3六歩

傷つけ合うことは基本楽しい

認め合わなければ殺し合いになるから

二人は出会いを歓びに変える

それでも時に

絶望が片側を闇で照らす


盤上で日は暮れる

ぶつかり合う鐙

安心していた心の隙に

見たこともない槍が刺さる

痛みを感じる暇もない

秒は有限を刻々と知らせる

汗も唾も涙も全て

逆流するほどの熱が来た


突き出されたものは

受け止めねば ならない

与えられたものには

答えを返さねば ならない

けれど

時に残酷に痛みは一方的に

覆いかぶさってきて

世界を停止させて

そして

未知の歓びを植え付けていく


二人の逢瀬が過ぎて

戦場は風に飲まれる

3六歩という歴史は

未来の引力を倍増させた

再び傷つけ合う

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