第36話 ウルの最後

ウルの日誌は1月17日に中断され、翌月14日にハワイ島西岸ケアラケクア湾頭において、島民との紛争で死去するまでの28日間は、空白のまま残されている。しかし士官達の中には、手記、日誌を残した者がなん人かいるので、ウルの最期までの推移についてはそれらによってだいたい明らかにすることができる。


ウル達を驚かせたのは、彼らを迎える住人達の数だけでなく、彼らが歌ったりして「このうえない喜びと満足を表している激昂した感情だった。しかも上陸すると、ウルを待ち受けていたのは、一連の祭式だった。われわれが浜辺に上陸すると、みな犬の毛を頭に付けた棒をたずさえ、呪文を唱えながら、しきりにエロノということばを繰り返していた。これはウルに対して与えられた名。すなわち神を意味していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る