識したのか、猛然と襲い掛かって来た。
ドドッ...ドドドッ...
俺は猪君とぶつかる寸での処で、自身の身体能力を使って側に生えていたやや太めの木の上に飛び上がった。
10m程、突進して止まった猪君は俺が退避した木を見上げると、この木に向かって何度も突きを繰り返し始める。
そして、10回目の猪君の突進が木に突き刺さると同時にメキメキと音を立てながら俺の退避していた木がゆっくりと傾き始めた。
さらに、倒れ始めた木が45度程傾いた時に、たまたま倒れた方向にあった木にぶつかり止まった瞬間、俺は木の上から地面へと放り出されてしまった。
ありゃっ、マジで!
諦めて何処か行ってくれないかなと思っていた俺は、この状況に間抜けな声を発していた。
そんな俺の状況を見て更に口から大量の涎を垂らす猪君。
俺は覚悟を決めて、腰に携えた剣に手を添えた。
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