18.地に足、空仰ぎ
空をゆくこと出来たかもしれない中で、地を歩んで生きることを選択した。ひとつの生き方であった。
地に足をついて、空を見上げると多くの鳥たちが飛んでいく。渡りの季節なのかもしれなかった。
薄ら寒い季節になって、自前の羽毛は少し頼りない。それでも寄り添う誰かがいたので、冬が来るのは怖くなかった。
小さな足で立っている。
「ここに」
小さな声で伝えている。
「ここにいるよ」
寄り添う誰かの耳に消えそうな声が届いたのだ。そしてその小さな鳥を見つけたのだ。
だから小さな、頼りない羽毛の鳥は、それからいつもその誰かと寄り添っている。
寒い時には鳥が羽毛を貸してくれるし、誰かが温めようともしてくれるので、そんなには寒くないのだ。
空をゆくことが出来たかもしれない中で、ここを歩んで生きることを選択した。
「ここにいるよ」
鳥は笑っているようだった。
陽だまりはこんなにあたたかい。
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