10.緑萌ゆ
山肌を弾む、弾む、弾む、転がり、広がる新緑を眼に収めて、走る、走る、ほとばしる春と風と共に。
やっと止まる頃には、彼女もあたしも息を弾ませていた。止まると言っても、転げるままに芝に仰向けになったりうつ伏せになったりしただけだ。
息がなんとか整った頃には、顔を見合わせて大笑いした。
彼女の目には新緑が映り、異国の少女みたいに見える。それはあなただってそうよと彼女は言った。
燃えているような枝枝の緑。黄色に近い鮮やかな色。
なんだか顔が暑い気がしてあたしは一生懸命頬をこする。……あの子も同じ動きをしていて。赤い頬のあたしたちは、やっぱり顔を見合わせて笑うのだった。
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