07.黄

 目に映る色の名前を答えてご覧、黄色、そう黄色だ。忘れられない色になるだろう。今日からは。


 何処から蝕まれていたのかわからない。気づけば世界の半分は黄色だった。あれよあれよという間に黄色は広がっていく。卵の黄身のようにどろりとした黄色が塗りつぶしていく。

 友達に聞いても、知り合いに聞いても、道端の人に聞いても笑って否定される。代わりに、その人たちも頭からずるっと黄色に飲み込まれていってしまうのだ。

 夕方、黄色い日が沈んでいく。周りの景色はいよいよ黄色い。

 眼前全てはその色に染まっていた。黄色はまるで笑っているようだった。

 月が昇る。ああ私の足元まで黄色が。


 黄色く高い笑い声のそのあとはもうわからない。

 何故なら世界が。世界が――。――。

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