第7話 苦手なもの
大学のテストが迫ってきているが、切羽詰まるだけで机に向かう時間が伸びる訳でもない。久しぶりに部活したいなぁなんて思っているばかりで、一向に勉強がはかどる気配がない。驚きのダメ大学生ぶりを発揮しているこの頃である。そもそも、一度ギリギリで何とかなってしまうと、それ以降ギリギリまで手が付かなくなってしまうとどこかで聞いたことがある。それなら数多のテストをギリギリで乗り切ってきた私はもう手遅れである。合掌。
ところで、タイトルからかなり脱線してしまったが、私には苦手なシチュエーションがある、という話をしたいのであった。私の苦手なもの、それはゾンビである。正確にはまわりの人が皆ゾンビになってしまう状況である。現実世界ではまずありえないが、映画や漫画、本などフィクションの世界ではよくあることだ。だから私はそういうフィクションはなるべく避けて生きてきた。ここからはご飯中の方や私と同じくゾンビが苦手な方は読まない方が良いかもしれない。多少グロい文章があるので。
なぜ苦手か、二つほど理由がある。
一つ目。たいていゾンビ化が進行する状況では、特効薬がないことが多い。つまり、もし噛まれたりして感染した場合、取り返しのつかないことになる。しかも、多くの場合ゾンビ発生地帯は封鎖されてしまう。外に逃げることはできず、ゾンビは増え続ける。こうなるとゾンビに襲われるのも時間の問題である。つまりどうあがいても状況は絶望的なのだ。怖すぎる。ゾンビそのものというよりも、八方ふさがりの絶望的な状況が嫌なのかもしれない。
二つ目。ゾンビになってしまうと、たいてい元の人間には戻れない。その人に愛しい家族がいようが、エリートサラリーマンだろうが、部活の大会に向けて一生懸命練習してきた高校生だろうがもう戻れないのである。でもって、ゾンビになった後も人間だった時とおなじように料理をしようとしたり、部活のミーティングをしようとしたり、前と同じようにふるまおうとするかもしれない。たとえ体の大部分が腐りかけていて、もう言葉も思うように発することができないような状況でも。あまりに切ない。もう二度と戻れないのに、いや、戻れないのを分かっているからこそいつも通りふるまおうとするのかもしれない。大変つらい。
幸いにも私は食べ物の好き嫌いはあまりないし、どんなシチュエーションも大抵我慢できる。が、もし現実世界でゾンビ化が勃発した場合、私は真っ先に死を選ぶ自信がある。合掌。
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