　昔のワニは腹の中に時計を持ってたけど、最近じゃ、違うらしい。何故って今の連中、審美眼が凄いんだそうだ。

　職人の細工仕事や、精緻な歯車の仕掛けなんか、よくわかるらしい。どうやってやってるのか、自分でゼンマイをまく奴もいる。今じゃ彼らの中で流行りの時計なんていうのもあるようだ。懐中時計もさることながら、水中時計が流行っているようだね。

　水の中でも時間を気にしているのか、それはワニたちにしかわからないけど。

　時計で飾り立てるのは一種ステイタスらしい。そんなワニは確かに珍しげな生き物にみえる。

　だから、でも、チクタクと音が聞こえてきたら要注意だ。

　これは忘れちゃいけないポイントだ。

　だって、彼らが人を食った生き物だってことは何ら変わってはいないのだからね。

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