ー4ー kvar

「…あっ…あ…」


恐怖で声が出ない。

男はおそらく即死だろう。


『カウントは終わった。始まっているぞ。さあ、俺を愉しませろ!!ルオオオォオォォォォオ!!!』

化物は再び雄たけびを上げた。


体震えていなかったが、全身に力が入らず動けない。


(…こんなのに傷を付けるのか?勝てるのか?)


「うおおおおおぉぉぉおおお!!!」

誰か一人が化物に走り向かっていく。

相変わらず椅子から化物は動く気配がない。


男は近くまでいくと踏ん張り、勢いよく飛んだ。

人間の力では到底無理なジャンプ力だ。

10m近く飛び、化物の顔の高さまで位置していた。


『こざかしい』

左腕を伸ばして男を払いのけた。

そいつは勢いで吹っ飛ばされた。


「いってぇ…」

彼は死んではいなかった。


「お前ら戦えよ!!」

ゆっくりと立ち上がり頭から血を流しながら叫んだ。


「今の見ただろ!?俺は吹っ飛ばされたけど死んでない!それにあそこまで飛んだ!戦える力がそれぞれにあるんだ!!戦わないと確実に死ぬんだぞ!!」


「………」


静まり返っていた。

俺は自分の獣の腕を見た。


(…この腕、この爪、確かに戦う為の体だ。最初の男はモロ直撃であの化物の爪を食らった。けどさっきの男は死んでいない。戦えるのか?)


「…俺は行くぞ…」

人知れず呟いてしまった。


「獣の腕の少年…!!」


「少年なんて言うな。歳は変わんねえだろ。俺は17だ。それに”アスカ”って名前がある。」


「なんだ、タメじゃねぇか。俺は”ユキヤ”。宜しくな。行くぞ!!」


『ルホホホホホホ』嘲笑し油断している。


俺とユキヤに呼応され何人かも動き出そうとする。


「おおおおおお!!!」俺は化物に向かって走る。


普段脚が早いわけではないが、凄い勢いで加速した。

おそらくこれも”何か”の力である。


しかし気にはしない。


『フンッ』


向かってくる俺に対して上から攻撃をしてきたが、避けることができた。


「ユキヤ行け!!」

俺に対しての攻撃で化物の体制は前のめりになっていた。


それを高々と超えるジャンプ。

背中からの奇襲だ。


『ハエが。』

化物の背中から大きな黒色の羽が生え広げた。


(こいつ羽も生えるのか…!!直接羽で殴打されると次はやばいかも)

ユキヤには先ほどのダメージがある。


ビュッ


突然白い糸がユキヤを捕らえ、引っ張られる。


「危なかったの」

ユキヤが引っ張られた先には口から糸を出した男がいた。


「蜘蛛男!!スパイダーマン!!」


「安直なネーミングだのー」































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